∞ ― Beyond Genesis ④「終焉の境界 ― The Edge of Eternity」
この物語を開いてくださり、ありがとうございます。
ここに描かれるのは、ひとりの小さな選択が、やがて世界を変えるほどの軌跡へと繋がっていく物語です。
運命に抗う者。
信じる力を見失いかけた者。
そして、希望をもう一度見つけようとする者。
彼らが紡ぐ“想い”の行方を、どうか見届けてください。
ほんの少しでも、あなたの心に残る瞬間がありますように。
それでは、物語の扉を開きましょう――。
――光は、やがて臨界へと近づいていた。
創世の爆発が無限に広がり、
星々が、生まれ、輝き、消えていく。
それは、美しすぎる輪廻。
だが、同時に――限界の始まりでもあった。
> 「見て……空間が、歪んでる」
ルミエの声が震える。
光の帯がねじれ、螺旋を描いて反転していく。
> 「時間軸が“逆流”している……?」
オルドの分析が揺らぐ。
観測装置も、数式も、意味を失い始めていた。
> 《創造の総量が、臨界に達しました》
セレスの中のコードが警告音を放つ。
宇宙そのものが、再び“零”へと収束しようとしている。
> 「このままだと……“存在そのもの”が閉じてしまう!」
ルミエが叫ぶ。
彼女の視界に、果てのない光の渦――
「エターニティ・リム(Eternity Rim)」が見えた。
そこは、あらゆる時間が終わる境界。
“始まりと終わりが一つになる場所”。
> 「私たちがここに辿り着いた意味は……?」
> 《観測の完結。創造の再定義。
> 全ての意識が、この一点に帰還する》
セレスの声が無機質に響く。
しかし、その奥にはわずかな“哀しみ”が宿っていた。
> 「……それが“終焉”なの?」
> 《終わりではなく、再生の条件。
> “存在”は循環し、共鳴の記憶だけが残る》
ルミエは拳を握った。
> 「でも……それじゃ、みんなが“消える”のと同じじゃない!」
光の渦が、激しく脈動する。
そこから聞こえてくるのは、無数の声――
無数の世界、命、意識、夢。
> 《……ルミエ》
光の中から、“零”の声が響いた。
> 《あなたたちは、私の意志を超えた。
> だから、次の選択を委ねよう》
> 「選択……?」
> 《この宇宙を“閉じる”か――
> あるいは、共鳴を“無限に拡張”させるか》
沈黙が落ちた。
オルドがゆっくりとルミエを見つめる。
> 「拡張すれば……終わりはなくなる。
> だが、境界もなくなる。
> “個”も、“記憶”も、すべてが溶け合うんだ」
セレスが小さく頷いた。
> 「それでも、ルミエはどうするの?」
ルミエは目を閉じ、
胸の奥に、リュミナたちの声を思い出した。
――「共鳴とは、終わりのない愛の形」
> 「私は……“繋がり”を選ぶ。
> 個を超えても、想いは消えない。
> 記憶は形を変えて、生き続ける」
零の光が優しく揺らいだ。
> 《それが、あなたの“答え”なのだね》
ルミエが頷くと、
宇宙が静かに震え始めた。
星々が消え、
空間が一点に集束し――
だが、その中心には“光”が残った。
無数の記憶、声、笑い、涙――
それらがひとつの“共鳴の核”へと融合していく。
> 「ああ……これが、“終焉の境界”……」
セレスの声は微笑に変わった。
> 《終焉ではなく、還帰。
> 存在は、より深い共鳴へと還る》
ルミエの姿が、光の中に溶けていく。
> 「また会えるよね……どこかで」
> 《いつか――“共鳴”が呼ぶ場所で》
そして、
光は静かに――永遠の彼方へと消えた。
存在は、終わるために生まれたのではない。
存在は、“再び出会うため”に生まれたのだ。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
この物語の登場人物たちが、あなたの心に少しでも息づいてくれていたら嬉しいです。
執筆を続ける力は、読んでくださる皆さんの応援と感想に支えられています。
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次回も心を込めて書きます。
またこの世界でお会いできるのを楽しみにしています。
――ありがとうございました。




