第1話.誕生日と衝撃の告白。
北松雪哉には2つ離れた姉がいる。
その姉、北松春美とは血が繋がっていない。
しかも、その義姉は俺のことを男として好きらしい!?
これは、義姉弟が結ぶ恋の話。
「私は貴方のことが大好きです。家族としてじゃない、1人の男性として大好きです」
「俺は、、」
これは俺たち義姉弟の恋の話。
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今日は6月6日!なんと俺の誕生日です!晴れて16歳になりました!!
朝起きて姉さんと両親に「おめでとう」と祝ってもらい、昼は学校で幼馴染や友人に祝ってもらった。
夜は母さんと姉さんが大好物のハンバーグを作ってくれている。主役とはいえ、何もしないのは落ち着かないのでキッチンまで行き、「何か手伝うことある?」と聞くと母さんに「あなたは主役なんだから座って待ってなさい」と言われた。何もしないのは落ち着かない。
◯ ◯ ◯
しばらく経ち、ハンバーグの焼ける匂いがする。
もうそろそろだ!と思い4人分の皿を出しに行く。食器棚を開けたところで母さんに「座ってなさいよ」と言われた。「そうだぞ〜」と後ろから父さんが言うと自分と立ち位置を入れ替えて、食器の準備を始めてしまった。
仕方なくテーブルに戻ると箸が並んでないことに気付き、いつもの位置に箸を置いた。俺、その隣りは姉さん、向かいに父さんと母さん、それがいつもの位置だ。並べ終わると父さん達が料理を運んできた。
「いつも手伝ってくれるのは嬉しいのだけど、誕生日くらい座って待ってて欲しいわ」
母さんが呆れたように言う。
「まあまあ、手伝いを率先してやってくれるのが雪哉の良いところじゃないか」
父さんがそう言うと母さんも「まあそうだけど」と呟く。姉さんは「ふふふっ」と笑っている。
料理を運び終わり、3人が席座ると母さんが話し始めた。
「雪哉、改めてだけど誕生日おめでとう」
「「おめでとう!」」
姉さんと父さんが続く。
「ありがとう」
なんか恥ずかしい。
「さっきも言ったけど、誕生日くらい座って待っててくれて良いんだからね。いつも手伝ってくれるのは本当に感謝してるわ。ただね、今日くらい私たちにかっこつけさせてよ。昔からあなたは〜」
「まあまあ、母さんそのくらいに。せっかくの料理が冷めてしまう」
「まっ、それもそうね」
父さんが母さんを止めると「では、いただきます!」
と言う。
俺も「いただきます!」と続く。
◯ ◯ ◯
料理を食べ終わり、感謝の気持ちに皿を洗おうとキッチンに向かうため立ち上がると、母さんが「父さんがやるからいいわよ〜」と声を掛けてきた。父さんを見ると自分を指さして俺かよ!?といった表情をしていたが「しょうがないなぁ〜」とキッチンに向かう。その様子を見て、母さんと姉さんと3人で笑った。
皿洗いを終えてテーブルに戻ってくると父さんはふぅっと息を吐く。
「お父さん、お疲れ様」
母さんが労いの言葉を掛ける。
「ありがとう、母さんと春美の料理のおかげで頑張れたよ」
「もう、お父さんったら」
そんなやり取りをする2人を見て、微笑ましく思った。
「ところで春美、あの話なんだが」
父さんが姉さんに尋ねる。母さんは少し驚いた表情を浮かべたがすぐに姉さんの方を見る。
「うん、良いよ」
姉さんがそう答えると、2人は俺の方を向く。
"あの話"というのを知らないのは俺だけらしい。
「雪哉、今から大事な話をする。驚くと思うがどうかこれだけは言わせてくれ。お前達は姉弟で、俺たちは家族だ」
いつもニコニコしている父さんが今は真剣な表情をしている。話の重要さを理解し唾を飲み込む。
「実はな、雪哉と春美は血の繋がった姉弟じゃないんだ」
「えっ!?」
驚いた様子の俺を父さんは見るが話を続ける。
「母さんのお兄さんの事は知っているな?」
「あっ、ああ。確か俺が小さい頃に交通事故で亡くなったっていう」
「その通りだ。実は、春美はお兄さんのひとり娘だっんだ。春美の母親は春美が4歳の頃に蒸発してしまった。だから、お兄さんが1人で春美を育てていた。春美が5歳の時だった。幼稚園の帰り道だったんだろう。春美と2人で信号のある交差点を渡っていた時に飲酒運転した車が信号無視をして、侵入して、、そのままお兄さんを。咄嗟のことだったんだろう。手を繋いでいた春美を安全な所に突き飛ばしたんだ。そのおかげで春美だけは助かった」
衝撃的な話で俺は言葉が出ない。父さんの話に母さんが続けた。
「兄さんの葬儀の後に春美をどうするかって親族で話になった時に私がお父さんに相談したの。「春美をうちで引き取って育てたい」って。お父さんは考える間もなく、「ああ、そうしよう」って言ったわ」
「ああ、そうだったな。でも、その前から俺は育てるって決めていたんだ。後から母さんにも言ったがな。病院で春美に会った時に言われたよ。「はるみがわるいこだからみんないなくなっちゃうんだ。ママがいったとおりだ。はるみがいるから、、ふこうになるんだ。はるみがいなくなれば」って。その言葉を聞いた時に思わず抱きしめてしまった。「そんなことない。春美がいたからお兄さんは間違えなく幸せだった。いなくならないで欲しい。春美は悪くないって」って少しでも伝わって欲しかった。その時だ。春美を引き取ると決めたのは。偽物の父親だけど、春美を幸せにしてみせるってお兄さんに誓ったんだ」
「私は当時3歳だった雪哉を家であやしてたわ。病院から帰って来たお父さんの表情を見て何かあったのは分かったけど、お父さんは教えてくれなかった。でも、何となく分かったわ、お父さんのことだもの。それに春美は兄さんが守った大切な命。私が兄さんの代わりに育てようと思ったわ。だから、お父さんに相談した時、お父さんがすぐに返事をしたのに驚かなかった。その後にお父さんから何とか聞き出して、私も兄さんに誓ったの。偽物の母親だけど、幸せに育てるって」
なんとか言葉を出そうとするが喉につかっえて上手く話せない。
「私は」
姉さんはそういうと父さんと母さんを交互見て、言うのだった。
「2人に引き取ってもらってからずっと幸せだよ」
はじめまして。オレレモンと言います。
この度は『姉さんと俺。』第1話を読んでいただきありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
表現や日本語の使い方の部分で至らぬところが多いと思います。本当にすみません。
第1話は春美の過去を書いて終わってしまいました。
話の区切りをどうするか悩んで結果、文字数的にこうなりました。(最後の春美のセリフはどうしても1話に入れたかった。)
始まったばかりの作品なので最後までお付き合いいただけると幸いです。
最後にここまで読んでいただきありがとうございました。何故、雪哉の誕生日を入れたかは次回分かるのでお楽しみに。