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第6話. 秘密と絆創膏

宿題をしていると昼ご飯に呼ばれる。母さんといると先ほどのことが思い出させるが特に触れられることはなかった。

食べ終わり、食器を片付けると残りの宿題を終わらせるために自室に戻ることにした。


(別に母さんといるとなんとなく気まずいとか思ってないし)


しなくていい言い訳を自分に言い聞かせながら。


           ◇ ◇ ◇


全ての宿題が終わると身体を伸ばしながらベッドに倒れる。


時計は16時を指している。宿題を始めてだいぶ時間が経っていた。


「疲れたぁ」


いつもは金土日と3日かけて終わらせているが、昨日はあんな事があったし明日は姉さんとお出掛けすることになっている。1日中出かける訳ではないと思うけど、今日終わらせておいた方が後々楽だと判断した訳だが。


(それにしても一気に終わらせる必要はあったかなぁ。夜に少し残しとけば良かっただろ。ばかだなぁ。午前に進めておいて良かったぁ)


自分に悪態をつきながらも思ったより疲れていたようで、そのまま意識は睡魔に刈り取られた。


           ◇ ◇ ◇


「・・・ちゃん、・・・ちゃん、起きて」


誰かが肩を叩きながらで声を掛けている。


「ん〜?」


「ゆーちゃん、起きて。ご飯だよ」


「はっ」


慌てて身体を起こす。俺が飛び起きたのにびっくりしたのか声の主も驚いた声を出す。


「わっ」


「姉さん、ごめん。驚かせちゃった」


「ううん、いいの。私の方こそ、びっくりさせちゃった?」


「いや、そういう訳じゃないけどびっくりはした」


「そう?」と姉さんは不思議そうな顔をして続けた。


「お母さんがご飯だって」


「もうそんな時間なんだ。姉さんが家にいるってことは、、思った以上に寝ちゃったな」


「もしかして、昨日寝れなかった?」


「いや、寝れたよ。宿題を終わらせたら思った以上に疲れたみたいで」


「確かに、ゆーちゃんいつもその日の分はその日にってタイプだもんね。お疲れさま」


「ありがとう。姉さんもバイトお疲れ」


「ありがとう、ゆうちゃん」


姉さんは何か言いたそうにしていたにしている。


「どうかしたの?」


「ううん、、なんでも・・ないの。リビング行こっか」


「うん」


リビングに向かうため、姐さんに続いて階段を降りる。姉さんが一番下の段に着いた時だった。


「ゆーちゃん、やっぱり言っておきたい」


「何?」


さっき言いたそうにしていたことだろう。

俺は姉さんに尋ねた。


「お母さん達の前では今まで通り『姉さん』呼びでいいの。ただ、私と2人っきりの時は『お姉ちゃん』って呼んで」


「そっそれは」


「お願い」


不安と勇気の混じった表情をしている。そんな顔を見たら、、断れない。


「わ、分かった。その代わりになんだけど、俺もお願いがある」


「なに?」


「俺も母さん達の前では、『ゆーちゃん』はやめてほしいかな。昔の呼び方を聞かれるの恥ずかしい」


「うん、分かった。気持ち分かるから、そうするね」


姉さんは笑顔で答えてくれる。


「じゃあ、2人だけの秘密だね」


「そ、そうだね」


姉さんの笑顔と『秘密』という言葉にボッと顔が熱くなってしてしまう。


姉さんは「ふふふっ」とリビングに向かう。


俺は少しの間、顔の熱を抑えるため階段を降りれなかった。


           ◇ ◇ ◇


食事を終えて、片付けが済んだところでソファの前に座り休む。

するとソファに座りテレビを見ていた母さんに話しかけられる。


「片付けしてくれてありがとう」


「むしろやらせてくれありがとう。作ってもらったし準備は何も手伝えてなかったから」


「あんたはまたそんなこと言って」


母さんの隣に座る父さんも続く。


「はっはっはっ、昨日も言ったがそこが雪哉の良いところだな。それに父さんの分もありがとうな」


「父さんもいつもありがとう」


「本当にお前は立派になったよ。なあ母さん」


「ほんとね〜」


3人で話しているとお風呂に入っていた姉さんが戻ってきた。


「なんの話をしてたの?」


「雪哉は立派になったねって話よ」


姉さんの問いかけに母さんが答える。


「春美もそう思うでしょ?」


「うん、本当に立派になったよ」


「「ふふっ」」


2人で笑い合っているのをなんとも恥ずかしい気持ちになりながら聞く。

テレビを観ようと身体の向きを変えた俺に父さんが「なあなあ、雪哉?」と尋ねてくる。


「何?」


「気になっていたんだが、首の絆創膏はどうしたんだ?」


突然の質問にビクッとする。


「いやぁこれは」


「ん?」


父さんは頭の上に?マークを浮かべている。


『蚊に刺されちゃって掻いたら血が出ちゃった』


言い訳は思い付いたが上手く話せずいると助け舟が来る。


「蚊に刺されて掻いたんじゃない?」


声の主は先ほどまで母さんと話していた姉さんだ。


「そー、そうそう。もう痒くて痒くて、掻いてたら血が出ちゃったんだ」


「そうか?まあ気を付けろよ」


「そうよ、あんたそういうところあるんだから」


父さんと母さんはそう言うとテレビに意識を向ける。


(な、なんとか誤魔化しきれた)と安堵する。


姉さんを見ると赤らんだ顔で「ごめん」と言いたそうな顔をしていた。


どうも、オレレモンです。

第6話も平和回でしたね。

少しだけ甘い要素を入れれて書き手的には良かったです。

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