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さてさて、母の話をちゃんと聞いたところ、とても衝撃的なお話をされました。
何でも今まで念話が使えるのにすぐに教えなかったのは、魔力のコントロールがとても難しく下手をしなくても魔力暴走を起こしてしまうかららしい。
だから教えるのは通常ちゃんと体力と気力、精神力をほどほどに鍛えてから。
じゃないと体の弱いうちは暴走の度合いによっては命を散せてしまうからだとも教えてもらった。
だからこそ母もワタシ達の体を鍛えてから教える予定だったのに緊急事態とはいえ父があっさり教えてしまい、案の定ワタシは軽い魔力暴走を体内で起こし気絶してしまった。
うん。もうこれは父が悪いよね。
そんなに怖い選択だったなんてまったく思ってなかったから、力いっぱい教わった通りに実行しちゃったじゃないですか。
当の父はワタシが気絶してしまった後、ワタシが疲れて寝てしまったと思ったらしい。
気絶し地面に頭を打ってしまっていたかも知れないワタシを、いつものように首を銜えて運ぼうとしたのを誘拐犯の二人が慌てて止めて抱き上げたままここまで運んでくれたらしい。
ちなみにこれは母から聞きました。
何でも洞窟に戻ってきた時母も誘拐した二人に殺気を飛ばしたそうなんだけど、その時点で既にボロボロになっていたから二人に牙を向くことを事情を聞くまだはと我慢をしたそうです。
誘拐犯二人と父の話を聞き母がだした結論は、当たり前だが誘拐犯二人へと軍配が上がった。
まあそれは仕方ない。
何でも父はワタシが疲れて寝たから銜えて戻ろうとしたのに、この二人が横から奪い取ったと言って手加減はしたとはいえ散々痛めつけた二人をまた痛めつけようとしたらしい。
話を聞いた母はワタシが気絶したことに気づき父にお説教をして二人を痛めつけようとしていた父を逆に痛めつけたとのこと。
これは兄弟達に揉みくちゃにされた後、くたびれた雰囲気を纏わせた二人が教えてくれた。
兄弟と花は洞窟の奥で眠るワタシの近くで寄り添っていたのを横に、夫婦喧嘩が始まったとのこと。
それはもう凄まじく、容赦ない噛み付きや体当たりが母から父に対して一方的に送られ、二度と見たくないと顔を青ざめさせながら教えてくれた。
一体どれだけ怖いことが目の前で起こったんだろう……。
それが昨日の事らしいけど、今ワタシの近くにいてくれる母はとてもニコニコしていてそんな雰囲気が感じられない。
だけど洞窟の入口の方で項垂れている父の姿は昨日まで綺麗な毛並みをしていたのに、今は所々毛が毟り取られたような痕や汚れが見られるところからも、きっと凄まじい一方的な蹂躙現場だったと思われます。
だって母の毛艶は今日も輝くように綺麗ですもの。
……母に逆らうのは何があっても止めようと思います。
さて、これから二人に何でワタシを誘拐したのかちゃんと聞いてみようかと思います。
まあ人間違いしてたみたいだけどね。




