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第7話. 2日目の来室と弱点

俺の風呂の番が終わり、部屋に戻ってきた。勉強机の椅子に座りながらキスマークのことを考える。


「洗ってる時に絆創膏取れちゃったからな。もう消えてるかな。念のためにもう一度貼っておくか」


キスマークは消えてるかもしれないが、もしものことを考えると絆創膏があった方が良いと考え同じ位置に張る。


「これで大丈夫かな」


ふーと息をつく。


「しかし、さっきは焦ったなぁ。いざ聞かれると上手く答えられないもんだ。姉さんがフォローしてくれなかったら怪しまれただろうな」


姉さんとの出来事に後ろめたさがあったから、上手く返せなかったんだと反省する。


「後ろめたさ、、あるだろ。あんな事があったんだから」


コンコンとノックされる。俺の部屋に用があって来るのは1人しか思い浮かばなかった。


「姉さん?」


ガチャと扉を開けて顔を覗かせる。


「正解。どうして分かったの?」


当たってた。


「まぁ、来るだろうなとは思ってたから」


「ふふっ、流石ゆーちゃん」


なんとも気まずい。

椅子に座ったままの俺は、姉さんにベッドに腰掛けてもらうよう促す。


「それで今日はどうしたの?」


「あのね、昨日のこと謝ろうと思って」


「昨日のこと?もう謝ってもらったと思うけど」


「さっき、父さんに言われてたでしょ。「首の絆創膏どうしたんだ」って。最初は私もなんだろうって思ったんだけど、思い出したの。その、昨日の夜したことを」


「それは」


「高まっちゃって暴走し過ぎました。本当にごめんなさい」 


姉さんは頭を下げて謝る。昨日も謝ってもらったのに、、この人は本当に律儀だ。


「昨日も言ったけど、怒ってないし。戸惑いはしたけど、嫌な気持ちにはならなかった」


「そっか。ありがとう」

 

そう言うと姉さんはふふっと笑う。


「どうしたの?」


「ううん、ゆーちゃんは本当に優しいなって改めて思ったの」


「俺は思ったままのことを伝えただけだよ」


「うん、そうだって分かるよ。昨日の返事もだし、素直に伝えてくれるところ優しい」


「ありがとう」


面向かって言われると恥ずかしい。


少しの間があってから「それでね」と姉さんが話す。


「今日もお願いがあるの」


姉さんからのお願い。どうしても昨日の事が思い出される。

おそらく顔に出ていたのだろう。姉さんが慌てた様子で言う。


「今日は一緒に寝たいってお願いじゃないの」


「じゃ、じゃあ何を」


「私が昨日付けたキスマークあるでしょ?それを見せて欲しいの」


俺は言葉を失った。


「私が付けたキスマークで迷惑かけちゃった訳だし。どんな状態なのか確認しておきたいの」


「いや、でももう絆創膏貼っちゃったし」


「私がまた貼るから、駄目かな?」


姉さんが羨望の眼差しで見ている。

俺は姉さんのお願いに弱かった。


「分かった。いいよ」


「いいの?ありがとう、ゆーちゃんは本当に優しいね」


そう言うと俺の後ろに回ってくる。


「ごめんね。せっかく貼った絆創膏剥がす」


「分かった」


俺が言い終わると姉さんの手が絆創膏を剥がすため首に触れる。


「ふぃっ」


俺から変な声が出た。


「どうしたの?」と後ろから姉さんが聞いてくる。


「分からない。くすぐったかったのかも」


「そう?じゃあ、剥がすね」


また触れる。


「んっ」


また声が出てしまう。


「ゆーちゃん、もしかして首触られるの弱い?」


「そうかも」


「ふふふっ、そうなんだ」


悪戯っぽく微笑むと絆創膏を剥がす。


「まだ、キスマーク残ってるね」


「残ってたか」


「うん、残ってる。あの時は痛かったよね。ごめん」


「本当に大丈夫だよ」


「…ありがとう」


沈黙が訪れる。ただ、視線をずっとうなじに感じる。


「姉さん?はふっ」


どうかしたのか聞こうとした瞬間、キスマークの付いたところを撫でられた。

不意打ちだったので変な声が出てしまう。


「ゆーちゃん、少しだけここ触らせて」


「良いけど」


「ありがとう」


そう言うと人差し指で触り始める。


(く、くすぐったい)


俺は漏れそうになる声を抑えながら姉さんが満足して終わるのを待つ。


しばらくすると指が離れる。


(終わった、かな)


油断してしまった。さっき触っていた場所と違うところを撫でられる。


「へふぅぅっ」


「あ、やっと声出してくれた」


ブワっと全身が熱を持つのが分かる。

姉さんは俺の反応が面白いのか、まだ続けている。


(さっきまで抑えられていたのに…)


「ひゃあっ」


撫でられる度に声が出てしまう。俺が「姉さん」と言うとその後の言葉を言わせまいと撫でてくる。


「ふふっ、ゆーちゃんの弱点みっけ。触るたびに声出ちゃうのかわいい」


姉さんが楽しそうな声で呟いてる。


(もう、本当に無理、、)


耐えられなくなり後ろを向こうとする。


「姉さん、そろそろ本当に」


「だーめ」


それを姉さんが妨げる。

声に届く位置から耳元で話しているのが分かる。


「ね、姉さん」


「駄目だよ、まだ前を向いてなきゃ」


再び首を撫で始める。


「んんやめて。お願いだから、姉さん」


「お姉ちゃん」


「ぇえっ」


「お姉ちゃんって言ったらやめてあげる」


「そんなこと、言ってる場合じゃあ」


「言わないならやめない。約束したでしょ」


「分かった、分かったから」


俺はくすぐったさと羞恥心に身をよじりながら言う。


「おね…えちゃんやめて」


「うん、分かった」


姉さんの手が離れるのが分かると後ろを向く。


「お姉ちゃんっ」


「ごめんね。反応を見てたら楽しくなっちゃって」


「もう」


「本当にごめん。嫌いになった?」


ずるいなぁ。


「なってないよ。大丈夫、嫌いになってない」


「ほんと?」


「ちょっとだけ、嫌いになったかも」


「うう、ゆーちゃん」


「冗談だよ。これくらいの仕返しは許して」


「本当?本当に嫌いになってない?」


「大丈夫だから安心して」


「ありがとう。ゆーちゃん本当に優しいね。そんなとこが好きだよ」


「…」


なんて返すのが良いのか考えていると「そうだ」と姉さんは言う。


「絆創膏ちょうだい。貼り直さなきゃ」


「あぁ、忘れてた」


そう言い、新しい絆創膏を渡す。


「ありがとう。じゃあ貼るね」


絆創膏が貼られる感覚がする。さっきあれだけ触られたのにまたくすぐったく感じるが今回は声を抑えられた。

 

「貼れたよ」


「ありがとう」


「ううん、私が言ったことだから良いよ。逆に見せたり触らせてくれてありがとう」


「じゃあ、自分の部屋に戻るね」と言って扉に向かう。


扉の前まで行くと「ゆーちゃん、今日もありがとうね。明日のお出かけ、楽しみにしてる」と言い、部屋から出る。


(返事をする間もなく行ってしまった)


そんなことを思っていると、ガチャっと扉が開き顔を覗かせる。


俺が「どうしたの?」と聞くと姉さんは答える。


「おやすみ、それと大好き。それだけ言いに来たの」と言って、また行ってしまう。


俺は扉が閉まりきる前に「おやすみ」と言った。


1人になった部屋で呟く。


「なんか、、遠慮がなくなってきた気がする」

どうも、オレレモンです。

第7話はいかがだったでしょうか?

楽しんでいただけたのなら幸いです。


次話は、お出掛けできるかな?

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