隠者
茶色い髪を弄りながら、玉座に座る男は膝を組み、薄暗い室内を見つめて待っていた。
男の前には、若い娘が三人並んで膝をつかされている。
悦に浸り見下すかのように見つめると、影が大きくうねり娘達を飲み込んだ。
その後は、何も残されてない。
満足そうに悦に浸ってると、玉座の脇から黒い霧が現る。
仮面を被った人物だ。
仮面で表情を覆い隠した人物は、玉座に座る人物に話しかけた。
「食事は済んだのか? 約束の品をもらいに来たんだがな、準備は出来てるか?」
「それなら、地下に死体が転がってるよ。散々楽しんだ後だがね、好きなだけもって行けばいい」
嬉しそうに嗤う玉座の男は、死体には興味がない様で関心なさそうに答えた。
「そうか、お前と契約したのは正解だったな…。それから若さとその化け物を保持したければ餌を与えるのを怠るな」
玉座で膝を組んだまま、男は答える。
「解っている。それより情報は本当なのか? ここに円卓の騎士が二人来るというのは?」
仮面の男は、淡々と答える。
「間違いない。一人は新参者の円卓の騎士だ、そしてお前が昔から望んだお嬢さんも一緒だ。あちらには興味がないのでな、お前の好きにすればいい、私が用があるのは新参者のほうだ」
膝を組み男は答える。
「男の話に興味はない。適当に死体運んで出て行ってくれないか? 私は醜いものが嫌いなんだ」
その言葉に、不快感を覚えた仮面の男は玉座の前に立つと凄む。
「調子に乗るな…。貴様如き私の力でどうにでもなる。立場をわきまえろ…」
仮面の瞳の奥から闇を溢れ出した光景を目にすると、玉座の男は黙り込む。
「ああ、それから一つ忠告しておこう。お前の目当てでない方の騎士を侮るな…」
そう言うと仮面を被った人物は、闇に溶けていった。
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仮面の男は、地下牢に姿を現すと山積みになった死体を目にして獰猛に笑う。
鉄の臭いが鼻を突く、床は血の水溜りが所々に出来ていた。
「これだけあれば問題なく準備を進められるな」
仮面の男が何か呟くと、死体は黒く濃い霧に包まれ跡も残さず姿を消した。
何もなかったような地下牢をみつめて、仮面の男は呟く。
「調子に乗るのもいいが、どうせお前は道化なのだからな」
愉しそうに嗤って、霧の中に姿を消した。




