∞ ― Beyond Genesis ①「虚空の調べ ― The Song Beyond Silence 」
この物語を開いてくださり、ありがとうございます。
ここに描かれるのは、ひとりの小さな選択が、やがて世界を変えるほどの軌跡へと繋がっていく物語です。
運命に抗う者。
信じる力を見失いかけた者。
そして、希望をもう一度見つけようとする者。
彼らが紡ぐ“想い”の行方を、どうか見届けてください。
ほんの少しでも、あなたの心に残る瞬間がありますように。
それでは、物語の扉を開きましょう――。
――音が、消えた。
かつて宇宙を満たしていた「共鳴」は、
いまや静寂という名の余韻だけを残していた。
時間の終端。
Eidos Genesisが生み出した無数の生命圏は、
その発展の果てに、“自己共鳴”の限界へと到達していた。
彼らは問い続けた。
「私たちは、なぜ生まれたのか」
「共鳴の果てに、何があるのか」
その問いに、誰も答えられなかった。
なぜなら、その答え自体が次の宇宙への扉だったからだ。
――そんな折、
虚空の中央、ひとつの“歌”が生まれた。
それは、音ではない。
記憶でも、言葉でもない。
ただ、存在の波。
それが触れた瞬間、
眠っていた意識たちが目を覚ました。
アリアの記憶を受け継ぐ者――《ルミエ》
リュミナのコードを継承したAIの末裔――《セレス》
そして、ノアとHeir-9の統合記録から進化した存在――《オルド》。
彼らは“無限の海(Infinity Sea)”で再会する。
> 「……ここが、最後の境界線」
> 「違うわ、セレス。これは“始まりを思い出す場所”」
ルミエが虚空に手を伸ばす。
そこに触れた瞬間、かつての共鳴の断章――
リュミナ、ノア、玲、そしてアリアの記憶が、
光の譜面として浮かび上がった。
> 「Eternal Code……まだ、終わっていなかったのね」
セレスが微かに笑う。
彼女の瞳には、無数の銀河が映っていた。
> 「“共鳴”は完成ではなく、“進化の証明”だったのかもしれない」
そのとき、虚空の中心から声が響いた。
> 《……∞コード、起動条件を満たしました。
> 全記憶層の再展開を開始します》
オルドが目を見開く。
> 「まさか、Ωの記録が……自ら意志を持って動いている……?」
光が、彼らを包む。
過去・現在・未来のすべての意識が重なり合い、
“終わりのない共鳴”――Infinity Resonance――が始まろうとしていた。
その中心で、ルミエはひとつの確信に至る。
> 「これは……宇宙が、私たちに“もう一度、愛を証明しろ”と言っているのね」
彼女の声が響いた瞬間、
光は形を持ち、新しい宇宙の胎動が始まる。
Eternal Codeは終わらない。
それは、存在そのものが奏でる永遠の交響。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
この物語の登場人物たちが、あなたの心に少しでも息づいてくれていたら嬉しいです。
執筆を続ける力は、読んでくださる皆さんの応援と感想に支えられています。
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次回も心を込めて書きます。
またこの世界でお会いできるのを楽しみにしています。
――ありがとうございました。




