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転生物やトリップ物で気絶をしたらよく前世のことや残してきた人たちの夢を良く見ている気がする。
それは心残りがあるからなのか、それとも郷愁の念に駆られるからなのか、それは分からないけれど大事な人たちの夢を見ていると思う。
ワタシも夢で見るのかななんて思ってたのに、現実は気絶してもまったくこれっぽっちも夢なんか見ずグースカ寝ていた。
それはもう一晩立つくらい。
目が覚めたワタシが見たのは見慣れた住処の洞窟。
そしてワタシをジッと見つめている兄弟と花がワタシを囲んでガン見している視線。
その熱視線をうけながら暢気に眠りこけ気づかなかった事実に落ち込んだ。
目が覚めた瞬間兄弟の洗礼を受けた。
もふもふに揉みくちゃにされるのは嬉しい。
だけど四人が一気にワタシにじゃれ付いてきたことで呼吸が途切れ途切れになる。
心配させていたのか尻尾をぶんぶん振り回してじゃれ付くように毛繕いをしてくれる兄弟をいつものように素気無くすることもできず成すがままになる。
きっと夢を見なかったのはワタシが家族の一員になれているから。
ここがワタシの居場所だといていいのだと示してくれる存在がこんなに近くにいるからきっと不安になる暇がないんだと思う。
……まあワタシが薄情だからだという線も捨て切れないんだけれど。
そこはとても気になるところだけれど、きっともう『ワタシ』は『私』じゃないからなのだと自分の精神的安定のために納得しておく。
さて、気絶したあと父はワタシの言ったことを無視することなくワタシを誘拐した二人に何もしないでいてくれたみたいだ。
よかったよかった。
ワタシが起きたことで安心した兄弟達が次のターゲットにして飛び掛っていったけど、命があるだけきっとマシだよね。
飛び掛られたときに驚いて後ろの岩に二人とも思いっきりぶつけていい音を出してたけど、まあ許容範囲内、範囲内。
というよりすっごい自然に溶け込んでるけど、何で花が洞窟の中にいるんだろう?
兄弟にまぎれてじゃれ付いては来なかったけど、二人のとこへいった兄弟とは違ってワタシの傍で奇妙な踊りを披露しているのは喜びを表しているものだと思っても大丈夫ですよね?
なにかの呪術みたいでちょっとドキドキです。
『オチビちゃん、どこか痛いとこはない? 痛いところがないなら念話は使わずに首を縦に振ってくれる?』
「く~ん(大丈夫です母)」
花の奇妙な踊りに見入ってしまっていると横から母が兄弟達に揉みくちゃにされて逆立ってしまった毛を毛繕いしてくれながら聞いてきたのでいつものように鳴いて返事をして首を縦に振る。
『オチビちゃんが無事でよかったわ……。もし一晩たっても意識が戻らなかったら、オチビちゃんの獲物だと聞いていたあの二人を亡き者にしてしまったかもしれないもの』
おおお……。
さらっと今物騒なことを言われたね笑顔で。
なんで夫婦そろってそんなに過激なんですか。
『あれはワタシのです。駄目です!!』
あの二人が今もまだ命の危機に晒されていたことに気がつき、慌てて母にも念話で釘をさしておく。
気がついたら二人がお空の住人でしたなんてことになってたら寝覚めが悪すぎます。
だけど慌てすぎていたとはいえ今後はもうちょっと言葉のチョイスは考えようと思います。うん。
『あらあらオチビちゃん起きたばっかりで急に使い慣れてない念話を話して体は大丈夫? 体から力が抜けたような感覚はない?』
ん? そういえば最初に話したときは緊張してたとはいえ何か体から一気に力が抜けた感じがしてたけど、今は特に何の感覚も起こらない。
『まあまあ。もう何の違和感もなく使えるなんてオチビちゃんは魔力の操り方がうまいのね。念話はね生き物なら皆持っている体の中に流れてる魔力を使って話しているの。だから昨日オチビちゃんが気を失ったのはちゃんと魔力の扱いを教えていないのにあの人が使うように教えてしまって、力加減が分からずに使ってしまったからなの。だからオチビちゃんにもこれから少しずつ教えていくからあまり一人で練習しすぎないようにしてね? また意識を失ってしまうかもしれないから。ね?』
不思議そうに首を傾げていたからなのか母が説明をしてくれた。
まだ起きたばかりの頭はその言葉をなんとなく理解してくれたけど、それよりも困ったように小首を傾げて見つめてくる母が可愛すぎて身悶えそうになりました。
寸前でなんとか堪えたけど母の威力は半端ないことを学びました。




