表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青に滲む光  作者:
55/58

確かめたいこの気持ち(蒼太視点)

 頬に残った感触が、なかなか消えなかった。


 柔らかくて、あたたかくて。

 ほんの一瞬だったはずなのに、頭の中で何度も再生される。


 白咲さんは、顔を真っ赤にして俯いていた。


「……ご、ごめん。勢いで……」


 その声は小さくて、震えている。


(嫌われた、って思ってる……?)


 そう気づいた瞬間、胸がきゅっと締めつけられた。


 正直に言えば、驚いた。

 心臓は今もバクバクしてるし、何が起きたのか完全には整理できていない。


 でも――


(……嫌、じゃなかった)


 それどころか。


 さっきまでゲームをして笑っていた時間も、

 眠っている横顔を見ていた静かな時間も、

 そして今、この距離も。


 全部が、やけに大切に思えてしまう。


「……白咲さん」


 声を出すのに、少し勇気がいった。


「嫌じゃ……なかった」


 白咲さんが、はっと顔を上げる。


「え……?」


 自分でも驚くくらい、言葉が続いた。


「むしろ……その……」


 喉が渇く。

 でも、逃げたくなかった。


「最近、ずっと考えてた。

 白咲さんと話すのが楽しくて、会えないと落ち着かなくて……」


 一度、深呼吸する。


「それって……たぶん、友達として、じゃなくて……」


 そこまで言って、はっきり口にした。


「僕、白咲さんのこと……異性として、好きなのかもしれない」


 一瞬、時間が止まったみたいだった。


 白咲さんは目を見開いたまま、数秒固まって――

 そして、ゆっくりと口を開いた。


「……じゃあ」


 少しだけ、いたずらっぽく。


「付き合う?」


「……え?」


 頭が真っ白になる。


「い、いや……でも……」


 言葉がうまく出てこない。


「僕、一回……白咲さんの告白、断ってるし……」


 今さら、そんなこと言っていいのか。

 自分勝手なんじゃないか。


 白咲さんは、少し驚いた顔をしてから、ふっと笑った。


「うん。だからこそ、だよ」


「……?」


「今は、もしかしたら両思い、かもしれないでしょ?」


 その言葉に、胸の奥が熱くなる。


「だからさ」


 白咲さんは、少し考えるように視線を泳がせてから言った。


「一日、デートしてみない?」


「……デート?」


「うん。

 そのあとで、水守くんがどう思ったか、聞かせてほしい」


 逃げ道も、急かしもしない。

 ただ、確かめようとしている。


 それが伝わってきて、胸がじんわりとした。


「……わかった」


 気づけば、そう答えていた。


「一日、ちゃんと考える」


 白咲さんの表情が、ぱっと明るくなる。


「ほんと?」


「うん」


 約束、という言葉が頭に浮かぶ。


 友達でもなく、まだ恋人でもない。

 でも、確実に前とは違う場所に立っている。


(……デート、か)


 不安もある。

 怖さもある。


 でも――


 白咲さんとなら、確かめてみたいと思った。


 この気持ちが、何なのかを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ