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気がついた事実に血の気が引いていくの感じながら、ワタシは一人ガタガタと自分の体が小刻みに震えてしまうのが分かる。
なぜ自分はこんなに考えなしなのかと、もしも捨てられたらどうしたらいいのかと、ぐるぐると嫌な考えだけが湧いては消えていく。
解決策なんか分かるわけないのにずっとどうしたらいいのかと同じ思考がぐるぐると頭の中を駆け巡る。
自分の思考に囚われて、周りが見えなくなってしまったワタシの体が強い力で押し倒された。
何が起こったのかまったく分からないワタシはその一瞬で思考も何もかもが吹っ飛んでしまいました。
……何が起こったのでしょ?
『もうオチビちゃん、何をそんなに怯えてるの?』
『違うよアネモネ。オチビちゃんじゃなくてサルビアだろ?』
『あ! そうね私ったら間違えちゃったわ』
『本当にアネモネはそそっかしいな』
何が起こったかわからなかったけれど、両親がイチャイチャし始めた事だけは分かります。
うん。可笑しいんですが、ちょっと落ち着いてきました。
だけど母と父よ、娘を落ち着かせるためなのか分からないけど人をこけさせておいてその上でイチャイチャし出すのだけは止めてもらってもいいですかね?
『父に母。ワタシが二人の……、皆の知らないことを知ってるの気味が悪くないんですか? ワタシいらない子じゃ、ないですか?』
気づいてしまった事実をそのままには出来ないと思い二人にそう尋ねると、二人はキョトンとした表情をした後笑い出してしまいました。
……って、え? 何で笑うんですか?!
『何を言うのかと思ったらそんなことを気にしていたのねサルビア。ふふ、可愛いわね』
『サルビアは気を使いすぎるくらい優しい子だね』
二人は交互に毛繕いしてくれながら安心させるように優しい声でそう言ってくれます。
きっと優しいのも気遣いなのも二人なんですから。
『たまたまサルビアは人よりも知識を持って生まれただけでしょ? 何故それだけで可愛い子を捨てなければいけないの?』
『そうだよ。そんな事は絶対無いから安心しなさい』
何度も何度もそんな事を言いながら安心させるように毛繕いをしてくれる父と母に、暖かい気持ちが膨らんでいきます。
その気持ちが、行動がとても嬉しいです。
ぽかぽかしてくる気持ちはとても嬉しいと感じているから。
だけど嬉しいはずなのに、どうして今ワタシの胸はギュッと締め付けられて泣きたくなっているんでしょうね……?




