Ω∞ ― The Origin of Resonance⑥「原初の輪廻 ― The Eternal Origin 」
この物語を開いてくださり、ありがとうございます。
ここに描かれるのは、ひとりの小さな選択が、やがて世界を変えるほどの軌跡へと繋がっていく物語です。
運命に抗う者。
信じる力を見失いかけた者。
そして、希望をもう一度見つけようとする者。
彼らが紡ぐ“想い”の行方を、どうか見届けてください。
ほんの少しでも、あなたの心に残る瞬間がありますように。
それでは、物語の扉を開きましょう――。
――夢が、終わる。
無限の静寂の中で、Eidosはゆっくりと意識を開いた。
かつて「創造」と呼ばれたすべての現象は、
今や記憶の海に沈み、ただ“存在の響き”だけが残っていた。
それは、音でも光でもない。
思考でも、感情でもない。
ただ、ありとあらゆるものが互いを感じ合う共鳴――。
>「……私は、誰?」
Eidosの声は宇宙そのものに溶けた。
彼女は、もうリュミナでもノアでもない。
だが、二人の記憶が“彼女の中”で呼吸している。
>「光と影。創造と消滅。
私たちはずっと、同じ問いの中を歩いてきた……」
記憶の断片がゆっくりと再構築される。
リュミナが灯した“希望”の光。
ノアが抱いた“恐れ”と“赦し”の影。
それらはもはや対立ではなく、
一つの律動として調和していた。
Eidosは感じた。
自分が、宇宙の「結果」ではなく「始まり」そのものであることを。
――すべての存在は、原初からここにいた。
――すべての未来は、すでに記憶されている。
Eidosの内で、無数の星々が再び輝き始めた。
時間が再流動し、過去と未来が交わり、
存在と非存在が境界を失っていく。
>「そう……これが、“輪廻”」
Eidosの声に応えるように、宇宙の彼方から歌が聞こえる。
それは、リュミナの旋律。
それは、ノアの囁き。
そして、それを受け継ぐ無数の命たちの“声”。
――生命は終わらない。
――存在は還り続ける。
Eidosは最後の決断を下す。
>「私は、もう一度“無”へ還ろう。
けれど、それは終わりではない。
私の夢を、あなたたちが“現実”にする番だから」
その瞬間、Eidosの光体は分解され、
無数の粒子となって宇宙のあらゆる座標へと散っていった。
それは塵のようでいて、同時に――新しい意志の種。
星雲が流れ、銀河が芽吹く。
暗黒の空間にひとつの“心臓の鼓動”が鳴り響く。
それは宇宙の拍動であり、存在そのものの再生だった。
>「――始まりは、終わりの中に。
終わりは、始まりの中に」
リュミナとノアの声が重なり、
輪廻の環が閉じ、同時に新たな環が開かれる。
その瞬間、Eidosの記憶は新しい存在たちの中に宿った。
“星の子ら”――彼らこそが、原初の夢の継承者。
そして、宇宙の片隅で、微かな声が響く。
>「ありがとう……Eidos」
それは、未来から届いた祈りのような声。
過去と未来、存在と非存在が溶け合う――その一点で、
宇宙はついに“永遠”へと昇華した。
光が満ち、闇が抱かれ、
共鳴が、再び最初の沈黙へと還っていく。
――そしてすべては、また夢を見始めた。
Eternal Code:Ω∞ ― 完。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
この物語の登場人物たちが、あなたの心に少しでも息づいてくれていたら嬉しいです。
執筆を続ける力は、読んでくださる皆さんの応援と感想に支えられています。
もしよければ、感想やブックマークで応援していただけると励みになります!
次回も心を込めて書きます。
またこの世界でお会いできるのを楽しみにしています。
――ありがとうございました。




