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歩きは始めてから思ったのは第一村人さんはとてもよく喋るという事でした。
そのお陰というのはあれですが、今まで走ってきていたためにあまり見る事ができなかった景色を楽しみながら村へと進んでいく。
母と第一村人さんは楽しそうにずっと話しているので、今ワタシはキャラウェイにこの辺に生えている植物の講義を受けながら歩いています。
『あれは何ですか?』
『うむ、あれは毒気し草だな。そのまま煎じて飲めば弱い毒なら取り除く事ができる。だが他の薬草と合わせると忽ち厄介な毒草に変化するから気をつけるといい』
などとワタシがそこら辺に生えている草の事を聞くと、すらすら淀むことなくと教えてくれるのでとても勉強になります。
兄達も最初は一緒に聞いていたけど飽きたのか今はお互いにじゃれついて遊んでいますが、時々バイモとムスカリが近くに来て花の話に耳を傾けています。
先ほどまでの緊張はどこえやら。のんびりとした空気が流れています。
こんなに気が抜ける空気は何時振りでしょうね。
生まれたばかりのときは気を抜くと兄達に蹴られて気が抜けなかったし、母達の修行の期間は疲れて寝てる時にも何をとち狂ったのか父が奇襲を掛けてくる事があって気を抜けなかったのです。
ああ。気を張り詰めなくていいって素敵ですね!!
『……あれ?』
ピクニック気分に浸りながらそよぐ風を肌で感じていたら、今までの長閑な空気が張り詰めたような感覚に襲われました。
その空気をワタシよりも早く感じた兄達がワタシの近くで耳を立てて警戒態勢に入って周りを見回しているので、それに習いワタシも何かあるのかと見回します。
『もうすぐ村につくから皆警戒を怠らないようにね』
突然変わってしまった空気に驚いて止まってしまったワタシ達に母が少し先で立ち止まるとそう声を掛けてきました。
ワタシの知っている村というのは長閑なもので危険なんて殆どないものだと思い込んでいたんですが、この世界の村っていうのは警戒しないといけないくらい危険なんですか?!
いやいやいや。それだとギャロ達に初めて連れて行ってもらった村の説明がつかないですし、仲間の村が危険って事なんですかね……?
何というかもの凄く村に行きたいというテンションが下がってしまったのでこのまま帰っちゃだめですか?
そんな事をひとりもんもんと考えながら兄達に挟まれるように歩いていると、太陽が雲に隠れてしまったのか影がさしました。
今まで雲ひとつなく晴れていたのにと思い空を見上げると、何か黒い物体が上から落ちてきました。
『お前達何もんだ?!』
落ちてきた物体……、ではなく同じ仲間と思われる第二村人が大きな声を張り上げています。
牙を剥き、グルグルと唸り声をあけながら体勢を低くしてこちらを睨み付けてくる姿はとても迫力があり、ワタシ一人なら動けなくなっていたと思います。
でも今は皆がいるので少し怖いと思うだけですんでるんですが、目の前の人よりもワタシの周りで攻撃態勢に入った母と第一村人さんの気迫の方が怖いと思ってしまうのは何でなんでしょうね……?




