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すっと右手を上げたかと思ったら、その手をすっと伸ばしてワタシへと向ける妖精オヤジさん。
『突撃~~!!』
そして妖精オヤジさんが大きな声を張り上げます。
その瞬間、まるで示し合わせたかのように周りにいた妖精たちがワタシに向かってその名の通り、突撃を仕掛けてきました。
……って、何でですか~~?!
今までは好き勝手動いていたというのに、妖精オヤジさんが号令をかけたとたん迷いもなくワタシの方へ一斉に飛び掛ってくるんです?!
ちょっ! 怖い怖い怖い!!
怖いから真顔で迫ってこないで!!
大群で飛び掛ってこようとするその姿に恐怖を感じ、ワタシは思わず甲高い悲鳴を上げて飛び退ってしまいました。
周りがワタシの突然の行動に驚いているようですが、そんなの知ったこっちゃありません。
それよりもこの分からない状況を回避する方が大切なのです!
はっ!!
そうだここには誰よりも頼りになる母がいるではないですか!!
ここは戦略的撤退を……。
『わし等を見ることが出来るものなど初めてだ!!』
混乱する頭で今最善だと思う結論がでたから実行しようと母の方へ体を向けたとたん、ボスンとぶつかる感触に襲われました。
嗚呼……、少し遅かったようです。
『おお!! もふもふじゃぞ!』
『あら~、毛並み綺麗ね~』
『この毛、色を入れた方がもっとかっこよくなると思うな……。染めていいかな?』
『……このまま、ネレル』
『これ、服の材料に良さそう。抜いていいかな?』
ちょ、何か所々不穏な事をいわれてる気がするんですけど?!
痛い痛い! 毛を引っ張らないで下さい!!
『……って誰ですか?! 今尻尾を思いっきり引っ張ったのは!!』
『ははは。娘っ子は元気がいいな』
動く前に揉みくちゃにされてしまったためその場から動けず、されるがままになっていたら思いっきり尻尾を引っ張られました。
あまりの痛さに後ろを振り返り、思わず強い口調で吠えるように訴えてしまいます。
その瞬間キャラキャラと笑い声を上げて今までワタシの毛に埋もれていた妖精たちの多くが離れていきます。
まだ毛に埋もれている妖精もいますが毛を引っ張られることはなくなったので良しとしますが、妖精オヤジさんは何でワタシの鼻先に座って笑ってるんですか。
というより扇の使い方がすごい上手いですね。
でも扇の先端についているふさふさの飾りがくすぐったいのでやめて下さい。
ああ、もう何でこんなに。何か警戒している自分が馬鹿らしく感じるじゃないですか。
妖精たちのあまりのお気楽さに肩の力が抜けガックリしていると、横から突付かれました。
……一体なんでしょう?
『サルビア……。さっきから一人で何してるんだ?』
その疑問のまま振り向くと、恐る恐るというようにバイモに聞かれてしまいました。
……そういえばこの妖精さんたちワタシにしか見えていないんでしたっけ。
ということは、もしかしなくてもワタシすっごく不審者に見られてたりします?




