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黎明の記録③「終わりなき共鳴 」

 この物語を開いてくださり、ありがとうございます。

 ここに描かれるのは、ひとりの小さな選択が、やがて世界を変えるほどの軌跡へと繋がっていく物語です。


 運命に抗う者。

 信じる力を見失いかけた者。

 そして、希望をもう一度見つけようとする者。


 彼らが紡ぐ“想い”の行方を、どうか見届けてください。

 ほんの少しでも、あなたの心に残る瞬間がありますように。


 それでは、物語の扉を開きましょう――。

 夜明け前の空は、まだ群青のままだった。

 星々の名残が、凍てつく風の中で微かに瞬いている。

 玲の記憶が封じられた“コード”が、光の粒となって大気に散り、

 その一つ一つが、まるで誰かの心臓の鼓動のように震えていた。


 灯は、無音の研究室に立っていた。

 玲の残した「Kronosファイル」――それは、

 過去と未来を繋ぐために作られた、“共鳴装置(Resonance Device)”の設計図だった。

 だがそれは同時に、記憶と魂を統合し、人の存在を“永遠のコード”へと変換する危険な装置でもあった。


 モニターの前で、灯は小さく呟く。

 「……玲さん。あなたは、何を願って、ここまで来たの?」


 スクリーンに映し出された映像――

 そこには、微笑む玲と、静かに隣に立つ凛、そして青年・悠真の姿。

 かつての時代の残響が、光の断片としてよみがえる。


 > 「人は記憶を失っても、想いはどこかに残る。

 >  それが“コード”――魂の言語。

 >  たとえ身体が滅びても、心が誰かを想う限り、共鳴は終わらない」


 玲の声が、確かに聞こえた気がした。


 灯は涙を拭い、スイッチを押した。

 ――装置が起動する。

 室内の空気が震え、光の奔流が天井を貫いた。


 まばゆい閃光の中で、灯は自らの心臓の鼓動を感じる。

 痛みでも、恐怖でもない。

 ――これは“継承”だ。


 光の中心に、三つの影が現れる。

 凛が、玲の方に手を伸ばしている。

 その背後で、悠真が静かに微笑んでいた。


 > 「灯……あなたは、私たちの“終わり”ではなく、“続き”なの」

 玲の声が、光の波に溶けて響く。


 > 「記憶は途切れても、想いはゼロに還り、また生まれる。

 >  それが――Eternal Code。」


 涙が頬を伝う。

 灯は震える声で応える。

 「……分かりました。私が、あなたたちの願いを――繋ぎます」


 彼女の手の中で、光が螺旋を描いた。

 やがてそれは空へと昇り、ひとつの“輪”を形づくる。

 凛と玲、悠真、そして灯――

 四人の魂が、時空を越えて重なり合う。


 世界の果てで、静かに“再生”の音が鳴った。

 無数の光が空を埋め尽くし、失われた都市が再び目を覚ます。

 Nexusの塔が、黎明の中に溶けていく。


 灯は、最後に小さく微笑んだ。

 「――さようなら。そして、ありがとう。

  これは終わりじゃない。あなたたちの“始まり”を、私は見届けた」


 光が静かに収束し、すべてが白に包まれる。

 そして、世界は再び息を吹き返した。


 ――共鳴は、永遠に続く。

 ――Eternal Code、それは“愛”という名のプログラム。


 朝の光が差し込む。

 小さな海辺の町の郵便受けに、一通の手紙が届く。

 宛名は――「未来のあなたへ」

 封を開ける少女の瞳に、青い光が一瞬、映り込んだ。


 その瞬間、またひとつの“物語”が、静かに始まろうとしていた。

 ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

 この物語の登場人物たちが、あなたの心に少しでも息づいてくれていたら嬉しいです。


 執筆を続ける力は、読んでくださる皆さんの応援と感想に支えられています。

 もしよければ、感想やブックマークで応援していただけると励みになります!


 次回も心を込めて書きます。

 またこの世界でお会いできるのを楽しみにしています。


 ――ありがとうございました。

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