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今日もワタシは戦います!  作者: アユム
〓幼少編〓
9/103

比較1


 歩行練習を始めてから今日で六日。

 兄弟に遅れながらも、やっとワタシは自由に走り回ることが出来るようになった。

 いやあ、長かった。最近は筋力が付いてきたかあら走り回っても何にも感じないけど、初めて練習した夜は筋肉痛が尋常じゃなく襲ってきて生まれたての小鹿を体験しちゃったからね。

 走るだけであんなに筋肉使うなんて初めて知ったよ。

 だけど今日はワタシがやっとまともに走れるようになったからと、洞窟いえの外へお散歩に行くって言ってたけど、兄たちは今からはしゃいでて疲れないのかね?

 今も父にタックルかましては首根っこを掴まれて勢いよく投げられてるし、元気で楽しそうなのはいいことだとは思うけど流石に心配になっちゃうよ。……まあ、ワタシとは比べられないくらい体力があるみたいだから心配ないか。

 だけど散歩とはいっても洞窟いえの周りだけなのにそんなに嬉しいものかね……?

「あらあら。オチビちゃんったら、そんなに勢いよく尻尾を振って楽しみなのね」

 兄弟の異様に高いテンションに呆れて見ていたら、自分のテンションが高まっていることが尻尾でばれた。

 いや、外に興味があるというより異世界に興味が……ねえ? 

 まあそんなことはどうでもいいや、それよりも今も父に猛アタックしてた兄たちが父にタックルすることに飽きたのかワタシに標的を移そうとしてるのが気になるんですけど。何で前足を突っ張らせてお尻振ってんの? ちょっと可愛いとは思うけど、ワタシは兄たちの獲物じゃないよ? ちょっ、目を爛々と輝かしてこっち見ないでくれない? 狙いがワタシに向いてる時点で可愛さが半減なんですけど?!

「ほらほら何遊んでるの? 元気なのはいいけど今日は外へ行くんだから、早くミルク飲んじゃいなさい」

 今まで毛づくろいをしていた母がそう言うと、兄たちは戦闘態勢を瞬く間に解除して母のもとへ突っ込むように走って行った。

 ……いつも思うけど母はあのタックルにビクともしないけど痛くはないのだろうか。

 生まれてから一ヶ月も経ってないってゆうのに、どんどん差が出る体の大きさをは既に一回りも兄たちと違うワタシ。今兄たち全員にじゃれ付かれたら冗談じゃなく潰される予感しかしないワタシにはこの中に参加するのはハードルが高い。

 まあここ数日は兄たちが父に猛アタックに行くのもご飯の時に突進していくのも、ただ見てるだけで参加はしないけど。あの中に入って行ったら確実にワタシは死ぬわ、高い確率で。

 なので今も近くに来た父の横で座って傍観です。最初は父も背中を押して参加させようとしてきたけど、そこは必至こいて抵抗した。 

 手加減はしてくれてたんだろうけど、意外とやればできるもんだと学んだね。あと、父が凄い親馬鹿だったのも大きいかな?

 隣に座っている父を横目でチラッと見ながらそんなことを考えていたら、鼻先をお腹に入れられて転がされてしまった。ちょっ、お腹はくすぐったいから舐めないで!! 

 キャンキャンと鳴きながら父に抗議するが、まったく聞き入れられず顔を舐められた……、もう好きにして。

 少しやさぐれながら地面に伏せていると、母のもとでミルクを飲んでいた兄の一人が不思議そうにこっちを見て首を傾げていた。

 あれは色が白が強い灰色だから四男かな? 振り向いた兄を見て当たりをつける。

 兄たちは大きくなるにつれ似たような毛の色だったのが、それぞれの個性を出してきてるから何となく見分けがつくようになってきた。

 比較対象が父と母しかいないけど、この二人の毛の色は全く違うから比較しやすいのもある。



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