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封印聖女×刀ヲ継しモノ  作者: 檜高 黎
三章 円卓に集う者
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円卓に集う者

 クロウは、牢屋の反対側にある階段を降りて円卓の間の前にいた。

 異世界に召喚されて、今更こんな所で足が動かないなんて―――バカげてる。

 彼はそう思っていた。


 「進むしかない!」

 

 円卓の間への扉をゆっくりとひらく。

 想像以上に軽かった。

 ゆっくりと歩き出した。

 円卓の間に入ると、そこには大きなテーブルにダーツ盤のような布が掛けられていた。

 円卓には銀の杯と蝋燭が十四個。正面には大きな丸い鮮やかなステンドグラス、中央には十字架に吊り下げられたイエス・キリストの模型。

 クロウの足元には小さな二段くらいの階段があり、部屋の四隅には長い杯形の火柱が灯っていた。

 灯りが複数の人影を映し出す。

 ゆっくりとクロウは階段を降りた。

 突然、声が上げられた。

 

 「クロウ、待ちかねたぞ。私の隣に!」

 

 (この声はアーサー王か?)


 薄暗い部屋を、声の元へ歩きながら確実に進んでいく。

 やがて、椅子の前まできて横からアーサー王らしき声が話しかけてくる。

 

 「クロウ座りたまえ」

 

 クロウは、椅子に腰掛けると、突然蝋燭に火が灯る。

 そして、円卓に座った者の顔を照らし出す。

 

 「さぁ! 準備は整った。各自の紹介をしていこう。では私からいつもどおりとりはじめる」


 アーサー王は、席を立ち悠然と話し出した。

 

 「私は、アーサー・ペンドラゴン。今日新たなる円卓の騎士を迎えれた事を神に感謝する」

 

 続けて、隣の人物が席を立つ。

 

 「おめでとうクロウ卿。私はモードレッド。この祝いの宴をしゅくして」

 

 と、杯を掲げる。

 

 その風貌は、濃いめのブラウンで黒に近い髪をして、瞳は碧眼。マントの色は黒色だった。 

 順に紹介が始まった。

 

 「貴公が噂のクロウ卿か! 私はブラモア宜しく頼む」

 

 そして、杯を掲げる。

 

 「私は、アリノールだ。宜しく」


 静かに杯を掲げる。

 

 次は大広間であった人物だった。

 

 「始めましてだなクロウ卿、エク-トルだ。呼ぶときはエクトールでかまわんよ」


 そう言うと堂々杯を掲げた。

 

 エクトールの言葉にクロウは目を見開いて驚いた。

 (ランスロットの・・・弟!? どう見てもランスロットの方が下に見えるだろ・・・)

 

 「私は、ダゴネット! 宜しく頼むよ。クロウ卿」

 

 と杯を掲げる。

 

 「クロウ様、円卓の騎士就任おめでとうございます。私はケイ。宰相も兼任してます」

 

 ケイは、淡いピンクのマントを纏い優しく微笑んで杯を掲げた。

 (ああ・・・ケイ解ってくれたのか)


 ケイの言葉にクロウも安堵した。

 

 「クロウ様、おめでとう。私はパーシヴァル。昨年円卓に加わりました」

 (え・・・パーシヴァルってランスロットの騎士団の一人じゃないの?)

 

 若干手元が震わせながら黄色のマントを纏い杯を掲げた。

 

 「私は、ライオネル! 貴方にお会い出来て光栄だ。クロウ卿」

 

 金髪碧眼。髪は短めで天を仰いでいた。マントの色は金色で結構な男前だった。

 

 しっかり杯を掴んで掲げる。

 (うん・・・パーシヴァルと風格が違うな・・・)

 

 「私は、ガレス。クロウ卿お会い出来て光栄だ」

 

 流れるような手つきで茶色のマントを纏い杯を掲げた。

 

 「クロウ。もう自己紹介など必要もなかろう!? ガウェインだ」

 

 無造作に杯を持つと堂々と掲げた。

 

 「僕は、ベディヴィエール。おめでとうクロウ様」

 

 左手でしなやかに杯を手にとると銀色のマントをなびかせて掲げる。

 

 「クロウ、ランスロットだ。おめでとう」

 

 流麗な手つきで杯をとると掲げた。

 

 「クロウ卿、ガラハドです。貴方に乾杯だ」

 

 白いマントを纏い杯を手にとると高々掲げた。

 

 アーサー王は全員自己紹介が終わったのを確認してクロウに声を掛ける。

 

 「クロウ!君の番だ!」

 

 クロウは、呼吸を整えるとゆっくりと立ち上がり、おおらかに宣言した。

 

 「この円卓に名を連ねる事が出来て光栄です。若輩者ですが宜しくお願いします」

 そう告げて杯を掲げた。

 

 アーサー王は円卓の騎士全員に向かい頷いて言い放った。

 

 「盟約の杯をかわし、剣を掲げよ!」

 

 一斉に杯の水を飲み干して、一斉に剣を引き抜くと円卓の中心に掲げた。

  

 「これで、我らの盟約は交わされた! 共にキャメロットの繁栄を願おう!」

 

 そういうとアーサー王は、クロウに耳打ちをして、

 

 「クロウ、後で謁見の間に来たまえ・・・大事な話がある」

 

 クロウに告げた後、アーサー王は円卓の間から出て行く、その後ろをモードレットから順番について退席していく。

 最後に後に続きクロウが退席していく。

 円卓の間の扉に丸いステンドグラスから色とりどりの鮮やかな光が差し込む。

 振り向いたクロウに少女はやさしく微笑む掛ける。

 

 「おめでとう。クロウ! これから忙しくなると思うけど私の聖騎士なんだから頑張りなさい!」

 

 クロウは俯瞰した少女を見上げて優しく微笑み答える。

 

 「わかってるよ、ヴェルフィーユ。どんな時も俺の心は君と共にあるから」

 

 幸せそうに微笑むと少女は姿を消した。

 

 クロウはまっすぐ扉を見据えて勢いよくあけると、階段を登り中庭を右手に謁見の間を目指して突き進む。

 

  初めて来たときとは違い颯爽と歩き出す。

 謁見の間の前までたどり着くと騎士によって扉はひらかれた。

 玉座にはアーサー王が座っていて、クロウを見つめる。

 

 「クロウ、私の前まで来るのだ」

 

 「ハ!」

 

 クロウは、アーサー王の前に跪き、頭をさげる。

 アーサー王は剣を引き抜き、胸元で構えるとクロウに問う。

 

 「今から正式に卿の位を授ける。ただちに洗礼を行う」

 

 その言葉にクロウは、アーサー王に進言する。

 

 「洗礼はすでに行いました」 

  

 アーサー王は怒り出すかとクロウは思っていたが返って来た言葉は意外なものだった。

  

 「聖女ヴェルフィーユの洗礼か? ならよい。洗礼を受けたことにして卿を授ける」

 

 クロウは一瞬と惑ったが、顔を引き締めて述べた。

 

 「ありがたき幸せ」

 

 アーサー王は真剣な眼差しでクロウに話しかけた。

  

 「クロウ、円卓の騎士になったが、内心まだ認めてない者も多い。今からコンウォールの西にあるヴェルドラッカー言う城に向かい直ちに制圧して領主となり、その地を平定せよ。そこは貴重な塩、鉄が取れる場所だが、かつての円卓の騎士がサクソン人を従え占拠している。厳しい戦いになることは確実だ。民はわれら同様ブリテン人だが圧制に苦しんでいる。兵をあげて占拠するのは簡単事だが、それでは民が犠牲になる。クロウ。お前には光が傍にいる、だからこそお前にしか頼めない事なのだ! 期限は三ヵ月だ! それで戻ってこなければ伝令を向かわせる。成し遂げれるか? クロウ!?」


 

 

 クロウは、アーサー王に顔を上げて言い切った。

 

 「・・・必ず、成し遂げて見せましょう!」

 

 クロウの言葉にアーサー王は満足そうに頷くと玉座の傍から鈴を取り出して鳴らした。

 鈴の音を聞いた外の騎士は銀の胸当てを抱えて入ってきた。

 

 「私が、若い頃使っていたものだ。クロウお前に託そう、すでに出立の準備は出来ている」

 

 その場で騎士の手によりクロウは、胸当てに着替えさせられた。

  

 クロウは頭を下げて堂々と謁見の間を出て行った。

 

 クロウの姿をアーサー王は懐かしそうに見つめていた。

 (どうか、聖ヴェルフィーユよ、クロウに加護を・・・)

 

 クロウは、謁見の間を出て中庭を抜けると、そこにはケイが道を塞いでいた。

 

 「クロウ様どこにいくのです!」

 

 クロウは笑って、

 

 「散歩だよ。すぐに帰るから心配しなくていい」


 その言葉にケイは感情的に声を荒げる。

 

 「嘘です!! どこにいかれるのですか! いくなら私も連れてってください!」

 

 クロウは疾走して、ケイの脇を通り過ぎる瞬間囁いた。

 

 「ケイ、これは夢なんだ。君は俺と言う幻を視てるにすぎない。サヨナラだ・・・」

 

 クロウは疾走すると、城の外に出た。追ってくるケイを振り切ると指笛を鳴らす。

 黒い馬が走ってきてそのまま城門に向かう。

 クロウは、跳躍して馬に飛び乗ると手綱を握り締めて馬を走らせる。

 アーサー王の手はずで、すでに城門は開いていた。

 そのまま城下を抜けて駆けて去って行った。

 

 残されたケイは、城門の前で悲痛な叫び声を上げて泣き崩れた―――。


 

/


 不気味な木が生えた鬱蒼と森の中、仮面をつけた隠者はみすぼらしい小屋に足を踏み入れる。

 内部は簡素な木のテーブルと椅子、正面に大きな本棚があるだけだった。

 床は木の板で打ち付けられただけの建物だった。

 

 隠者は呪文を唱える。

 

 「我が名はマーリン! 閉じた門よ。主の名に共鳴しその道を開け!」

 

 本棚は音を立てて開かれると、奥深く地下へと進む洞窟の入り口を垣間見せる。

 隠者は、ゆっくりと降りていき入り組んだ洞窟の地下工房にたどり着くと木で出来た扉をあけて内部にはいり、橙色の髑髏を手にとり怪しく嗤った。

 

 「期限まであと九ヶ月か、十分間に合うな。想像しただけで愉しくなる」

 

 髑髏を手にとると、奥の工房に足を運ぶ。

 テーブルに置いてある骨壷の底を見つめて、

 

 「ほう? まだ残っていたか。ついでに使うとしよう」

 

 そう呟くと、大きなガラスで出来た二つの培養液の中に髑髏と骨の欠片を投げ入れた。

 その中に白い液体とバケツに削いだ腐敗した肉片を大量に入れ込んだ。

 狂気の声を張り上げて呪文を唱え始めた。

 

 「本当に長き間この時をまった!」


 「無理もない、ここまで来るのにどれ程時間を費やしたか!」


 「丑の刻、予言を視てからという物!」


 「来るべき日を待ちわびた!」


 「即ち、アレを手にすれば私が世界を統べる!」

 

 呪文を唱え終わると男は狂気に満ちた瞳で口元を歪ませて嗤った。

 その二つの培養液の容器の横に一つだけ空の容器があった―――。

 


 

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