エントロピー
掲載日:2025/12/08
窓を打ちつける雨粒が痛そうだ
この窓を最後に痛いのが無くなればいいな
そんなわけないか
ゲームの画面が揺れる
ピコピコ音がする
窓辺に咲いている植木鉢が水が欲しいというから
一日カルキ抜きして部屋の隅に置いておいた水をあげた
生ぬるいと文句を言われた
ベッドに戻ってゲームを再開する
電話が掛かってきた 姉からだった
姉から聞かされる家族の愚痴に永遠とウンウン頷いた
満足したのか姉が電話を切る
空はもう曇天でもわかる程暗くなっていた
雨はまだ降っていた
アスファルトに染みた雨水は無尽蔵に街を駆け巡る
白い曇りガラスを指でなぞる
どこまでも巡回していく
行き止まりの無い旅
目の端の水もやがて雨水になるのなら
どこまでも広がる青空
明日の天気を示す飛行機雲
むせ返る土の匂い
この空も大地も
答えは教えてもらえない
ベッドに戻ってゲームを再開する
段々と部屋は暗くなっていった
ゲームの画面と
街灯を反射して輝く雨粒だけが
やけに明るい




