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ワタシの言葉に止まってくれた父。
その様子はキリッとしたままだけどどこかキョトンとした雰囲気を纏わせている。
これはちゃんと伝わったのか判断に困るとこだけど、どっちなんだろう?
『どうしたんだい? オチビちゃん』
あ、全然伝わってないみたいですね。
さてどうやって伝えたら伝わるかな?
思わず走って父の所まで来たけど何にもいい方法が思い浮かばない。
とりあえずおねだりしたらニュアンスだけでも伝わらないかな?
よし、駄目もとでやってみよう。
「く~ん(父。この人たちのことはワタシに任せてほしいです)」
父の前でお座りの姿勢をとり、立っている父の前足にちょこんと自分の足を乗せ、小首を傾げるように見上げて甘えた声を出してみた。
自分でもあざといと思うけど、人の命が何故かかかっているので込み上げてくる羞恥心は必死で見ない振りをした。
今だけワタシは女優。ワタシは女優。
何度も自分に自己暗示をかけながら父の目をジッと見つめると、父の張り詰めていた空気がフッと軽くなるのを感じた。
『オチビちゃん言いたいことがあるなら声に出そうとするんじゃなく頭の中で思い浮かべなさい。相手に届くように語り掛ければよっぽどのことがなければ伝わるからね』
父はワタシに分かりやすいようになのか、少し考えてからそう教えてくれた。
もしかして魔法的な何かなんでしょうか?
まあ考えても分からないことは置いといて、言われたとおりに実行してみることにした。
『父。この人たちはワタシに任せてください』
頭の中で父に届くようにと強く願いながら頭の中で語りかけてみた。
初めてのことで力が入りすぎたためなのか、少し言葉を思い浮かべた後体の力が抜けた感覚がし脱力した。
『ふむ。ようするにこの二人はオチビちゃんの獲物ということかい?』
『まあ、はい。そんなところです。だからこの人たちも町にいる人たちにも手を出さないでほしいんです』
ちゃんと伝わったようで、父が少し思案して確認をとってきた。
最初に自分で獲物だって言ってしまったけど、まあこれで納得してくれるなら獲物でもいいかな?
頭の中で話すたび、脱力感が強くなっていく感覚に襲われる。
これはどうしたんだろう?
緊張してないと思っていたけど、父に会って安心したのかな?
少し頭の中に霞が掛かったような感覚を感じ、ワタシの体から一気に力が抜けて前のめりに倒れていくのを感じた。
何が起こったんだろう……?
そう考える前にゴンッという音を耳にし、ワタシは初めての気絶を体験した。




