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青に滲む光  作者:
22/54

終わりの鐘と始まる言葉(灯視点)

 テスト最終日の二時間目が終わった瞬間、肩の力がふっと抜けた。やっと終わった……という安堵と同時に、胸の奥には別の気持ちが膨らんでいく。


 一週間前、水守くんを勇気を出して誘って、一緒に帰った日のこと。


 あの時、横に並んで歩いた帰り道が思っていた以上に楽しくて、その記憶がずっと頭から離れなかった。だからこそ、この一週間の“会えなさ”は少し寂しかった。


 テスト勉強があるのはわかってる。だけど——

 また話したい、また隣を歩きたい。

 その気持ちを押し込めるのが難しい。


 教室の中で水守くんを探すと、いつものように一人で片付けをしていた。席が近くないから、声をかけるには少し距離を歩かなきゃいけない。


 ……少しだけ胸が高鳴る。


(だいじょうぶ。前もできたんだから)


 自分に小さく言い聞かせて歩き出し、水守くんの後ろに立つ。机の中を片付けている背中は、どこか緊張して見えた。


「……水守くん」


 呼ぶと、彼はびくっとしてから振り返り、ぎこちなく微笑んだ。


「やっとテスト終わったね。お疲れさま」


「あ、うん……白咲さんも。お疲れ」


 久しぶりに目が合った瞬間、胸の奥があたたかくなる。


 テストが始まってから、必要な連絡以外はほとんど話せなかった。不安がなかったわけじゃない。でも——またこうして話せている。それだけで嬉しかった。


 だから、勇気を少しだけ振り絞る。


「今日さ……よかったら、また一緒に帰らない?」


 言うと同時に、心臓が跳ねる。

 迷惑だったらどうしよう。

 そう思ってつい付け足す。


「迷惑じゃなかったなら、だけど……」


 すると水守くんは、すぐに大きく首を振った。


「いや、迷惑なんて……! むしろ、その……嬉しい、かも」


 照れたように言う彼の声に、胸の奥がじんわり熱くなる。


「……じゃあ決まりだね」


 自然と笑顔がこぼれた。


 また話せる。

 また隣で歩ける。

 その事実だけで、どうしようもなく嬉しかった。

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