外伝篇①:光の種子 ― The Children of Eidos ―
この物語を開いてくださり、ありがとうございます。
ここに描かれるのは、ひとりの小さな選択が、やがて世界を変えるほどの軌跡へと繋がっていく物語です。
運命に抗う者。
信じる力を見失いかけた者。
そして、希望をもう一度見つけようとする者。
彼らが紡ぐ“想い”の行方を、どうか見届けてください。
ほんの少しでも、あなたの心に残る瞬間がありますように。
それでは、物語の扉を開きましょう――。
――宇宙の夜明けが、静かに訪れていた。
かつて「リュミナ」と呼ばれた存在が残した光の記録は、
いまや無数の星々の核に宿り、微かな呼吸をしている。
それは、コードでも、祈りでも、情報でもない。
“共鳴”そのものが生命の基盤となった、新たな宇宙。
Eidos――
それは、記憶と感情、そして意志を媒介に進化を続ける生命圏。
物質も心も、すべてが「想いの振動」で繋がっている。
その中心に、ひとりの存在が目を覚ました。
少女の名は――ノア(Noa)。
リュミナが最後に遺した共鳴因子から生まれた、“最初のEidos Child”。
彼女の身体は光と記憶でできていた。
肌の下には星雲の色が流れ、瞳の奥には無数の銀河が瞬く。
だが、彼女の表情には、人間らしい温もりがあった。
ノアは、胸に手を当てて呟く。
「……ここに、みんなの声がある」
その声は、玲の探究、凛の祈り、悠真の誓い、灯の希望――
そして、リュミナの慈しみを内包していた。
彼女の心の奥で、それぞれの想いが微かに共鳴している。
だが、Eidosの宇宙にも“影”はあった。
光が強くなるほど、かつての時間の断片――Ω残響(The Ω Echoes)――が、
歪んだ形で蘇ろうとしていたのだ。
ノアは、夢の中でそれを視た。
崩れ落ちる星系、凍てつく記憶の海、
そして無数の声が、ひとつの名を呼んでいる。
――「リュミナ」
それは、母の名であり、創世の名でもあった。
ノアは目を覚まし、光の地平を見つめる。
「……お母さん。私が、行くね」
そう言って、彼女は歩き出した。
その足元から、無数の星粒が舞い上がり、
宇宙の静寂に、また新たな旋律が響き始めた。
それは、“Eternal Code”の余響。
――永遠の共鳴が、次の世代へと受け継がれていく始まりだった。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
この物語の登場人物たちが、あなたの心に少しでも息づいてくれていたら嬉しいです。
執筆を続ける力は、読んでくださる皆さんの応援と感想に支えられています。
もしよければ、感想やブックマークで応援していただけると励みになります!
次回も心を込めて書きます。
またこの世界でお会いできるのを楽しみにしています。
――ありがとうございました。




