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青に滲む光  作者:
18/54

揺れ始める距離(灯視点)

七月。

湿気の多い風が吹くたびに、心まで熱くなりそうだった。


最近は放課後になると、自然と水守くんの隣で作業するようになっている。

近くにいると落ち着くし、声をかければすぐ返ってくる。

そんな距離が、嬉しくてたまらない。


でも、その分だけ気持ちが抑えきれなくなっていく。


部室で動画の編集を見せてもらっているときも、彼の横顔ばかり追ってしまう。

そんな自分に気づくたび、胸が苦しくなる。


部活が終わり、いつものように二人で廊下を歩き出す。


「今日の動画編集……見せてもらってもいい?」


自分でも分かってる。

ただ、もっと話す理由が欲しいだけだ。


「……うん。一応、少しだけ進めたけど」


控えめな声。

でも、それがいい。

水守くんらしいから。


「水守くんって、ほんとに頑張ってるよね。すごいなって思う」


本音だった。

でも、彼はきっと否定するだろうと思いながら。


「……そんなことないですよ」


やっぱり。


褒められ慣れていないその反応が、愛しくてたまらない。

こんな気持ち、知られたくないけど。


桜川駅が近づいたところで、思い切って言った。


「今日の夜、また動画の相談したいんだけど……いい?」


ほんとは“話したい”が本音。

でも、それは言えない。


「……うん、大丈夫です」


その返事だけで心があたたかくなる。

こんなふうに嬉しくなる自分が、昔の私なら想像もしなかった。


改札前で立ち止まり、いつもの笑顔を作る。


「……じゃあ、また明日ね、水守くん」


彼は少しだけ視線をそらしてから答えた。


「うん……また」


その一言が、私の胸をじんわり満たした。


(好きが、止まらないよ……)


言えないまま、その気持ちを抱えたまま改札を抜けた。

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