2-15
打ちひしがれる老人。
それを何とも楽しそうに、今にも指を指して笑い出しそうな第一村人さん。
そしてその様子をニコニコ笑いながら眺める母。
これだけを見るとまるで弱いものいじめをしているようにしか見えませんね。
『それよりもその子達のことじゃ』
『ふふ可愛いでしょう? みんな元気いい子達なんですよ~』
何とか持ち直したと思われる長老さんがきりりとした表情で場を立て直そうとしているのに、まったく空気を読むことなく子供自慢を始めそうな雰囲気の母。
う~ん。なんていうか空気に徹しているのは辛いのですが早く終わらないですかね。
母達が話している間は何もする事が出来ないのでそろそろ飽きてきてしまいました。
気を抜くと大きくな欠伸してしまいそうですし、どうしたものですかね。
母達だけを見ていてもあきますし、かといって他に何か面白いものがあるようにも思えませんし……。
やる事がなくてうろうろと視線をあっちこっちへと向けてしまいます。
前には母に第一村人さんと長老さんにその一行。
そしてワタシの横には兄達でその背中にはキャラウェイ。
ワタシ達の後ろには村の若い狼と思われる人たち。
そして天井には謎の光源とその周りをふわふわと飛び回る真っ黒な虫っぽい物。
まったく面白そうなものがないのです……って、黒い虫っぽい物?
きょろきょろしていたために視界の端にひっかかった物へと意識を向けます。
天井に何個も浮かんでいる拳大くらいの謎の光源の周りを羽虫が飛び回るようにくるくると飛んでいますが、その大きさはどう軽く見積もってもその光源の半分の大きさはありそうです。
いったいあれは何なんでしょうかね?
ジッと見つめているとその黒い物体は一匹だけでなく何匹もいるのか光源の後ろに隠れては出てくる事を繰り返しています。
光の反射でまだよく全体像が分かりませんが、羽っぽい物がついているみたいです。
何というか私時代に田んぼなんかで見かけたトンボの羽と似ていると言えばいいんでしょうか、体を支えるにはあまりにも弱々しく映りますがどんな構造をしてるんですかね?
一生懸命羽をパタパタと動かしている姿は可愛いらしいといえない事もないのですが、何故か背中がムズムズして今すぐにでも飛び掛りたい誘惑に駆られてしまいます。
これが世に言う危険な罠というやつなのでしょうか……。
すごくドキドキしますね!
本能の甘い誘惑に負けないように、ジッと見つめているとあまりにも熱く見つめすぎたせいかその黒い物体がワタシにも気がついたみたいで見つめ返されてしまいました。
それと同じくらいに明るさに慣れてきたワタシが見たのは小さい羽の生えたオジサンでした。
これでもかとリボンなどで装飾されたゴスロリのふわっふわなワンピース型のスカートを穿き、それはいつの時代ですかと聞きたくなるマリーアントワネットなんかが被っていそうなクルックルの巻き毛が固められたカツラを被ったオジサンが……。
……あ、れ~? もしかしてあのオジサンが妖精だとかそんな恐ろしい事は言わないですよね?
え?! そんなの嘘ですよね?!




