2-19
周りとの温度差に泣きそうです。
人ってあまりにも困ると動けなくなるんですね。
あんまり知らなくていい情報……、というよりあんまり知りたくなかったです。
ていうか、妖精は自由ですね。
こちらがいろいろな意味で固まっているって言うのに我関せずとまたワタシの上に乗って遊び始めるその根性だけは見習いたいです。
『サルビア、何かそこにいるの~?』
母が不思議そうに聞いてきますが、これは正直に言ってもいいのでしょうか?
『サルビア、何が見えるんだ? 皆笑わないから何が見えるのか教えてはくれないか?』
ワタシが言うのを躊躇っているのを感じたキャラウェイに気遣われてしまいました。
うう。流石にここまで言ってもらって言わないのは駄目ですよね。
……というかキャラウェイが真面目に話してるのに、その上を全身タイツを着た妖精が蔓に向かってファイティングポーズでボクシングの真似事してるんですが、これは笑という事ですか?
『えっと……、小さい羽をもった人たちが空を飛んでるのが見えるんですが……、その、皆さんには見えないものなんですか?』
『そうだな。今ここには我とそなたら親子、それにそなたと同じ一族のものしかこの目で見ることは適わぬが、ここは他と違い魔力が満ち溢れていることから考えればきっとそれはこの地に創生の時よりいるという精霊族だな』
『精霊族ですか? 妖精ではなく?』
『ああ。妖精族は基本的に森の奥深くに住む種族のことをいう』
『そうなんですか。でもじゃあ精霊族って本来は見えないものなんですか?』
『……そう、だな。神話の中では精霊族を生み出した神のみがその姿を確認できるとなっているが定かではないな』
『あ~……、そうなんですか~』
スケールがでかい話が出てきてどう表現したらいいのか分からないですワタシ。
もう何に驚いて、何に突っ込めばいいんですか。
ちょっ! 妖精オヤジさん改め、精霊オヤジさん何でそこでドヤ顔してるんですか。
地味にイラッとするんですが尻尾で張り飛ばしますよ?
……て、何気に回りにいる精霊族さんがたも同じようにドヤ顔してるんですね。そのドヤ顔は精霊族の標準装備ですか。
内心たくさんツッコミをいれつつキャラウェイにワタシにだけ見えるという精霊のことを聞いていると、キャラウェイの蔓に触られていた兄達がそのまま母へと通訳をしたのか今までの比ではないくらいざわめきが大きくなりました。
その驚きの声の意味がいまいち分からないけど、その声の中にキャラウェイのことに驚いてる声が混じってるんですが気づくの遅くないですか。
ざわざわする周りを見る限り、ワタシの行動はスルーされたようですね。
うん。よかったよかった。
だけどこれ収束したらきっと質問攻めにあいますよね。
そしたらなんて答えたらいいんでしょう……?
ワタシもよく分かってないから何の説明もできないですし。
何かが起こってウヤムヤにはならないですかね。
まあ、とはいってもそんな都合よくはいかないですよね。
……って、あ。村長さんが倒れた。




