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危なかったです……。
これからは不用意な発言をするのは避けようそう誓いました。うん。
二人が獲物じゃないと言った後は大変でした。
父に言われた言葉に蒼褪めながらも何故かまったくその場から動こうとしない二人を後ろに庇いながら父の説得は少し疲れました。
獲物じゃなくなるなら罰を与えるべきだという父に、出来れば獲物を抱え込まずに穏便に済ませたいワタシ。
意見は平行線を辿りました。
何度獲物でなくなったし、誘拐の件も終わったのだからお家に帰すべきだと主張するワタシの言葉に意味が分からないと小首を傾げる父。
まったく発展しない話し合い。
そんないっこうに意見が交差しないワタシと父の話し合いに決着をつけたのは、獲物と言われていたギャロ達でした。
二人曰く、もともと狼族に手を出して生きていられるとは思っていないとのことです。
もしもワタシが二人を自分の獲物にしないなら父に狩られる覚悟も出来ているので好きなようにしてくれていいと言われてしまったのです。
ようするに言ってしまえばワタシが二人の命を手玉に取ってるってことですよね?
人一人の命でも手に余るって言うのによりにもよって二人の命の命運を、こんないたいけな幼子にそんな重たいもの握らせないでください。
思わず恨めしげに二人を見つめてしまうけれど、二人の表情は真剣な雰囲気の中に緊張のためなのかどこか硬さを含んでいる。
その表情を見る限りワタシが父を説得して二人を許したといっても納得してくれず、そのまま付きまとわれそうな予感がひしひしとします。
一応この場を収めるには何通りかあるけれどさてどうしたものなんでしょうね?
一つはこのまま父に任せてしまう。
一つは父とギャロ達を何とか説得して納得させる。
一つは父を説得してギャロ達をワタシの獲物のままにする。
だけど一つ目を選んだ場合ギャロ達の命が消えてしまうのが確定してしまうので却下です。
そんな事してしまったらなんのために二人を助けたか分からなくなってしまいますからね。
二つ目は全員を納得させられる話術をワタシが持ち合わせている気がしないうえに時間が掛かりそうなのでこれも却下です。
それにギャロはこれと決めたら絶対曲げなさそうな頑固さがありそうなのです。
そんな人を納得させるなんてまだまだひよっこなワタシには荷が重いのです。
そうすると必然的に残るのはまたギャロ達をワタシの獲物にすることだったんですが、この二人を獲物にしてワタシはどうしたらいいんでしょう?
ああ、でも獲物のと考えるから頭がこんがらがるんですよね。
二人の事を言い方は悪いですが手下と考えればまだ許容できなくもないですしね。
すぐには無理でもおいおいお友達にシフトしていけばいいんですし……。
というより何でワタシがこんなに考えてるんでしょう?
悩む方向性が間違ってる気がするんですが何かおかしくないですか?




