1-61
初めての火の玉を出した後、母が見守る中で何度も何度も続けて火の玉を作り続けました。
母はワタシが魔法を使うたびに、火の玉の大きさや魔力の込め方が多かったり少なかったりしたら教えてくれるんですが、それがとてもプレッシャーに……。
怒ることも怒鳴ることもなくいつもと同じ口調で指摘をしてくれるだけど、ジッと見られて同じ動作を繰り返すのは思ったよりも緊張するんですね。初めて知りました。
だけどそれで緊張していたのは最初だけで、途中からはそんなことも言ってられなくなりました。
体を動かしているわけでもないのに、まるで全力疾走しているような疲労感がじわじわじわじわと感じるようになってきたかと思ったら、心臓がバクバクと音をたて息苦しくなり、立っているのも辛くなるし、力を抜くと体が地面に叩きつけられそうで、練習の最後の方では気力だけで立っているような感じでした。
ワタシ魔力を少し甘く見ていたみたいです。
うん。自分よく頑張った。
だけど最後の方。
体から余分な力が抜けてきた時に体の中を何か暖かいものが通り抜けていったのは何だったんでしょう?
体が怠くなればなるほどその暖かいものが体を通るのをはっきりと感じたんですが……。
もしかしてあれが母の言う魔力?
まだ断定するには判断できる材料が少ないので一先ず保留なのですがきっと間違っていないと思います。
もうちょっと慣れてきたらいろいろ試してみたいですね。
まあ、今は魔力を極限まで使って腕一本(脚?)動かせないのでまた後日なんですがね、ははは……。
何で体を一切使ってないのに魔力を使ったら全身筋肉痛になるって一体どういうことなんです。
魔力を使うのには筋肉を使うんですか?
魔法を使うときの構造が全然想像がつかないですね。
だけどそれよりも先に、自分の体力のなさに泣けてきそうです。
何でワタシよりも先に魔力練習に行っている兄達が今もまだ外で元気に爆音を響かせているのに、ワタシはもう洞窟の中でへばっているんでしょう。
同じ兄弟なのにこの差は可笑しくないですか……?
ワタシが魔法を使い始めてから大体一刻くらいしか経っていないと母が言っていたので、それから更に二刻経ったそうなので体力の差は悲しいほど幅があいてますしね。
どうしたらそんなに体力をつけられるんですか。
同じものを食べて同じように動いているはずなのにこの埋められないといわんばかりのこの差。
泣き言を言っていてもその差が埋まるわけじゃないので口にはしませんけどね。
やっぱり納得いかないですよね。
ひとり筋肉痛に苛まれながらウジウジと考えていたら、遠くからがやがやした声が聞こえてきました。
父や兄達が帰ってきたんですかね?
だけど動くと全身の筋肉が悲鳴をあげるので何とか顔だけ上げてお出迎えをしようと思ったら、気がつくのが遅かったのかもう皆が中に入ってくるところでした。
兄たちは楽しそうにブンブン尻尾を振ってじゃれ合いながら移動しているその姿に、ほのぼのしてしまいますね。
毛玉が仲良くじゃれ合い上に下にとじゃれあう姿は撫で繰り回したいくらい可愛いですよね。
こっちへと近づいてきている兄達に和んで……って、近づいてきているのはいいんですが何か凄い速さでこちらへ来ている気がするのは気のせいでしょうか?
ちょっ?!
何でそのままワタシの所へ猛ダッシュしてくるんですか!!
可笑しいですよね?!
わざわざワタシの寝ているところを通らなくてもこの中はとても広いんですよ?!
やめて今本気で動けないんですからこっちに全力疾走で来ないでください!!
冗談抜きで逃げられないんですってば!!




