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第3話.添い寝と狸

姉さんの"お願い"に耳を疑う。


(それゃあ、小さい頃は一緒に寝ることあったよ?!でも、それは何年も前の話だし、、もしかして聞き間違いかも)


俺の聞き間違いだと信じたくて聞く。


「もう一度言ってもらってもいい?」


「私と一緒に寝てほしいの」


聞き間違えじゃなかった。


「それは、どういう」


「昔のことを思い出してたの。小さい頃はよく一緒に寝てたなぁって。そしたら久しぶりに雪哉と一緒に寝たくなったちゃったの。それに明日は土曜日だし。その、、駄目かな?」


不安そうな顔を浮かべながら俺を見つめている。


(そんな顔されると断れないよ)


「分かった。そういうことなら良いよ。俺のベッド、広いからこの部屋でも良いかな?」


そう伝えると姉さんは安心と喜びが混じった顔をする。


「ありがとう、嬉しい。うん、雪哉の部屋で大丈夫だよ。そしたら、少し準備をしてくる」


そう言うと姉さんは扉の前まで行く。最後に振り向いて「本当にありがとう」と言って部屋を後にする。


           ◇ ◇ ◇



少し経つと枕を持って姉さんが戻ってきた。話し合いの結果、俺が壁のある右側で寝ることになった。


「おじゃまします」


電気をこだまにした姉さんがそう言って布団に入ってくる。


(いらっしゃいませとか言えたら和むんだけどなぁ)


そんなこと言える程、俺の心は落ち着けてない。  


"姉さんと一緒に寝る"


小さい頃は何度もあったことだ。でも、今は状況が違う。姉さんは義姉だと知ってしまった。姉であることに違いないのだが、俺は心のどこかで姉さんを"血の繋がらない女性"と認識していることに気付く。


(13年も一緒にいた人だぞ。今更そんなこと思うな)


そう心に言い聞かせるがもはや不可能な程、姉さんを女性と認識してしまっている。心臓の鼓動が「知ってしまったんだ。もう無理だ」と言わんばかりに大きくなる。


(俺は姉さんのことをもう…)


その先の言葉を考えようとしたら、次は心臓がキュッとなる。


(今、俺は何を考えようとした)


自分が姉さんに伝えた言葉が聞こえてきた気がした。


"たとえ血の繋がりがなくたって姉さんは本物の姉だよ"


(そうだよ。血の繋がりはどうであれ、姉さんは本物の姉で俺の家族だ)


その言葉を胸に響かせながら眠りにつこうとする。だが、"もう"の先を考えてしまいそうになったという事実が眠りの邪魔をする。


仰向けで寝るのはばつが悪いと思った俺はなるべく自然な呼吸で自然な風に身体を壁に向ける。


少しするとから「雪哉、寝ちゃった?」と声が聞こえるが、その問いかけに反応できない。俺は「すぅーすぅー」と寝たふりをすることにした。いや、寝たふり以外できなかった。


「そっか、寝ちゃったんだ。そうだよね、誕生日で楽しそうにしてたし、それにあんな話を聞いたら疲れちゃうよね」


姉さんは優しい声で寝たふりの俺に語りかける。


「ゆーちゃん」


不意に使われた呼び方にドキッとする。


(なんでその呼び方を)


姉さんが中学生になるまでは"ゆーちゃん"と呼ばれていた。でも、中学生になってからは"雪哉"と呼ばれるようになった。


もう呼ばなれないと思ってたその呼び方に顔が熱くなる。


「ふふっ、ゆーちゃん本当に大きくなったね。昔はお姉ちゃんって呼んでたのに今は姉さんだし、身長は私より高いし、背中もいつの間にかこんな広くなって。」

 

そう言いながら背中に身体をくっつけてきた。俺は寝たふりをしている罪悪感と姉さんの行動にドキドキする。


「ゆーちゃん、今日は本当におめでとう。それにありがとう。あの時の言葉、すっごく嬉しかった。でもね、私は」


そこで言葉を切ると、すーっと息を吸う音がする。


「私はゆーちゃんの事をもう弟だとは思えてない。今まではゆーちゃんは家族だから弟だからって言い聞かせてきた。けど、今日のことがあってもう無理になっちゃった。私はね、ゆーちゃんのことが好き。大好き。ずっと、ずっとゆーちゃんのことが異性として、男の人として好きなの」


姉さんから出た言葉に心臓の鼓動が早くなり、身体中に熱が広がるのが分かる。


「寝ていてくれて良かった。こんな事、起きてたら伝えられなかった」


心臓の音が聞こえているじゃないかってくらい大きくなっている。


"ちゅっ"


心臓の音を鎮めようと意識を向けていると耳元で聞き慣れない音と柔らかい感触がした。


「ふふっキス、、しちゃった。頬っぺだけど」


息遣いも小さな呟きも聞こえる。どうやら顔がすぐ近くまで来ているようだ。自分の心臓の音を意識していて、衣擦れの音が聞こえなかった。


姉さんはその後も何度か頬にキスをする。


しばらくすると息遣いが聞こえなくなる。


(終わった、のか?)


そう思っていると次はうなじに唇の感触がする。


「熱いのかな。汗の味がする」


そう呟くと再びキスを始める。


「でも、美味しい」


心臓の鼓動が爆発しそうなほどドクッドクッとなる。


「私、変態なこと言ってる。でもっ」


また唇の感触がうなじを襲う。途中、何回かザラザラとした感触がしたがきっと気のせいだろう。


           ◇ ◇ ◇


何分経っただろう。


「ふふっ、ゆーちゃん大好きだよ」


そう言いながらゆっくり離れるのが分かる。どうやらやっと終わったようだ。


「そうだ、ゆーちゃんが誰のものか分かるようにマーキングしなきゃ」


まだ、終わってなかったらしい。姉さんは唇をくっつけると俺のうなじを吸い上げる。


「ふふふっキスマーク。ちゃんと付いたかな?暗くて見えないけどきっと付いたよね。もしお母さん達が気づいたら私がフォローしてあげなきゃ」


そう言うとベッドが軋む音がする。姉さんが横になったみたいだ。


(はぁっはぁっはぁっ、終わったのか?ようやく寝てくれるかな)


俺の狸寝入りもようやく終わりを迎えたのだった。

どうも、オレレモンです。

第3話いかがだったでしょうか?

個人的にはちょっと暴走させ過ぎたかなと思っていますが、そこはそれだけの愛ということにしといてください。


第4話のタイトルは「宣言とお出掛け」です。

是非よろしくお願いします。


最後に、1番最後の文章に「と、思うじゃん」を付けると楽しみが増すかなぁと思ってみたり。

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