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生後数十日。
ワタシに獲物ならぬ手下を二人手に入れました。
……って何でなんでしょうね。可笑しいですよね。うん。
何とか二人を解放するため父を説得しようと試みたけれどまったく話が平行線のまま進まない。
少しでも気を抜くと二人に近づこうとする父。
その行動の先に見えるのは、どう考えても二人の終焉だけです。
何ですかこのバイオレンスな事態は。
ワタシの胃に穴でも開けたいんですか?
そんな緊迫した空間に長い時間耐えられるほど頑丈な心を持っているわけじゃないワタシは折れました。
心と一緒にそれはもうポッキリと。
なので生後数日にしてワタシは手下を二人手に入れてしまったのです。
手下ってどこに行けば返品できるんですかね?
「すまない、嬢さん」
何かに負けた気がして項垂れていると、それに気がついたギャロに謝られてしまいました。
最初は確かにギャロ達の行動が発端ですが、ここまで来るともうギャロ達だけが悪いとも一概に言えない気がするので、頭をフルフルと横に振って気にしないで欲しいと伝えました。
『でも二人は本当にそれで良かったんですか?』
「ああ。嬢さんが寝ている間に話し合いもして納得もしているからそんなに気を遣わないでいい」
『でももうちゃんと謝ってもらったし、依頼人の人からお詫びの品も貰うことになってるのに何か悪い気がします……』
「いや。前にも言ったとは思うが狼族に手を出すということは小さくても町が、大きなところになると国が一つ消されても文句が言えないことをしたんだ。だからそれを考えれば今回の事は俺達にとっても悪い話じゃないといえる」
『だけど二人はこの先どうするんですか? ここにいるなら行動がすごく制限されると思うんです』
「はは。子供がそこまで心配しなくても大丈夫。冒険者をしていればどこでだって生活できるようにしなければ生きていけない、だから身の危険がない分ここで生活するのはまったく苦じゃないんだ」
やはり町を拠点に動くのと森の中を拠点に動くのでは人型をしているギャロ達には厳しいと思うのです。
なのでその点も含めて何度も確認を取るのに、にっこり笑って今回の出来事を悪くないと言われてしまいそれ以上何も言えなくなってしまいました。
……っていやいやいや。
ワタシが子供だってちゃんと分かってるなら子供に負担かけるような流れに持っていかないでくださいよ。
『なら二人はワタシの手下って事でもういいですけど、拠点は今まで通り町でいいじゃないですか。わざわざここに住まなくても……』
最後の悪あがきと言われようと、何とか理由をつけて二人を返せないかと勝手に言葉が口から溢れ出てきました。
あれ??
何か言葉の漢字のニュアンスが違った気がしますけど、きっと気のせいですよね。
う~ん、だけどこれは良い案じゃないですかね?
二人は町に戻っても一応ワタシの手下に変わりはない事なんですし、時間が経てば有耶無耶のうちに何とかできる気がしてきました。
よし。その方向で話を進めて……。
「いや多分俺達が町に戻れば嬢さんのご両親は納得しないと思うぞ?」
名案を思い浮かべたと同時に即効で不定をされました。
……少しぐらい夢に浸らせてくれてもいいじゃないですか。
そんな八つ当たり気味な思考が頭を過りますが、多分その通りだとも思うので無言を貫きました。
だけど二人がワタシの手下だと言うなら、ギャロとクラウ少年の面倒はワタシが見ることになるんですかね?




