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今日もワタシは戦います!  作者: アユム
〓幼少編〓
7/103

特訓



 さてさて。視力がハッキリしてきたので今日から歩行訓練開始のようで母たちの指導のもとワタシたちは洞窟いえの中を動き回っている。

 恐ろしいことに兄たちは目が見えずともすでにフラフラ歩き回っていたけどね。その中に今日からワタシも加わることになったのだ。というよりも、強制的に参加を言い渡されてしまった。

 ……まるで戦場に行く気分です。

 現在兄たちはふらふらしながらもワタシなんか比べられないくらいしっかりとした足取りで歩き回り、今では駆け足まで得とくしている。最初のうちはワタシと同じようにフラフラしながらほふく前進をしていたというのに……、数時間でマスターするなんてどんなチートさ。

 そんなことをブツブツ文句言ってしまうのは仕方ないよね。だって同じ遺伝子を引いているはずなのに何故かワタシは未だに一歩進むごとにふらふらしてお尻からポッテッと音がしそうな感じで転がってしまうことを繰り返しているんだから。どう考えても可笑しいでしょ。どれだけ体のスペックが違うのさ。

 もしかしなくても今まで兄たちが動き回っていた時、母のもとでぬくぬく寝ていたのが原因? それが今になって差として出てきた? なら本当想定外。ワタシももっと動き回っておくんだった。

 だけど想定外がもう一つ。

 優しく見守ってくれてた両親が思いのほかスパルタだったことだ。

「ほらほら。今日は歩く練習なんだからちゃんと歩かないとだめよ?」

「くぅ……(ちょっ、やめてくれ母よ)」 

 優しい笑顔と声音だというのに少しでも立ち止まるとすぐに二人のどちらかが鼻先をお腹に入れ立たされ、そして強制的にまた歩かされることをエンドレスで繰り返される。なにこの爽やかな鬼畜ぶり。

 あれ? 休憩ってないの?

 確か歩く訓練が始まったのは朝早く。洞窟いえの入り口が仄かに明るくなってきたくらいで、今では煌々と明るく照らされているのを考えると、もうお昼は過ぎたよね?

 ああ、そう考えると太陽が眩しい……。そしてお腹が空いた。

 そういえば今日ご飯食べたのって朝にお乳貰ったっきりで、まだお昼食べてないよ。お腹が空いてるから力が出ないのは仕方ないよね。

 なのに何でワタシ以外はあんなに元気なんだろう。

 のそのそ歩きながら兄たちを見ているとそんなことを考えてしまう。ワタシが母たちに小突かれながらクタクタになって歩いているっていうのに、誰一人疲れを見せないどころか今では軽く走り回ってるってどんだけ体力があるんだ。

 これが雄雌の違いなのか、それともただ単にワタシの体力がないだけなのか。とてつもなく判断に迷うところだ。

 だけどこうして兄たちを改めて見てると、なんか兄たちの目線の位置がワタシよりも高い?

 今までずっとほふく前進のような移動をしてたから気が付かなかったけど、ワタシの体もしかして一回り小さい?

 あれ? 他の兄たちがじゃれ合ってる姿はまったく大きさの違いがないというのに……。ワタシだけ目線がした? その事実に愕然としてしまう。

 これはあれだ、成長期がワタシだけまだきてないんだ。そうだ、そうに違いない。うん。

 ……あ、そうだ。それよりもお腹が空いてたんだよワタシ。お腹の虫もご飯を催促してくるし、母にご飯にするようにお願いしよう。



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