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封印聖女×刀ヲ継しモノ  作者: 檜高 黎
三章 円卓に集う者
22/36

希望の光と対峙する天才

感想、指摘など、気軽にご意見頂ければありがたいです。

この物語はフィクションであり、作者自身、初めて書く作品ですので読んで下さる皆さんの意見をお聞かせ下さい。厳しい指摘も歓迎しております。

 高台から舞台を見下ろし、アーサー王はクロウの戦う姿を見て、ガウェインに話しかける。


 「ガウェイン、今の攻防を見てどう感じた?」


 王の問いかけに、ガウェインは答える。

 

 「判断力、意志力、覚悟、どれをとっても賞賛に値しますな」


 アーサー王は、ランスロットを見て頷くと、ランスロットは一瞥したのち直立不動で、質問に率直に述べた。


 「クロウの戦い方は、確かに優秀です。ただ私から見るに己の身を省みてない戦い方で危険だと、見受けられます」


 アーサー王は、両者の言葉に耳を傾け、確かにランスロットが言った事も一理あると考えていた。

 昨晩の襲撃事件に対しても、そうだったからだ。

 

 「クロウは、一人で戦う事に固執している。円卓の騎士に迎えるにはまだ早いのかもしれぬ。だが早急に強化を図らないといけないのも又、事実ではある」


 アーサー王の言葉に、舞台を望める石作りの一室は、静まり返る。

 こういう時に、マーリンの助言があればと一瞬思ったが、今までマーリンを頼り過ぎた為に、賊の侵入を許した事を思い出し、真実を話し始めた。


 「昨晩の賊だが、マーリンに成り代わり、私に助言をし国を操っていたのだ。私がクロウを牢に閉じ込めたのも、マーリンだった者が指示したからだ」


 突然の言葉に、グィネヴィアを始め、二人の騎士は驚いた。

 

 「では、アーサー王自らの判断ではないのですね!?」

 

 グィネヴィアは、アーサーに問いかけた。

 投げかけに応じるように、辛そうな顔で答える。

 

 「私は、早朝マーリンだった者から、突然伝えられた。落雷が落ちた場所にランスロット騎士団を向かわせてほしいと、その時はマーリンが助言した事だ、何か意味があると思っていた。実際はどうだ? マーリンはその者の手によって殺害され、マーリンは賊に操られていたに過ぎなかった・・・事実、私はマーリンを本物か見抜けなかったのだ」

 

 アーサー王は頭を抱えると、自責の念に駆られ俯く。

 その姿を見て、グィネヴィアは慰める。

 

 「アーサー、それは仕方の無いことです。別人なら見抜く事も出来るでしょう。でも賊は、マーリン自体を操っていたのです、貴方に非はないのです」

 

 二人の騎士もアーサー王に、体を向けると同様にうなづき、ランスロットは友人として話しかけた。

 

 「一番近くにいて、マーリン殿と接しているアーサー王が見抜けなかったのです、我等が見抜けるはずがありません。アーサー王、貴方に非は無い」

 

 続けて塞ぎこんだ王に、膝を付きガウェインが話しかける。


 「アーサー王、この世界にクロウが現れた事に、一連して賊の関与があるようですな。賊が何を考えて行動しているかはわからないですが、クロウを中心に何か好くない事が起きようとしていますな。クロウを円卓に招くのはこのましくないかも知れませんな」

 

 ガウェインの言葉に、グィネヴィアとランスロットは、トドメを刺すなと心の中で叫んだ。

 

 アーサー王は玉座に座りなおし、

 

 「クロウが、好ましくない? 確かにそうだな。普通ならそう考えるだろう。だが、クロウには闇がつきまとう反面、常に傍に光が存在しているのだ。私の見立てでは、光はどうやらクロウに恋をしてしまっているようだ。光あるところに闇があり、闇があるところに、光がある。私は信じてみようと思うのだ、クロウとその光を・・・。形あるものはいつか滅ぶ、永遠など無いのだ。だが、絆と言う物は、時が過ぎ去っても確かに人々の心に残る物だ。だからこそ、その絆にかけると私は決めたのだ」 

  

 そう言ったアーサー王は、実に王らしい威厳を放っていた。マーリンと言う呪縛を振りほどき以前とは違う風格を醸し出していた。

 アーサー王の迷いのない言葉に、グィネヴィアは心を痛めた。一瞬、ランスロットを見上げて、舞台に顔を戻し、舞台を見据えた。


/


 民衆の見守る中、白い外套に覆われた人物は、外套を脱ぐと姿を現す。

 金髪碧眼に、金色に輝く長い髪を首元で束ねている。腰には剣を携え、優美な姿をしていた。

 その顔は、髪の色こそ違えランスロット似の美しい顔をしていた。

 


 (ああ、ランスロットの息子か・・・。円卓の騎士を一筋縄で倒すのは無理だ。円卓に名を連ねる人間は皆、天才と断言していい。しかもランスロットの息子か、最後にジョーカーを引かされた気分だ)

 

 舞台を取り囲む、周囲からは若い娘達を中心に、黄色い声が沸き立つ。


 「キャー! ガラハド様! そんな漆黒の者やっつけて!」

 

 若い娘の掛け声に、反応してクロウびいきの乙女も声を上げる。

 

 「クロウ様! ガラハド様を倒して!」 

 

 ケイは、両者の黄色い声に不愉快に感じていた。

 まぁ、ガラハド卿の事はいいにしても、クロウ様に目をつけたのは、私が先なのにと言った風に表面上はあくまで、審査員として装っているが、クロウひいきの女性をうっとおしく思っていた。

 


 クロウは、刀を引き抜き石床に突き刺すと、膝を付きリボンを拾いきつく繋ぎ合わせる。

 鮮血はてのひらから、舞台へと雫となり落ちていて、とても刀を握れる状況ではなかった。

 クロウは、刀を握り締めると、左手と口を使い、リボンで柄と拳を強く固定した。血に染まっていくリボンを見つめながら祈る様に心の中で呟いた。

 

 (ヴェルフィーユ、どうか俺を勝利に導いてくれ! この局面を切り抜けるだけの加護をどうか!)

 

 ケイは、両者の状況を判断すると確認する。


 「ガラハド卿、準備はいいですか?」


 ガラハドは、ゆっくりと剣を引き抜くと構えて答える。


 「いつでもいいですよ。ケイ卿」


 クロウは、ケイを見て首を縦に振ると舞台の中心に立ち、ガラハドと相まみえる。

 ガラハドは、クロウを見て興味深い顔で嬉しそうに言う。


 「先ほどの戦い、拝見させて貰いましたが、いい参考になりました。お陰で僕の勝利は揺るぎ無いものになりました。ありがとうございます」

 

 クロウは、ガラハドの言葉を聞き流し、平常心を保つ様に心の内で思う。

 (そんな安っぽい挑発に乗るか!)


 ケイは、ガラハド卿の挑発を警告すると、両者の間に割って入り手を掲げて、

 「これより最終審査に、入ります! 始め!!」

 と言うと掲げた手を振り下ろした。

 

 合図と共に、クロウの右腕にガラハドの突きが放たれた。 

 クロウは、滑る様に左に紙一重で避けた。刹那、剣は軌道を変え、クロウにめがけ水平に襲いかかる。

 咄嗟の判断で、刀で受け止めると、ガラハドは両手で力任せにクロウを追い詰める。

 拮抗した状況下で、クロウも右手に左手を添えて力任せに対抗する。

 

 「利き腕を殺された、状況下でたいした力ですね。感心します」


 ニッコリ笑うとガラハド卿は、素早く剣を引くとクロウの背後に回り込んだ。

 バランスを崩された、クロウは前のめりになりながら何とか踏みとどまる。振り向いた直後、クロウの顔めがけてしなやかに突きが放たれていた。

 クロウは思わず声を上げる。

 

 「まずい! 避けきれない!」

 

 反射的に、左腕で攻撃を防いだが、剣はクロウの上腕部分に突き刺さり、血は剣を伝いガラハドの柄を濡らす。

 ガラハドは、剣を引き抜くと雄弁に語りだす。

 

 「貴方は、突きが苦手の様なので多様させてもらいました。貴方の戦い方も参考になりました。片手でよくやったと褒めてあげましょう。降参したらどうです? もう両手とも使い物にならなくなった今、戦えないでしょう?」

 

 クロウの左腕は、だらりと垂れ下がり、鮮やかな朱色の着物は血で色濃く染め上げていた。ポタリ、

ポタリと着物の袖を伝いまっ白なキャンバスへと、色をつけていく・・・。

 刀と右手を縛り付けていたリボンは、解け掛かっていて今にも刀は、手から離れようとしていた。

 ケイは、状況からみて続行は不可能だと判断し、終了を告げようと声を上げようとした。

 クロウは、ケイを見つめて言う。

 

 「まだやれる。今のは一本じゃないし、致命傷でもない」

 

 冷静を装い、ケイに告げる。

 ケイは、心配した面持ちで反論する。


 「ですが、状況的に勝ち目は薄いです。それより傷の手当をしなければ・・・」


 「無理なら降参するさ。まだ勝ち目はある! 利き腕を完全に殺された訳じゃないだろう?」


 勝ち目はある・・・? そう自分に問いかける。

 あるはずが無い、こんな状況で勝ち目があるなんて、嘘だった。

 ほぼ完全に、両手は死んでる。唯一、多少利き手が動く程度だ、我ながら可笑しかった。こんな局面でハッタリなんて言う自分が不思議だった、けれども勝てるとは言い切れないが負けるとも感じてなかった。

 ガラハドは、クロウの言葉に静かな怒りを覚えた。

 

 「この状況でよく、そんな事が言えたものですね! まぁいいでしょう。死んでも恨まないで下さいね、僕は、一応忠告しましたから」

 

 冷たくクロウに言葉を投げつけると、距離を取り構えた。

 クロウは、対照的に刀を、石床に突きたて、リボンを左手に握り、右手で構えをとった。

 そんなクロウを見て、ガラハドは怒りをぶつけるように話かけた。

 

 「剣士が、剣を手放してどうするつもりですか! 君は愚者か? 剣より強いものがあると言うのか!?」

 

 今までの余裕を漂わせる口調とは対照的にガラハドは語尾に怒気を纏わせた。

 クロウは、口元にうっすら笑みを浮かべると、ガラハドの神経を逆撫でし挑発する。

 

 「ガラハド卿、剣がこの世界で一番強いなんて思わない事だ。貴方こそ『愚者』なのか?」

 

 ガラハドは、貶された事で、誇りが汚されたと感じ、冷めた表情でクロウに走り出し襲いかかった。

 渾身の突きを、殺意を込めてクロウの胸へと正確に狙いを定めて繰り出した。

 クロウは、ギリギリまで引き付けて、右足を軸に左足を下げかわすと、左足をひねり素早く右膝でガラハドの右手を叩き上げた。

 剣は手元から投げ出されると、石床に弧を描いて音を纏わせ転がっていく。

 

 「なんだって!?」

 

 驚きで冷静さを取り戻した、ガラハドの目前には、クロウの左足が迫っていた。

 右膝で剣を叩き落とした後、右足が地面に着くと同時に軽く跳躍し左足をあげると、ガラハドの顎に狙いを定めて上から下へ振り下ろした。

 左足は、ガラハドの顎を正確に打ち抜くと、ガラハドは意識を刈り取られその場に膝をつき倒れこんだ。

 

 見た事も無い攻防を目の当りにした民衆は、驚いて声が出ない。

 ケイが、倒れたガラハド卿に近づき、腰を降ろして体を揺すったが微動だにしない。瞼を親指で上げると瞳は白目をむいていた。

 ケイは、声を張り上げて兵士呼び寄せると、ガラハドは二人の兵士に抱え上げられると担架で舞台から退場していった。

 決着がつき、クロウは安堵からその場にへたり込み、大きな溜息をついた。

 

 「満身創痍だよ、ヴェルフィーユ。また君に救われた・・・リボンが解けてなかったら多分負けてたよ」


 そう小声で呟くと、左手に握りこんだリボンを見つめる。

 ケイは、クロウに肩を貸し立ち上がらせると、大きな声で民衆に勝者の宣言を轟かせる。

 

 「勝者。クロウ卿! わたくしの判断に異論がある者は、歩み出てもらっても結構です! 異議をお持ちの方はどうぞ申して下さい」

 

 民衆は、ケイの言葉に静まり返ると、皆互いに顔を見合わせた後、大きな声で歓喜の声を上げた。

 

 城下の若者からは驚きの声があがり、

 

 「なんだよ! 今の技! 見た事ねーよ!!」

 

 乙女達からは黄色い声が飛び、

 

 「クロウ卿、なんて素晴らしいの! 最後まで勝負をあきらめない、あの姿勢・・・」

 

 兵士や騎士の間からは、尊敬の羨望の眼差しを受けていた。

 

 「あの方こそ、円卓に相応しい方だ・・・」

 

  

 会場は、一気に加熱し、クロウを讃える掛声が響き渡る。その光景を見てクロウは、少しだけ微笑むと、俯き呟く。

 

 「ああ・・・自分を憎む事で強くなったけど、そんな汚らしい物じゃなかったんだ・・・自分が思っているよりずっと綺麗で、人をこんなにも感動させるものだったんだ。母さんが言った意味が今は少しだけわかる気がする・・・ありがとう母さん・・・」

 

 クロウはそのまま、意識を失った。

 

 その光景を高所から見下ろす。アーサー王は民衆の前に姿を現すと、大きな声で高々と宣言する。

 

 「今、この時から漆黒の者。クロウを円卓に連ねる事をここに宣言する! 今宵は皆! 大いに騒ぎ、祝福し、この日を祝おう!」

 

 そう述べた後、きびすを返し、王妃と共に、玉座を後にした。

 ランスロットとガウェインは、お互い顔を見て笑ったあと、拳を突き出しお互い合わせた。

 小声で、ランスロットは言う。


 「ガウェイン、クロウを厄介者呼ばわりしたが、あれはどういう意味での発言だったのだ?」

 

 「そう言っておいたほうが、後々有利になると思ってな? そう言うランスロット。お前こそクロウの戦い方は危険だと言ったがあれは本心か?」

 

 「ああ言えば、王の本心がわかるだろう? こうなる事だとは半分賭けだったがな、我が息子をくだすかどうか、少しばかり不安があったよ。何せ剣は天才的だからな」

 

 互いに本心の確認をしあうと、王の後をついて高台を後にした。

 

/

 

 アーサー王達が、会場を後にした頃―


 舞台からクロウを下ろすと、リアが急いでかけって来る。

 ケイはリアと一緒に、救護室の簡易式ベットにクロウを横に寝かせて、怪我の様子を見ていた。

 手の傷は、大した物じゃないなんて嘘を言って・・・少し深いじゃないですか! と憤慨していた。

 腕の傷は、ちょっと深いけど以前の様に動くと判断すると、紐で脇を強く縛りつけ、慣れた手つきで正確に縫合していく。

 数分で縫合し終わると、肝心な利き手の掌に取り掛かる。

 幸い、血は止まっていた。

 紐を解き、右手首を圧迫すると、棚からジャムの実で作られた度数のキツイ酒を取り出し、鉄で出来た器に注ぎ込む。

 その中に、クロウの右手をつけ、凝固した血液を溶かしていく。

 固まった血液が溶けるまで、リアが簡易式ベットを、逆トの字形にあつらえた。

 リアは、ケイに質問する。


 「ケイ様、どうして勝者を決める時、クロウ様に『卿』とつけたのですか? まだ円卓の騎士だと認めてもらってないのに・・・」


 「初めて、この目で見るまで信じられなかったけど、本当に凄いと思ったからよ。私が凄いと思った者を、皆が凄いと思うとは限らないけど『卿』をつけて呼ぶ事で民衆にアピールできるでしょ? その後の事は民衆と王が決める事だもの。私の独断でそう呼んだだけよ」

 

 リアは、ケイの質問に納得すると心配そうな顔でクロウを覗き込む。

 

 「ケイ様? クロウ様、大丈夫でしょうか?」

 

 ケイは当然といった様子で傍にある椅子に腰掛けると、リアの質問答える。

 

 「私が、何としても元通りにして見せます!」

 

 ケイの様子を見てか、ハハァンと言った顔つきでケイを見て、

 

 「ケイ様? もしかして・・・クロウ様が好きなんですか?」

 

 突然の質問にケイは顔を真っ赤にして動揺する。

 

 「何言ってるの・・・そんなワケ・・・そうよっ! スキなの! 親友だから言うけど、他人にばらしたら絶交よっ!」

 

 ケイはクロウの顔を見つめて、答えると腕を組みリアを冷やかしにかかる。

 

 「所でリア? 貴方の想い人は、今この時、何をしてるのかしら?」

 

 リアは、ウッとして、困った顔で答える。


 「円卓の拡張をアーサー王から任ぜられて、今朝からずっと工房に篭りっきりです・・・」

 

 「そう。ご苦労様。さぁリア、ここからが本番よ。集中して取り掛かるわよ!」

 

 ケイは椅子から立ち上がり、クロウの右腕を押さえつけて置くようにリアに頼んだ。

 こうして、ケイとリアの治療によって無事、掌の縫合は事なきを得た。

 唯、一つだけケイには引っかかる事があった。

 クロウが、左手に硬く握りこんでいる拳から顔を覗かしてる真紅のリボンの事だった。

最近、作品について思っても見なかった事を言われたのでやる気が出てきてます。

正直、以外でした。

この場を借りて、感謝をすると共に読んでくださる方。

応援して頂ければ幸いです。

 

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