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封印聖女×刀ヲ継しモノ  作者: 檜高 黎
一章 異世界
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ある騎士と地下牢

感想、指摘など、気軽にご意見頂ければありがたいです。

この物語はフィクションであり、作者自身、初めて書く作品ですので読んで下さる皆さんの意見をお聞かせ下さい。厳しい指摘も歓迎しております。

 クロウは深緑に囲まれた、小高い丘に鎮座するキャメロット城の地下牢へと、幽閉される事となった。 王命により、クロウは騎士達に連れられ、王宮から出される。

 王宮から出て、吹き抜けになった広大な廊下の角には、地下へと降りる階段があった。

 騎士達に連れられ、石段を下りて行くと、周囲を石で囲まれた、牢屋への出入り口が鉄格子になっている牢屋が無数にあった。

 牢屋への入り口には、鉄格子で柵が設けられていた。

 鉄格子の前には、二人の牢兵が槍を携え立っている。騎士達がクロウを連れて降りてきた事に気づき、

素早く姿勢を正す。


 「ご苦労様です、今鍵を開けますので、少しお待ちください」


 鍵を回す金属音が鳴り、鉄格子の扉が開かれる。牢に入る間際、牢兵が話しかけて来た。


 「申し訳ないのですが、武器を預からせて頂きます」


 クロウは、刀を見つめて、一瞬戸惑うと静かに牢兵に受け渡した。

 もう一人の牢兵の案内により、騎士達は一番奥の牢屋に連れて行かれる。

 クロウは無数にある牢に、囚人が居ないことに気が付き、騎士に問い正した。


 「この牢には俺以外の、囚人はいないのかい?」


 クロウの質問に、一人が騎士が答える。


 「此処は、身分の高い者が罪を犯し幽閉される場所です」


 「そうか」


 騎士と会話をしてると牢屋の最深部に着き当たる。

 牢兵が鉄格子の鍵を開ける。

 クロウは黙って牢に入る。すると王宮でアーサー王に申しでた騎士が話しかけてきた。 


 「クロウ様、申し訳ありません。何の力添えもできず・・・」


 騎士は、長めの黒髪を後へ流し、中性的な顔立ちをしていた。深みのある碧眼から涙が零れ落ちている。

 クロウは、騎士に優しく語りかける。

 「泣かないでください。最悪の結果を考えてなかった訳ではないですから平気です。それに、当分の間と言ってましたし、アーサー王は俺を身分の高い者として配慮し、扱ってくれてますから」


  クロウは牢に入れられた事よりもこの騎士が泣いてる事が気になった。


 「正直に言うと、貴方が俺の為に泣いてくれるのが不思議でなりません」


 騎士はその問いに答える。


 「クロウ様、私も貴方と刃を交えた一人だからです。兜で顔を覆っていたので、覚えていないのも無理もありませんが、出会った時、最初に貴方に斬りつけたのは私なのです」


 その言葉にクロウは思い出す。


 「あの時の・・・剣士の方ですか」


 「はい。ランスロット様と戦うクロウ様の姿を拝見させて頂きましたが、クロウ様の剣技は逸脱しています。故に他の者には、理解しがたい物でしょう」


 「一瞬ではありましたが、この身で刃を受け、私なりに感じました。才あるが故、常に孤独、深い孤独を彷徨う刃で御座いました」


 「僭越ながら申しあげる所。クロウ様は、何故我等を斬らなかったのです?」


 「人を斬るのは、覚悟が必要です。強いからと言って無闇に人を斬りたくは無かった」


 「ですが、あの時私は、殺す気でクロウ様に剣を向けました。敵同士であるなら当然の事ではないですか?」


 「相手が、本当に敵であるかどうかは、刃を交えただけではわからないでしょう。意見が食い違ったとしても、全てが自分と相容れないとは限らないですから」


 「クロウ様は、お優しすぎます。このままだといつか命を落とす事となります」


 「心配してくれてありがとう。好かったら、貴方の名前を教えて頂けませんか?」


 「私はパーシヴァルと申します。以後お見知りおきを」


 そう述べるとパーシヴァルは牢兵に申しつける。


 「毛布を持ってきてくれないか。夜間は寒くなる、クロウ様に何かあっては、心配するランスロット様とガウェイン様に申し訳が立たない」


 牢兵は急いで牢屋に置いてある毛布を持って来た。毛布をパーシヴァルに受け渡す。


 「夜間は、冷えるのでお使い下さい。何かあれば牢兵に言って、私を呼んで下されば、出来る限りの事をしますので」


 クロウは毛布を受け取り、壁にもたれ掛かった。


 「ありがとう・・・パーシヴァル・・・それと二人に俺は大丈夫だと伝えて・・・くれ」


 パーシヴァルに告げた直後クロウは、深い眠りに落ちていった。

 そんなクロウを見て、パーシヴァルは余程、疲れていたのだろうと察した。牢へ入りクロウの手から毛布を取り掛ける。


 「今日一日、見知らぬ土地で、この様な扱いを受けられては疲れて当然だろう」


 牢から出て牢兵に鍵を掛けさせると鉄格子の入り口を通り抜ける。

 そして、二人の牢兵に言い放つ。


 「クロウ様は、ランスロット様とガウェイン様に認められた方だ。何か遭ったら只ではおかぬ」


 パーシヴァルは二人に言い含めると、騎士達と共に石段を登っていった。


/


 一方、王命であれ、納得できない。二人の卿はランスロットの部屋で憤りを隠せないでいた。

 ガウェインは、銀で出来たコップを片手に葡萄酒を飲みながら、部屋の中央に鎮座する鉄製のテーブルに備え付けてある椅子に腰掛け、酒を飲みながら憤慨していた。


 「アーサー王の言う事も、我等も分かる。だが幽閉する事もなかろう!」


 「ランスロット、アーサー王はどうしたのだ? 昨夜の落雷にしても、高が落雷。貴公の騎士団を出してまで詮索することもなかろう?」


 二人の卿は、府に落ちないでいた。


 「クロウはどうしてるかの・・・」

 

 ランスロットは、テーブルの真上に位置する暖炉に薪をくべながら、ガウェイン卿が心配するのも、無理はないと思っていた。


 「夜になると、牢屋は一段と冷えるからな。風邪でも引かなければよいが」


 ランスロットの言葉にガウェインは、椅子から離れて暖炉から右隅にある窓辺に立つと葡萄酒をあおる。

 ランスロットは、薪をくべた後、扉の向かいにある本棚から本を一冊手にとり、中央に位置するテーブルの椅子に腰掛けて銀のコップに酒を注ぎ本を読み出した。

 なんとか怒りを静めようと二人は、何かに集中しようとしていたが、どうしてもクロウが心配になって落ち着いていられない様子だった。

 二人が心配していると、扉越しから声が聞こえた。


 「ランスロット様、パーシヴァルです。クロウ様から伝言を託っております」


 ランスロットは、本をテーブルに置くと扉に向って言いはなった。


 「入室を許可する、入れ!」

 

 扉は開かれ、パーシヴァルが入ってきた、ガウェインはランスロットの隣の椅子に腰掛けて銀のコップを置いて腕を組みパーシヴァルを見つめた。


 「失礼致します」


 パーシヴァルは二人の卿の前に歩み出て、片膝を付く。

 ランスロットは心配した顔で、パーシヴァルに問いただす。


 「クロウの様子はどうだ?」


 「気丈な方です。牢に送られたと言うのに、お二人に大丈夫だと伝えておいてくれと、託っております」


 「そうか・・・」


 ガウェインは困った顔をして言う。


 「気丈か、頼りないんだか頼りになるのか分からん奴だな。クロウがそう言うなら我等は待つしかあるまい」


 「そうだな、暫くは様子見だな。パーシヴァル、クロウの監視を怠るな!」


 「ハッ!」


 返事をし、パーシヴァルはランスロットの部屋を後にする。


 「ガウェイン、我等も寝るか」


 その言葉にガウェインも同意する。


 「今日は、色々あり過ぎて疲れたわい。特に地下牢にいるクロウのお陰でな」


 「確かに、年寄りには荷が重かろう?」


 「まだ現役で入られるわ! 今日は体調が悪かったのだ」


 ランスロットは冗談交じりにガウェインを弄んでいる。冗談に付き合うガウェインにも、クロウを通して、いつの間にかランスロットとの絆が生まれ始めていた。

 椅子から立ち上がって、扉に向いながらガウェインは言う。


 「では、ランスロット。ワシは寝るぞ」


 「ああ、また明日な、ガウェイン」


 ガウェインは、部屋から出て自室に戻って入った。


 ランスロットは、部屋の左隅にあるベットへと体を投げ出だして呟いた。


 「今日は、クロウのお陰で本当に疲れた・・・」


 独り言を呟きながらランスロットは、すぐ睡魔に誘われ眠りに入っていった。


     

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