答えと決意(蒼太視点)
約束したデートの行き先は、前に二人で行ったショッピングモールになった。
「前に行ったところなら、少しは緊張しないかなって」 そう言った白咲さんの声を、今でもはっきり覚えている。
確かに、初めてじゃない場所。 でも――“デート”として行くとなると、話は全然違う。
(お店回って、食べ歩きして、ゲームセンターも行って……)
頭の中で、当日の流れを何度も想像してしまう。 楽しそうだ、と思う気持ちと同時に、胸の奥がざわついた。
そして、デート前日。
自分の部屋でベッドに寝転がりながら、天井を見つめる。 時計の針の音だけが、やけに大きく感じられた。
(……明日で、結論を出すんだよな)
白咲さんに言われた言葉が、何度もよみがえる。
――そのあとで、水守くんがどう思ったか、聞かせてほしい。
逃げ道はない。 自分の気持ちを、ちゃんと向き合って答えなきゃいけない。
(もし……付き合わないって答えたら)
そこまで考えて、胸がきゅっと痛んだ。
(そのあとも……今みたいに話せるのかな)
教室での何気ない雑談。 放課後の他愛ない会話。 家で一緒に過ごした、あの空気。
それが全部、壊れてしまう可能性。
(……怖い)
正直な気持ちだった。
でも同時に、別の感情も確かにあった。
白咲さんと並んで歩くところを想像すると、 ゲームセンターで笑ってる顔を思い出すと、 胸の奥が、少しだけあたたかくなる。
(……楽しいんだよな)
一緒にいる時間が。
それはもう、否定できなかった。
スマホを手に取る。 画面には、白咲さんとのトーク画面。
『明日、楽しみにしてるね』
さっき届いたメッセージ。
短い一文なのに、心臓が跳ねる。
『うん。僕も』
そう返して、スマホを置いた。
(……全力で、向き合おう)
結論を出すのが怖くても、 友達でいられなくなるかもしれなくても。
明日は、白咲さんと過ごす一日だ。
考えすぎて、ぎこちなくなるより、 ちゃんと笑って、ちゃんと楽しんで、 その中で、自分の気持ちを確かめたい。
(……デート、か)
不安と期待が入り混じったまま、 目を閉じる。
眠りにつく直前、 ひとつだけ、はっきりしていることがあった。
明日はきっと、忘れられない一日になる。




