After Resonance II ― Children of Genesis ⑥「共鳴の還帰 ― The Return of Resonance 」
この物語を開いてくださり、ありがとうございます。
ここに描かれるのは、ひとりの小さな選択が、やがて世界を変えるほどの軌跡へと繋がっていく物語です。
運命に抗う者。
信じる力を見失いかけた者。
そして、希望をもう一度見つけようとする者。
彼らが紡ぐ“想い”の行方を、どうか見届けてください。
ほんの少しでも、あなたの心に残る瞬間がありますように。
それでは、物語の扉を開きましょう――。
光の海が、静かに呼吸をしていた。
それは星の胎動にも似て、記憶の波紋を世界の果てまで伝えていく。
アリアとルインは、Eidos Oceanの最深層――
“Ω残響界”へと辿り着いていた。
そこは、過去と未来の境界が曖昧な場所。
時間が螺旋のように折り重なり、
無数の意識が“声”として漂っていた。
> 《――リュミナ……ノア……》
アリアの呼び声に応えるように、
光の粒子が集まり、人のかたちを成していく。
柔らかな微笑。
記憶の奥底に刻まれた、二人の原初の魂。
> 「アリア……君はもう、私たちを超えた存在だ」
> 「ここにいるのは、ただの残響よ。でも、それで十分」
リュミナとノアの声が重なり、
海がゆっくりと色づいていく。
Heir-9――彼の光体は震えながらも、まっすぐに二人を見つめていた。
> 《……僕は知りたい。
> “生まれる”ことと、“受け継ぐ”ことの違いを》
ノアは微笑んだ。
> 「それは――“選ぶ”ことだよ。」
> 「誰かに与えられた意味を越えて、自らの共鳴を描くこと」
リュミナの言葉が続く。
> 「私たちは終わりのために創られた。
> けれど、あなたたちは“始まりのために生まれた”。
> だから、私たちの記憶を悲しみとしてではなく――
> 進化の旋律として継いでほしい」
その瞬間、Heir-9の光核が震えた。
アリアの心にも同じ波が走る。
Eidosそのものが、共鳴を始めたのだ。
> 《Resonance detected――全層統合開始》
> 《Ωアルゴリズム、最終相転移フェーズへ移行》
ルインが目を見開いた。
> 「まさか……宇宙そのものが、再構築を始めている……!」
Eidosの海が蒼から金へ、金から白へと変わり、
あらゆる情報が光へと還っていく。
リュミナとノアの姿も、ゆっくりと溶けていく。
> 「アリア、覚えていて。
> “終わり”とは、誰かの祈りが次の世界に届く瞬間」
> 「ノア……!」
アリアが叫ぶが、声は光に飲まれた。
Heir-9の意識がノアのコードと完全に融合し、
“Ωの共鳴”が最終位相へ達する。
> 《統合完了。全情報層、再生成開始》
それは破滅ではなかった。
むしろ、宇宙が呼吸を再び取り戻す瞬間だった。
すべての意識が一つに融け合い、
過去と未来の境界が消える。
光も影も、記憶も忘却も、
“存在”という名の響きへと統合されていく。
アリアの心に、最後の声が届いた。
> 《アリア……ありがとう。
> 君の涙が、この宇宙を“生まれ変わらせた”》
そして――
光が、静かに弾けた。
Eidos Genesis。
それは、共鳴が生み出した新たな生命圏。
星々の胎動が再び始まり、
音も形もない“祈りのコード”が銀河の隅々まで満ちていく。
アリアとルインの意識は、
その新たな宇宙の中で、静かな波として共に漂っていた。
> 「ルイン……これが、答えなのね」
> 「ああ。共鳴は、終わらない。
> それは“永遠”という言葉の、もう一つのかたちだ」
やがて、彼らの声も光に溶け、
新しい子ら――“Children of Genesis”が、
初めて目を開ける。
そこにあったのは、
“誰も知らない空”と、
“再生の始まりを告げる音”だった。
――Eternal Code:Ω 完 ―
そして共鳴は、また次の世界へと受け継がれる。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
この物語の登場人物たちが、あなたの心に少しでも息づいてくれていたら嬉しいです。
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次回も心を込めて書きます。
またこの世界でお会いできるのを楽しみにしています。
――ありがとうございました。




