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『お前ら見かけない顔だが何のようでここに来た』
グルグルと唸り声を上げ威嚇をする同属(仮)。
色は黒を少し薄めたような濃い灰色で体格は兄達よりも少し大きいだけなので、きっとまだ大人ではないと思われます。
そしてそれに対峙するのは一歩前に進み出た第一村人さん。
……って、あれ? 第一村人さんのことも知らないって第一村人さんは村人さんじゃないんですか?
『あらあら。ワタシの事まで知らないなんてあんたまだ若造ね』
『何だと?! 俺はもう一人で狩りもできる立派な大人だ!!』
『ふん。そういうところが若造だっていうのよ。それに狩が出来るくらいで大きな顔してる時点で高が知れてるわね』
『なんだと?!』
何やら剣呑な空気が出来上がってしまいました。
だけど若造さんは一生懸命威嚇をしているようなんですがその姿はどう頑張って見ても癇癪を起こしている子供にしか見えません。
『ここは他所もんが気軽に来ていい場所じゃないんだ! 他所もんはとっとと帰れ!!』
『はっ!! 何で私があんたみたいな青臭い坊やの言う事を聞かなきゃいけなのよ。坊やは引っ込んでなさい』
『な?! さっきから愚弄しやがってどこの一族か知らないがただで帰れると思うなよ?!』
あ、残念な三流さんの台詞がでてしまいました。
これはもう負けるのが目に見えてしまいましたね。
まあ、でも怖いので絶対近寄りませんけどね。
『何をしている』
成り行きを見守るため二人から視線を外せずにいたら、何時の間に現れたのか声に重みがある渋い声が聞こえてきました。
足音もないのでまったく気が付けなかったのですが、その声の人は威嚇をする若造さんの後ろから姿を現しました。
きっとすぐそこにもう村があるのでしょうか、何人もの人が一人の老人の後ろからついて現れます。
一番前で沢山の狼さんを引き連れて歩いているその老人は、毛の艶がなくなり背骨も曲がってしまっているけれど、だけど目力はいまだに衰えていないのできっと地位がとても高い人だと思われます。
『っ?! 長老様なぜこのような場に……?』
ドンピシャで一番偉い人のようでした。
だけどそんな偉い人がぞろぞろと人を引き連れて一体何事でしょう?
そんなに村への出入りは厳重なんですね。
でも母も第一村人さんもこの村出身ぽいのに一体どういうことなんでしょうか?
『久しぶりだな』
『お久しぶりです長老様』
『まだくたばってなかったのねジジさん』
大人組みが軽い挨拶を交わしていますが、第一村人さんの言葉にまだ若いと思われる人たちが色めき立ちます。
……うん。まだ何か波乱の予感がするんですが、何時になったら心静かに平和な日を過ごせるんでしょうね。




