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筋肉通な体に何とか鞭打って、上にのっかて来ている兄たちを何とか振り落とします。
勢いがつきすぎて兄たちのうち誰かからとてもいい音がした気がしますが、まあ自業自得なので気にしませんけどね。
うん。だけど自分もやればできる子だと実感しました。
やっぱり火事場の馬鹿力は侮れませんね。
『前から言おう言おうとは思っていたのですが、今日はもう言わせてもらいます!! 兄たちは力が強いんですからもう少し加減というものを覚えてからじゃれ付いてきてください。ワタシ本気で潰されるんじゃないかと心配なんですからね?!』
これからどんどん力が強くなることも考えると、ここら辺できっぱりと言い聞かせておこうと思います。
そうしないと身の危険をひしひしと感じるのでここは心を鬼にして少しきつめに言ってしまうのは見逃してもらおうと思うんです。
『かげん……?』
『してる』
『ちから、すこしつかってる、だけ』
『ちび、よわい』
まだまだ片言なのは否めない言葉使いですが、言いたいことは伝わります。
なんですか今までのでも手加減しているってころですか。
じゃあ何です?
ワタシが兄たちにすごく劣るってことが言いたいんですか。
すごく失礼ですよね?!
『誰がちびですか?! というよりも今までで十分手加減してたって言いたいんですか?!』
『そう。ちびすごくよわい』
これは次男のアキレアですかね?
じっとこっちを向いて念話を送っているようなので間違いないと思うんですが。
だけどその話し方が何の感慨も入れずに事実を見たままをいっていると言わんばかりなのは流石に彼なりの冗談ですよね……?
う~……。その見極めが難しいけど冗談じゃなかったら泣けてきますね。本当に。
『……ワタシちびじゃないです。サルビアって名前です』
アキレアの話が冗談なのかそうでないのか判断がつかなかったので、ちびと言われたことにだけ抗議をしました。
けして負け惜しみじゃないですから。うう。
だけどやっぱり一族でチートなんですかね?
昨日までまったく念話を使えなかったのに一日でマスターしてしまいましたし……。
それとも家族だけなんでしょうか?
これも家族以外の一族に会わないと答えがでないですよね。
……と、あれ?
そういえば今までまったく気にしてなかったですが、同じ一族の人との交流はしないんでしょうかね?
個々でしか活動しない種族なんですかね?
気になったことは即母に聞くに限ります。
『母。ワタシ達には仲間はいるんですか?』
上に下にと縺れかかって来る兄たちの攻撃から何とか抜け出して、近くで微笑ましそうに見つめていた母の元へ言って聞いてみます。
できたら止めてほしかったと思わないでもないですが、これもきっと体力づくりの一環だとも思うのでその問いかけだけは飲み込んでおこうと思います。
うん。ワタシも日々成長してますね。
母は若干うつらうつらとしていたのか、思考がうまく回ってないようで欠伸をしながら首を傾げて何か考え込んでしまいました。
『そうね~。いるにはいるけどそれがどうかしたの~?』
『どうしたというか、仲間がいるなら見てみたいと思っただけです』
主に能力がどうなってるのか確かめるために、という本音はとりあえず隠しておきます。
『う~ん。会おうと思えば会えるけど……、会いたい?』
『え? あ、はい。会えるなら……?』
『そうね~、まあ何時までも会わないわけにもいかないし良い機会かもしれないわね~。うん。そうしましょう』
母は何かに納得してますけど、同じ種族に会うだけなのに何を悩むことがあるんですかね?
『すぐには無理だけど、あおう遠くないうちに紹介するからサルビアもそれに向けて準備をしましょうね』
『準備ですか?』
『そうよ~。他の子達は力が強いから問題ないけど、サルビアは力が弱いからもう少し体を鍛えないといけないの~』
ここでも格差社会を実感させられるとは……。
何でワタシだけ体力の駄目だしをされているんでしょう?
あれ? 同じ時に生まれたはずですよね?
なのに兄たちだけじゃなくて母にまで弱いって言われてしまったんですが、これはもうないても良いってことですかね?
……うう。まあそこはあれです。
雄雌の違いですよね、きっと。
それよりも体力がないと会えない種族って何なんですかいったい。
少しだけ会うのが怖くなったんですけど、変なことにはなりませんよね……?




