決意
俺は急いで燃えている家の中に入り、父さんと母さんを探した。リビングだったところで辺りを見渡すと、父さんと母さんが瓦礫に埋もれていた。急いで瓦礫をどかして、二人に声をかける。
「父さん!母さん!大丈夫!?早くここから出よう!」
「ラース…なんでここにいる…。早く逃げろ。」
「一緒に出ようよ!」
「無理だ。俺も母さんも足が動かないんだ。」
俺はそう言われて父さんと母さんの足を見る。すると二人の足は血だらけでありえない方向に曲がっている。
「ラース。早くここから出なさい。私達のことはいいから。」
「でも…」
「早く!あなたが無事でいてくれたら私達はそれでいいの!早く行きなさい!」
母さんの気迫に押されて家から出たその瞬間、家は崩れてしまった。その場で膝から崩れ落ちた俺に
「残念だったな!クズが!俺様に楯突かなきゃお前の家族も死ぬことはなかったのにな!」
と言って勇者は立ち去った。俺は頭が真っ白になった。気づくと俺はベッドにいた。周りを見ると、ジランさんとセバスさんが横に座っていた。
「ラース君が起きましたよ、ギルド長。」
ジランさんはバッと俺の方を振り返った。
「ラース君、目を覚ましたか!」
「ここは?」
「ギルドの医務室だ。君は家の前で倒れていたんだ。」
俺は大丈夫だその言葉でハッとした。
「父さんと母さんは!大丈夫なんですか!」
俺の言葉に二人は顔を曇らせる。
「父さんと母さんはどこにいるんですか!」
ジランさんは申し訳無さそうに口を開いた。
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ジランさんから聞いた話だと、ジランさんが俺の家についた頃には家の前に俺が倒れていて、家の中には大人二人の死体があったらしい。俺は信じたくないという気持ちと同時に勇者を殺すという決意をした。