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はっきりと目を覚ましたのは日付が変わりお日様も高く上ったお昼に差し掛かる時間でした。
それも自分のお腹の大きさにビックリして起きたというのは少し恥ずかしかったです。
フルフルと頭を振って眠気を振り払いながら周りを見回すと、もう起きていた兄弟達が力いっぱいに取っ組み合いをしている姿を見て、ああ帰ってきたんだなとホッとする。
取っ組み合いを見てホッとするのも変な話なんですけどね。
だけど兄弟の近くに母の姿はなく、匂いで近くにいることが分かるからきょろきょろと回りを見回すと、洞窟の奥で動く毛並みを発見する。
奥のほうは少しくらいからよくは見えないけど明るく浮き上がるその毛並みの色はきっと母だろうと予想をつけて近づいていく。
ずっと寝ていたためか足元が少しふらつきましたが、ヨタヨタした足取りながらもしっかり奥へと向かっていきます。
『母~お腹すきました~』
とてとてと足音がしそうな聞こえそうな拙い足取りながらも母の元へ向かおうとしたワタシよりも先に、ワタシの声に気がついた母が近くに来てくれました。
その時の跳躍がすごく綺麗で思わず見惚れていると、母が心配そうにこちらを見ていることに気がついて再度ふるふる頭を振って思考をハッキリさせる。
『オチビちゃん体はどこか辛い所はない?』
『はいお腹がすいてるだけで後はバッチリ元気です』
『ふふ。それは良かったわ。じゃああっちでご飯の時間にしましょうね』
少しいつもいる場所よりも奥にいるため、薄暗い場所から離れて外の光が差し込む入り口の近くへ母と一緒に移動する。
その時入り口にいた兄弟がこっちに気がついて突進を駆けてこようとしたけれど、どこにいたのか花が無数の蔓を出して全員捕まえて持ち上げてしまった。
その様子に驚いて一瞬動きを止めてしまうけど、兄達は急に持ち上げられたにも係わらず驚いた様子を見せていません。
驚いていないどころか嬉々として花に挑もうとバタバタ体を動かしています。
きっとワタシがここにいない間にでも何かあったのでしょう。
まあ何があったのか気にはなりますが、それよりもお腹がすごく空いているので兄達から視線を外して母の元へと近づいていきます。
母はもうワタシが飲みやすいように寝転んでくれているので、そのまま母のお腹に顔を突っ込んでお乳を貰う。
よく考えると昨日の朝からまったくご飯を食べていないのですからお腹が空くのは当たり前ですよね。
『オチビちゃん後でお肉を食べる練習をするから、あんまりいっぱいお腹を膨らませないようにね』
『はい、気をつけます~』
無心でごくごくと母のお乳を貰っていると、そのあまりの吸いっぷりに母が注意を促してくる。
だけどもうお肉を食べる練習をするんですか。
お肉は嫌いじゃないですけど、今はお乳が一番美味しいと思うのでこの体がちゃんと受け入れてくれるか少し心配ですね。
体が変わるときっと食べるものも成長速度も変わるとは思うけれど、どんな違いが待ってるか、少しワクワクしてしまいます。
ああでもやっぱり母のお乳は美味しいです。
そろそろお腹が膨れてきた気がしないでもないですけど、もう少し大丈夫ですかね?




