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42歳バツイチ 神様になってイチャLOVEハーレムを作る!  作者: かくろう


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20/21

第20話 金髪碧眼美少女の上司


 


 結局その日も大した調査の進展もなく通常業務が平和に終わった。


 今日も早く帰ることにしよう。

 俺は残業は積極的にやるタイプだったが、上司である俺がいつまでも残っていると部下は帰りにくいらしいのでさっさと帰るのがいい上司の基本であると紗彩から念を押されている。


 部長に昇進したのだからいつまでも課長気分では困る、とのことだ。

 今は社畜根性よりも愛しい恋人優先の考えにならなければな。


 退社準備をしているところで紗彩からメールが入る。


『駅のホームで待ってます|д゜)』


 社内恋愛は別段禁止されているわけでもない。しかし公私混同は出来るだけ大っぴらにはしないほうがいいので一緒に帰る時は特定の場所で待ち合わせというのがお決まりになっている。


 っていうかなんでこの顔文字?早く来いってことかな。


「隆行……篠宮課長……」

「ん?」


 会社を出ようとしたところで俺を呼び止める声に振り返る。しかしそこには誰もいなかった。

「気のせいか」

「違う、もっと下」


 言われた通り下を見やると背丈のやたら小さい金髪碧眼美少女が声をかけているのが分かった。

 ちなみに振り返って気が付かなかったのはわざとだ。通例行事である。


「これは『エレノフスク本部長』。海外出張から帰ってきたのですか?」

「そう……役立たずの社長が先に帰ったからその後始末」


 社長に対して辛辣な言葉を投げかけているが悪意があるわけではなく、これが彼女の素である。


「そうですか。実は昇進してましてね。今の私は篠宮部長なんですよ」

 それを告げた彼女の眼が見開く。

 感情をあまり表に出さないタイプの女の子だが実は内側ではかなりびっくりしていることが長年の付き合いで分かっている。


「他部署ですから耳に入らなくても仕方ありませんよ」


 俺に声をかけてきたのは『フィルリーナ=エレノフスク』。

 水無月の海外事業部エース社員で紗彩と同期入社の女の子だ。

 入社当時は俺の部下として紗彩と共に企画部にいたが、数年前に海外事業部にスカウトされ異動になっている。


 当時女子社員からあまり好かれていなかった紗彩とほぼ唯一と言っていい友人でいてくれた人物だ。

 一見クールで無感情に見えるが実は内側で燃えるかなりの激情家タイプであり、紗彩に嫌がらせをした女子社員に痛烈な仕返しをしているという噂もあった。

 数日後にその女子社員は自主退職をしているので真相は闇の中であるが。


「それから、何度もいうようにフィルの事は『フィル』って呼んで欲しい」

「いやいや、女性社員をあだ名で呼ぶなんて出来ませんよ。ましてや貴女はわが社のエース社員だ。いまや海外事業部の幹部候補。直属ではないにせよ私の上司じゃありませんか」


 そう、実は彼女は大躍進の昇進をしており既に本部長で俺より地位は上だ。

 来年度には常務に昇進も確実ともっぱらの噂になっている。


 しかし長年の付き合いから俺を慕ってくれる彼女の希望で退社時間以降は部下時代と同じように接してほしいと『命令』されているので普通に接しているが、他の社員との目もあるので言葉遣いだけは上司として接している。


「ぷぅ。隆行の意地悪……」


 小声でつぶやき頬を膨らませて拗ねるフィルリーナ女史だが、紗彩と同期、更に同じ短大出身ということで彼女と同じく25歳である(ちなみに部下時代から俺の事を隆行と呼び捨てにしているので何度も注意したが一向に直らないので諦めた)。

 しかしその姿を25歳と認識するのはかなり困難だ。


 背丈は142センチしかなく、準幹部クラスが着用している水無月の制服も○学生がコスプレしているようにしか見えない特注品である。


 更にはロシア人ということもあってブロンドヘアにマリンブルーの瞳は人形のように無機質な美しさを醸し出しており、そのことが余計に拍車をかけているのだ。


 実は○学生が飛び級で入社したのではないかとガチで噂が立っているくらいだが、彼女の免許証を見せてもらったときに確認したところ確かに紗彩と同じ年の生まれだった。


「ところで。私に何か御用でしょうか?」

「クビになったって聞いた。くたばってないか見に来た」

「そうでしたか。ご心配をおかけしました。この通り戻ってこれて更には昇進させてもらいましたよ」

「そう……ならいい」


 そういって彼女は踵を返して社内に戻っていった。そっけない態度に見えるがあれも彼女なりの気遣いの表れであることは何となく分かっている。


 そういえば、紗彩が社内には少なくとももう一人、俺を慕ってくれている女性がいると言っていた。

 もしかしたら……。


 うーん。分からないな。彼女には光が見えないし、運命の女性ではなさそうだ。

 まあ俺を慕ってくれる女性が全員運命の人とも言い切れないのだが、神様の言い分を信じるならば俺と結ばれるのは全員運命の女性。


 そしてその運命の人は光って見えるわけだから、それが見えない彼女はその候補からは外れるということになる。

 自分から積極的に探して引き入れるとかはする気がないので成り行き任せになるが、もしも仮に彼女が俺を好いてくれているのなら、運命の女性でなくとも……。


 いやいや、普通の女性がハーレムなんて許容してくれるはずもないじゃないか。

 夢を見すぎだ愚か者め。


 最近調子に乗りそうになる自分を抑えるのに結構な苦労が伴う。それくらい夢のような幸せな生活ができているのだ。

 増長しないように気を付けなければ。


 そんなことを考えつつ、紗彩の待っている駅のホームへと足を向けた。



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