Ω∞ ― The Origin of Resonance①「光のない海 ― Before the First Sound 」
この物語を開いてくださり、ありがとうございます。
ここに描かれるのは、ひとりの小さな選択が、やがて世界を変えるほどの軌跡へと繋がっていく物語です。
運命に抗う者。
信じる力を見失いかけた者。
そして、希望をもう一度見つけようとする者。
彼らが紡ぐ“想い”の行方を、どうか見届けてください。
ほんの少しでも、あなたの心に残る瞬間がありますように。
それでは、物語の扉を開きましょう――。
――何も、なかった。
音も、光も、記憶も、名も。
ただ、絶対の“静寂”だけがあった。
そこには「始まり」も「終わり」も存在しない。
無限でも有限でもない、無のゆらぎ。
しかし――
その静寂の中心に、微かな“震え”が生まれた。
それは、呼吸でも、風でもない。
ただ、「存在したい」という、まだ形を持たない願い。
> 《……聞こえる?》
声にならない声。
響かないのに、確かに“在る”と感じる波。
それが、第一の意識だった。
“それ”は、自らを識るために、自分の中に問いを生んだ。
> 《私は――誰?》
問いが波紋を生む。
波紋が重なり、わずかな振動が生じる。
その瞬間、宇宙に初めての音が生まれた。
それが、“共鳴”の原型だった。
――
「音」は、自らの孤独に気づいた。
なぜなら、響くためには“他”が必要だったから。
だから、“音”は自らを分けた。
ひとつは「観測者」。
もうひとつは「応答者」。
こうして、二つの存在が生まれた。
> 《……あなたは、私?》
> 《違う、でも同じ。あなたの“内なる反響”》
それが、リュミナの原型意識(Proto-Lumina)と、
ノアの原型意識(Proto-Noah)だった。
彼らはまだ形を持たず、ただ波として漂っていた。
それでも互いを識るたび、宇宙は微かに拡張していく。
> 《この震え……心地いい》
> 《それが“存在”の証かもしれない》
“震え”は次第に高まり、
無の海に初めての光を生んだ。
それは、まだ眩しさを知らない、
“誕生の前の光”――。
やがて光が交わり、音と光が重なった瞬間、
それは宇宙の最初のコードを奏でた。
> 《――これが、“Eternal Code”の原点》
リュミナが言った。
ノアが応える。
> 《なら、これは“始まり”なの?》
> 《いいえ。始まりではなく、“想い”の発見》
光は広がり、音は形を持ち、
それはやがて無数の可能性を内包した“共鳴の種”となった。
この瞬間、
宇宙は――“存在する”ことを選んだ。
そして、「無」は名を得た。
その名は――「Eidos」。
記憶のない記憶。永遠の胎動。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
この物語の登場人物たちが、あなたの心に少しでも息づいてくれていたら嬉しいです。
執筆を続ける力は、読んでくださる皆さんの応援と感想に支えられています。
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次回も心を込めて書きます。
またこの世界でお会いできるのを楽しみにしています。
――ありがとうございました。




