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クラウ少年と無言の睨めっこをしていると知り合いの冒険者らしき人間と話し終わったギャロに連れられ、ワタシ達は町の奥にある依頼人の家へと向かう事になった。
何でもお店自体は中心部の端に近いところにあるらしいんだけど、住んでいる家は町の中心部からは遠い町の端のところにあるらしいのです。
商売で成功していると聞きましたけど、何でそんなに離れた場所に住んでるんでしょう?
「そういえばまだ依頼人の名を教えていなかったが聞いておくか?」
『はい。お願いします』
「名はキラルと名乗っているが姓は名乗っていないから無いと思う」
『姓がないのは一般的なんですか?』
「そうだな。この国のものは王族や貴族に連なる以外の者が姓を持つ事はない。名乗っても出身の村や町を名乗るくらいだな。他の国ではまた違うが、依頼人の出身がどこか分からないのでそれもあてにならないしな」
軽い世情も教わりつつ依頼人がどんな人か想像しますがまったく思い浮かびませんでした。
これはワタシの想像力が残念な訳じゃないですよね?
情報が足りないだけですよね。うん。
「お、見えてきたみたいだぞ?」
クラウ少年が一軒の家を指差して知らせた先にあったのは町で見かけた家と同じかそれよりも少し大きいくらいの家だった。
だけど他の家と違い、家の周りを囲むようにある柵に並ぶように家を覆い隠すような木々が植えられている。
『何というか怪しさ満点なお家ですね』
「「……」」
家の中を見られたくないのか植えられている木々が鬱蒼と生い茂っていて爽やかなイメージのカントリーハウス調の建物が、オドロオドロしいお化け屋敷を連想させられます。
二人も依頼人の家をはじめて見たのか無言で見つめているけど、依頼を受けた時はギルドか何かで話をしたんですかね?
『驚いているのもいいですけど、早く終わらせないと父が乗り込んできてしまうと思いますよ?』
予想外の事だったのか固まってしまった二人に促すと、慌てて動き始めた二人は無言で家に近づいていく。
う~ん。
これは二人とも少しトラウマになってるんですかね?
これは力強く生きてくださいとしか言えませんね。うん。
「……どなたですか?」
鬱蒼と茂る木々の合間を通り、ギャロが家の扉をノックすると少し年を重ねた男の人の声が聞こえて扉が開けられました。
中からでてきたのはRPGなので出て来るザ・商人という服装の三十か四十代の男性だった。
まあこの人の体型は筋肉が程よくついてて小太りとはまったく無縁だから同じ冒険者だと言われても信じてしまうかもしれないです。
目じりが下がってて柔和な顔立ちを体現したような人です。
にこにこと笑ってて見た目は物凄く優しそうで初対面の人にもすんなり溶け込むのも頷けます。
見た目だけだと嘘をつかなそうな感じですが、さてこの人は見た目通りの人なんでしょうかね……?




