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封印聖女×刀ヲ継しモノ  作者: 檜高 黎
三章 円卓に集う者
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白い外套と銀槍

感想、指摘など、気軽にご意見頂ければありがたいです。

この物語はフィクションであり、作者自身、初めて書く作品ですので読んで下さる皆さんの意見をお聞かせ下さい。厳しい指摘も歓迎しております。


 高い塀に囲まれた豪奢な城、キャメロット。

 クロウは城門前にいた。

 何ヶ月ぶりかの外へ出ると天高く空を見上げる、閉鎖さられたあの牢屋から出て外にいる事を噛み締めた。


 「外だ! 外! こんなにも空は蒼くてこんなにも高い! 今まで気が付かなかった!」


 外を出た喜びを肌で感じていた。

 ケイは兵士にうまやから自分の馬を連れて来る様に命じるとクロウをたしなめる。


 「クロウ様は、余程、屋外に出られた事が嬉しいのですね? でも今からが重要なのですよ! 浮かれるなとは申し上げませんが、気を引き締めて下さらないと困ります・・・」


 少し気抜けした声で話し掛けた。

 

 クロウは、余りの嬉しさについ周囲の目を忘れてしまって、はしゃぎすぎたと反省し、顔を引き締める。


 「ずっと牢の中だったから。外の感覚忘れてしまって・・・ごめん」


 「いえ、私の方こそ言い過ぎました。クロウ様の心情をを察してあげられず・・・」

 

 二人が会話をしていると厩から一匹の黒い馬が複数の兵士の制止を振り切り、猛り狂い突っ込んで来る。

 ケイは声を荒げて兵士に叫ぶと、クロウにすぐ逃げるように言い放った。


 「クロウ様、お逃げ下さい! 兵士よ! 一体何が遭ったのです!?」


 単身引きずられ投げ出されそうになりながら兵士は答える。


 「ケイ卿の馬を出そうとしたら、先日森で捕獲した馬が柵を破壊し、突然暴れだしたのです!」


 黒い馬は遂に最後までしがみついていた、兵士を投げ出すとケイに怒りの矛先を向け突進していく。

 クロウは、ケイの前に飛び出すと黒い馬に向かい跳躍する。

 一瞬であぶみに足を掛けると跨り、素早く手綱を握りしめる。

 黒い馬はクロウを振り落とそうと前足をバタつかせ空へと咆哮する。

 振り上げられた前足は、ケイへと振り下ろされる瞬間、クロウは手綱を渾身の力で右に引っ張った。

 前足は、ケイの体一個分逸れ、大地にその足を着けると、尚もクロウを振り下ろそうともがく。


 「ケイ! 離れてろ! 踏まれたら唯じゃ済まない! 君にもしもの事があったら俺も困る!」

 

 ケイは急いで距離を保つと、兵士を抱えて城門入り口まで避難すると、クロウの身を案じる。

 馬は先程よりも、荒々しくクロウを振り落とそうと前足や後ろ足を交互に振り上げる。


 「この! 馬鹿馬! 大人しくしろ!」


 クロウは、馬に罵声を浴びせると強引に言う事を聞かせようと手綱を左右に引っ張り挙げる。

 余りの暴れようにクロウは振り落とされると、石床に叩きつけられる。


 「くっ! 痛ってぇ」


 石床に叩きつけられる寸前、咄嗟に受身を取った事でクロウに大事はなかった。

 

 数人の槍を持った兵士によって黒い馬は囲まれる。 

 黒い馬は悲しげな瞳でクロウは見つめる。

 兵隊長が、兵士に向かい号令をかける。


 「やれ! 使い物にならん馬など必要ない! 仕留めろ!」


 クロウは立ち上がると声に怒気を纏わせ、兵隊長に向かい声を荒げる。


 「待て! その馬を殺すな!」


 兵士達はクロウの声に気押されると槍を収める。

 兵隊長は不愉快そうな顔でクロウを罵る。


 「女が出る幕じゃない! 引っ込んでろ!」


 クロウは不快な表情で言葉をぶつける。


 「誰が女だ! アンタに興味はないんだ、俺はこいつと話してるんだよ!」


 女に愚弄されたと勘違いした兵隊長は、クロウに殴りかかった、左手で男の腕を軽く弾くと右足を力強く踏み込み間合いに入り、男の胴を右の掌で打ち抜いた。

 兵隊長はその場で蹲り、悶え込む。

 クロウは静かに黒い馬に近づくと、瞳を合わせる。


 「そうか、お前外に出たかったんだな? 安心しろお前は自由だ。何処にでも行けばいい・・・さっきは馬鹿馬なんて言ってごめんな」


 「ケイ! 開門して馬を外に放せ!」


 そう伝えた後、クロウは優しく黒い馬の頬を撫でる。

 黒い馬は城門に向かい直し、暫くすると四肢を付き、つぶらな瞳でクロウを見つめる。


 「乗れって言うのか? お前はもう何処にもいけるんだぞ?」


 ブルルルっと唸るとその場を動かない。


 「ああ、じゃ今からお前は俺の愛馬だ」


 クロウは黒い馬に跨ると、手綱を握り、ケイに乗れと合図した。

 ケイはクロウに駆け寄ると馬に跨ると、蹲る兵士長に言い放った。


 「貴方、今から兵士に格下げ。兵士長は・・・そうね貴方を任命するわ」


 ケイに指を指された兵士は、驚いていた。


 「何故ですか! 私の様な者が兵士長に任命される資格などありません!」


 「貴方はもう少し自信を持ったほうが好いわね? この馬の手綱を最後まで放さないかった事は賞賛に値するわ。この下衆な兵隊長だった男より遥かに資格があります。後でアーサー王に伝えておきますから貴方が今から城門の指揮をなさい」


 兵士だった男は膝を付き、頭を下げるとお礼を述べ、他の兵士に隊列を組むように指示を出した。

 城門の壁に沿って両側に兵士を連ねると槍を胸に抱くように号令を掛ける。


 「開門せよ! クロウ様とケイ様の出立だ!」


 兵士長になった顔付きは、先程とは打って変り、厳しい顔つきをしていた。

 クロウを見上げる貌は、瞳に涙を浮かべていた。


 「クロウ様! あの日の事は一度も忘れておりません。御武運を祈っております」


 クロウはその言葉に初めて城門を潜った時の事を思い出した。


 「ああ、行ってくる! 兵士長就任おめでとう! 余り無理するなよ」


 兵士長は、膝を付き頭を下げると馬に乗り走り出したクロウ達を見送った。

 

 /


 馬は力強く疾走する、堂々として流麗な姿をしていた。

 差し詰め、馬の王と言った感じだろうか。


 「ケイ! 振り落とされないようにしっかりしがみついてろ!」


 ケイは貌を鬼灯の様に赤く染め、クロウに抱きつくとうっとりとした表情を浮かべていた。

 鬱蒼とした森を抜け、城下にたどり着くと、信じられない程の民衆や兵士が密集し騒然としていた。

 

 民衆達は、クロウ達に気が付くと海を切り裂いた様に割れていく。

 群集と言う海が割れた先には、大きな四角い石床の舞台が用意されてた。

 石床の舞台を俯瞰するように小高い石作りの高殿たかどのには豪奢な椅子が用意され、王と王妃が座っている、王の左にガウェイン、王妃の右にランスロットが立っていた。

 

 クロウは馬から降りると、ケイの手を取り、馬から降ろす。

 決して騎士としての振る舞いを民衆に見せるための物ではなく、ケイは円卓の騎士であろうと女性である事に変わりないと言う配慮からの行動だった。

 その姿に民衆や兵士達は歓声を上げる。


 「クロウ様!」


 「素敵!」


 「女みたいな御方だな、あれで円卓の騎士を倒せるのか?」


 民衆達の間で色々と会話が交錯している。

 ケイは、馬を兵士に託すと、丁重に扱うように指示する。


 「この馬は気性が激しいから、注意して扱いなさい。それとクロウ様の愛馬だから粗相の無いように!」


 舞台の向かいには白い外套がいとうを頭から被り立っている人物が二人佇んでいる。

 正体がわからないクロウは、不気味な思いに掻き立てられる。

 アーサー王は豪奢な椅子から立ち上がると民衆達に言葉を述べる。


 「これから始まるの戦いは、この者が円卓に相応しいか否か、皆で決める審査。国の行く末を決める国事、どうか皆で見極めて欲しい!」


 そう言うと豪奢な椅子に座り、ケイに向かい合図を送った。

 ケイは静かに、舞台に登ると中央に立ち開催の言葉を民衆に向けて挨拶をする。


 「宰相でもある、円卓の騎士に名を連ねるこのケイが審判員を務めさせて頂きます。不服のありましたら申し上げてもらって結構です。異論はありませんか?」


 会場は静まり返り、民衆はケイに注目する。


 「異論はないようなので、私が審判員で事を進めさせてもらいます、両者前へ!」


 白い外套を纏った人物は兵士から銀色の槍を受け取ると堂々と舞台に上がる。


 「さぁいつでも掛かって来い! 異界の者!」


 その言葉にクロウは静かに舞台に登ると、中央に向かい歩き出す。

 ケイを中心に両者が顔を合わせる。


 「では、これより審査を始めます! 勝負は先に一本先取した者を勝者とします、では正々堂々と始め!」


 白い外套を纏った人物は、合図と共に威風堂々外套を脱ぎ捨てる。

 正体を現した人物にクロウは、息を呑んだ。 

 

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