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始まりの種子
不定期更新ですが、それでもよい方は、よろしくお願いします。
時を経た大樹があった。
古来よりある森の中に、ひときわ大きくそびえる樹が生まれた頃の話。
一つの種が運ばれてきた。
長い長い流れの末に緩やかな水の岸辺の上に。
濁流が押し寄せる急流の中も越えてたどり着いた種は、その大河の元、清水の近くに生える母樹から落ちたものだった。
季節が巡り、色鮮やかな木々が葉を落とす中で生みだされたその種は、母と別れを告げるように大河の源流の中に落ちていった。
長い旅を終え、今母樹から離れた種は、柔らかな日差しの下で芽を出した。
次回から内容に入りたいと思います。