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封印聖女×刀ヲ継しモノ  作者: 檜高 黎
ニ章 追憶の果て
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死者復活

感想、指摘など、気軽にご意見頂ければありがたいです。

この物語はフィクションであり、作者自身、初めて書く作品ですので読んで下さる皆さんの意見をお聞かせ下さい。厳しい指摘も歓迎しております。

 入り組んだ洞窟の中、薄暗い通路の両側に沿って蝋燭の灯りが点々通路を照らしている。

 明かりを頼りに進んでいくとやがて木で出来た扉に突き当たる、黒いローブを纏った人物は片手に壷を手にし、扉の取っ手を掴むと部屋の中へ入っていった。


 部屋の中は、木で出来た簡素な作りの長テーブルがあり、その上には髑髏や分厚い本や資料が山積みにされていた。

 部屋の周囲を囲む様に、樹で出来た本棚にはびっしりと怪しげな本が、ひしめき合いながら並んでいる。

 その横の棚には、橙色や緑色の髑髏が並んでいる。髑髏は真っ二つに割れている。


 「ほう・・・ヴェルティラックを倒したか。名のある騎士だったのだが奴をも退けたか・・・」


 黒いフードを纏った人物は、興味深く髑髏に目を向ける。

 

 「まぁいい、替えはいくらでも手にはいる、だがそれぐらい易々とやって貰わねばこちらの計画も破綻してしまうのでな、その為にわざわざご足労頂いたわけだからな」

 

 そう呟くと奥の部屋に向かい出した。そこには大きな長テーブルと大釜があった。

 卓上には複数のうら若き乙女の亡骸が綺麗に横たわっている。持っていた壷を床に置き、卓上から亡骸を掴み取ると、骨を残し、短剣で肉を削いでいく。

 ローブを纏った男は全身鮮血で染まっていた、その顔は罪の意識など全く感じさせない狂気に満ちた顔をしていた。

 解体を終えるとブリキで出来たバケツに肉片を無造作に投げ入れた、そして大きな釜のある場所までゆくと肉片を投げ入れる、何度も繰り返し、釜が一杯になるまで続けられた。

 そして釜に火を掛け始めると、壷を持ってきて中に納められている、白い骨を投げ入れた。

 

 「あとは煮詰めるだけか、いい余興になりそうだ。目的までまだ時間が掛かる、余興がなくては面白くないからな・・・最悪、奴が死んでもアレが手の内にあればそれでいいだけの事・・・」


 黒いフードの人物は邪悪な笑みを浮かべ、部屋を後にした。


/

キャメロット城の地下の牢屋に囚われている青年は、余りの寒さで目が覚める。

 歯は寒さで、カチカチと鳴り、震えていた。


 「ううー・・・なんて寒いんだ。寝床が石だからか、ベットぐらい備えておいてくれよ・・・」


 不満を呟きながら、クロウは昨晩の事を思い出していた。ヴェルフィーユ・・・君は何処から来て何処に帰るのか、ずっと傍にいてくれたらいいのにと柄にもない事を思っていた。


 「・・・なんか胸がモヤモヤするなぁ。これが恋って奴なのか、気になって仕方ない・・・」


 頭を抱えながら毛布に包まると、あっちへゴロゴロ、そっちへゴロゴロしながらずっとヴェルフィーユの事を考えていた。他人がみたら馬鹿その者かもしれなかっただろう。

 突然、お腹がグゥーと鳴り響く。

 そういや、昨日から何も食べてないなぁと思い出し、立ち上がると鉄格子に向かい歩き出した。

 クロウは鉄格子を掴むと大きな声で牢兵を呼ぶ。


 「牢兵さーん!腹が空いたんだけど朝食とか出ないの-?」


 声は地下牢を響き渡り、牢兵に届くと一人の牢兵が息を切らせながら駆けてくる。


 「御呼びでございますか?クロウ様!」


 「うん、腹減ったんだけど朝食出ないの?」


 「朝食でしたら、すぐに用意できます。係りの者に伝えてすぐに運ばせますので少々お待ち頂けますか」


 満面の笑みでクロウはお礼を述べる。


 「ありがとう」 


 牢兵は膝を付き頭を下げると急いで階段を駆け上がっていった。

 その姿をみてかクロウは、牢兵って職業も大変なんだなぁと思っていた、こんな何処の馬の骨ともわからない若造に頭を下げ、敬意を払うのなんて嫌だろうに。

 鉄格子から離れると、食事が運ばれてくるまでする事もないので、柔軟運動をする事にした。

 暫く、運動をしてると、汗を掻きはじめてその内着ている、学生服が蒸れて肌に張り付き気持ち悪くなった。

 そろそろ、着替えたい所だよなぁと考えていると鉄格子の扉が開かれる音と共に、軽い足音が聞こえてくる。同時においしそうな香りも漂ってきた。

 クロウは柔軟を止めて、鉄格子に歩み寄ると、朝食を持ってきた相手に驚いた。


 「え・・・女の子・・・?」


 長く伸びた栗色の髪に、碧い瞳をしている女の子は、実に可愛らしかった。

 「クロウ様、朝食の方をお持ちしました!」

 呆気にとられ、考え込むクロウの脳裏にはこういう場合大体がゴツイ兵士が持ってきて、ありがたく食べるんだな!とか捨て台詞を吐くのが相場な気がしてたからだった。


 「クロウ様?」


 名前を呼ばれ我に返ったクロウは慌てて言葉を返す。


 「はい?」


 女の子はクスクス笑いながら話しかけてくる。


 「驚きました、ランスロット様達と引き分けた御方がこんなにも女性の様な顔立ちをしてらっしゃるなんて、ちょっと想像した御方とギャップがあり過ぎて思わず笑ってしまいました。もっと男らしいゴツゴツされた御方かと思ってたいたのですが」


 そう言うと女の子は両膝を付き、鉄格子の隅にある小窓から食事を差し入れる。


 食事は、魚を焼いた物に付け合わせでサラダとスープだった。


 クロウは食事を受け取ると食べながら、話し掛ける。


 「んーまぁ顔立ちは持って生まれたものだから、関係ないと思うけどね、好きで女みたいな顔してるわけじゃないからさ」


 その言葉に、女の子は顔を青白く変えて非礼をお詫びする。


 「お許し下さい!出すぎた真似を申しました!」


 「いや怒ってないから謝らなくていいよ。この顔は俺の大切な人の面影を持ってるから気に入ってるんだ」


 クロウの言葉を聞き、安堵し女の子はにっこりと微笑んだ。


 「まだ君の名前を聞いてなかった、よかったら教えてくれない?」


 「私は、パーシヴァル様の侍女で食事係りを任された、リアと申します。これから毎日クロウ様の食事をお届けしますので以後お見知りおき下さいませ」


 「うん。宜しくリア」


 優しそうな顔で微笑むリアを見てクロウは、ドキッとしてしまった。

 さっきまでヴェルフィーユの事で頭を悩ませてた自分が、たったの一晩でこうも変わるのかと思うと少し罪悪感を感じた。

 実は惚れやすいのか俺・・・そう思いながら食事を口に運び平らげた。

 クロウが食べ終わるのを終始見ていたリアは関心していた。


 「クロウ様は実に、魚を綺麗に食べるのですね、思わず見惚れてしまいました。」


 「ああ、俺の国では当たり前な事だよ、魚を生で食べる事もあるしね」


 「生で食べるのでございますか・・・!?」


 「うん、新鮮でないと無理だけど、結構美味しいんだよ」


 リアは驚いて硬直していた。


 「まぁ国が違えば文化も違うから、当然なんだけど・・・リア?」


 「はいっ!!」


 「言っておくけど、野蛮人ではないからね、俺をみたらわかるだろう?」

 

 リアはクロウを見つめると顔を染めていた。


 「そうですね。とても野蛮人には見えません・・・」


 食事を終えてクロウは手を合わせ、ご馳走様でしたと頭を下げた。その姿を見てかリアが疑問を投げかけてくる。


 「クロウ様、それはどういう儀式なのですか?」


 「ああ、これ? これは命あるものを無駄にしない為の感謝の礼かな? 元は魚にしても野菜にしても生きていた訳だから、その命を断って自分の血肉にしてる事に対してのお礼だよ、食べ物を粗末に扱うと神様から天罰が下るからね」


 その言葉を聞いてリアは感激していた。


 「クロウ様の国の思想はとても崇高なのですね、私達も食事の際、神に十字を切り感謝して頂くのと同じですね」


 クロウは優しく笑い頷いた。そして空になった食器を鉄格子の子窓からリアへと手渡した。食器を受け取るとリアは立ち上がり「それではクロウ様、失礼致します」と言い出て行こうとする。

 クロウはリアを呼び引き止めた。


 「リア、お願いがあるんだ!パーシヴァルに託けてほしい、俺がいた場所に袋が落ちてなかったか探してほしいと伝えてもらいたいんだ!」


 リアは振り返り頷くと去って行った。


/


 リアは食堂に戻ると食器を片付けた後、宮廷の階段を上がりパーシヴァルの部屋へと足を向ける。

 ドアの前まで行き着き、扉をノックする。


 「パーシヴァル様、侍女のリアで御座います、クロウ様から伝言を承っています」


 パーシヴァルは窓辺に立ち、静かに答える。


 「入りなさい」


 「失礼致します」


 扉は開かれリアはパーシヴァルの前に膝を付くとクロウから託った事を申し上げる。


 「クロウ様が倒れていらっしゃった場所に袋が落ちてなかったか、探してきて欲しいとの事です」


 「そうか、なら早速私自ら出向こう、リア出立の準備をしてくれないか」


 「はい、パーシヴァル様」


 そういうとパーシヴァルは鎧を身に纏う、リアは兵士に馬の用意をさせる為部屋を出て行った。


/

 

 その頃、洞窟の奥深くの部屋に黒いフードを被った人物は舞い戻っていた。

 大釜は、ようやく煮詰まり、釜の中には全裸の女がすっぽりと収まっていた。


 「そろそろ、頃合かと戻ってみればいい具合に出来ておるな・・・」


 そう呟くと床に魔方陣を描き、釜から女を抱え上げると魔方陣の中央に寝かせた。

 漆黒の長い髪をしていて実に素晴らしいと黒いフードの人物は興奮した。

 そして呪文を唱えだす。


 「汝の主は我、汝は我を守る刃となり、時には盾と成れ!汝は我の僕なり!『リジェネーション』」


 呪文を唱えたあと魔方陣の頭上にドス黒い霧が天井を覆いつくす。やがて霧は女の口から体内に入り込むと消えて行った。

 先程まで魔方陣の中央に寝ていた死体がゆっくりと瞳を開けると、そのまま起き上がる。


 「なんと美しい・・・今までの最高傑作だ・・・」


 そう言うと漆黒のフードを纏った人物は服を投げつけ、着替えるように命令した。


 「私を蘇らせたのは・・・貴方様ですか?」


 「そうだ、私が今からお前の主だ、早速だがお前に頼みたい事がある、今からパーシヴァルと言う若者を葬ってもらう。よいな」


 女性は服に着替え終わると、黒いフードの人物に膝を付き頭を垂れる。


 「主の意のままに・・・」


 「お前にはそこにある赤い甲冑を身に着けてもらうぞ、漆黒の髪に瞳では目立ちすぎるからな」


 「はい・・・」


 「では、狩りに出かけるとしよう」


/


 パーシヴァルは城を出ると、城下を抜け、鬱蒼とした森を馬に乗りを走り抜ける。

 クロウが落雷と共に倒れていた場所に到着すると、茂みの中に埋もれた、見た事も無い袋が落ちていた。


 「恐らくこれだな・・・しかし変わっている、すぐクロウ様に届けなければならないな」


 袋を手にすると、馬に戻り跨ると着た道を走り出す、小高い上り坂の上に赤い人影が見えた。

 パーシヴァルは馬を止め、人影に向かい言い放った。


 「何処の騎士か、今急いでいるのだ。其処を退いて頂きたい!」


 赤い人影はその言葉を無視し剣を抜くとパーシヴァルに襲い掛かる。


 「くそっ! 面倒な事になった!」


 すかさず馬を下りるとパーシヴァルは剣を抜き、赤い騎士に剣を向ける。

 互いの剣は交差し、鍔迫り合いになる。


 「何処の騎士だ! 名乗りもせず剣を抜くなど騎士の風上にも置けん!」


 「死に往く者に語る必要などないでしょう?」


 冷たい声に、パーシヴァルは驚いた。


 「貴女は、女性か!」


 「女だと思っていると足元を救われますよ、パーシヴァル」


 赤い騎士は剣を素早く引くと、パーシヴァルの体を崩す。

 バランスを崩されたパーシヴァルに向かい赤い騎士は剣を振り下ろす。

 素早く体を翻すと両手で剣の先端を持ち赤い騎士の剣を受け止める。


 「何だと!これはクロウ様と同じ剣技ではないか!」


 「これで終わりにしましょう・・・」


 赤い騎士は距離を取ると剣を鞘に仕舞い込むと抜刀状態にはいる。

 パーシヴァルは素早く立ち上がると構える。

 赤い騎士は目にも止まらぬ速さで疾走すると、パーシヴァルの間合いに入り真横に切りつけた。

 パーシヴァルは右手に持った剣を瞬時に逆さまに持ち替えると右胴体を剣で庇った、すかさず左に携えていたダガーを引く抜くと、赤い騎士の首元に突き刺した。

 パーシヴァルの剣は折れ、斬撃の勢いで吹き飛ばされる。

 

 短刀を突き刺された赤い騎士は悲鳴をあげ、首から血しぶきをあげ絶命した。


 「なんて・・・女だ、クロウ様と同じ剣技を使うとは。昨日のランスロット様とクロウ様の戦いをみてなければ真っ二つは確実だったな・・・」


 「しかし、剣を盾にして尚、鎧を突き破るか、幸い傷は浅い。逸早くランスロット様に報告しなければ・・・」


 素早く、馬に跨りパーシヴァルは城に戻って行った。

 

/


赤い騎士が倒れ絶命した場所に、黒いフードの人物は姿を現す。


 「まぁ目覚めて間もないとこうなるとは予想はしてたが、パーシヴァルを討ち取る寸前まで行った事は強大な力を秘めているのは間違いない。直に体と魂が同化すれば、相当使えるだろう・・・」

 そう言うと黒いフードの男は再度呪文を唱え始めた。


 「『リジェネーション』」


 赤い騎士は何事もなかった様に立ち上がると首からダガーを引き抜き、投げ捨てた。

 傷口は一瞬で再生し何事もなかった様に、黒いフードの人物と共に霧の中へ姿を消して行った。

  


  





 




  






 

 

 





 

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