#5〜#8
#5真紅の森と忍び寄る強豪
ユウリ「この方角に10km...。インテッドだね。」
インテッドとは、真っ赤な針葉樹林が多く生えている森のことだ。
ミツキ「周りには厳重に注意するヨウに....何が来るかわからんからね...」
私達は強く頷いた。
私が今いる場所は無気色で構成されていることから"モノクロ"と呼ばれている。
20000000km地帯のほとんどはモノクロであり、景色は中心方面に行かないと変わらない。
だが、一概にも安全とは言えない。
ギャアアアア!!
私たちは顔をしかめる。
そこに居たのは、四足歩行の魚であった。
そして私たちに突進してくる。
ミツキとユウリがアイコンタクトをとる。
そしてユウリが剣を抜き、息を吐く。
ミシャアアアアアア!!!!!
その時魚が高く飛び上がり、ユウリに飛びかかる。
ユウリは落ち着いた様子で魚の足を切断する。
ギシャ...ガアア..ギギ...
弱っている魚を気にせず、ユウリは解体を始める。
内蔵を取り...鱗をはぐ..
その度魚は断末魔をあげる。
そしてそれが食べられないもの以外を持たなくなった頃には、
魚は目から血を流し、口から泡を出し、色を持たなくなっていた。
ユウリ「食料は確保できた....多分1日くらいは持つ。」
そしてユウリはそれをカバンに入れる。
血で汚れた剣を洗うことなく、鞘に収めた。
そしてまた歩き出す。
しばらくして、霧が赤くなり始めた頃。
着いたのだ。インテッドに。
ユウリ「取り敢えず、食料の確保をしようか。」
そう言うとユウリは図書館から盗ったであろう本を私たちに見せる。
ユウリ「木の実を取りに行くなら、この青色の物は毒。もし動物を狩に行くというなら、この角が大きく、尖っている動物の肉は、寄生虫が入っている可能性が高いから狩っちゃだめだよ。そして、野菜とかの場合...根っこが青色の物は食べてはいけない。わかったかな...?」
ミツキ「ん〜ヌ。了解。じゃあ手分けして探すとしようか。じゃ、あたし動物で」
ユウリ「じゃ、僕は見分けるのが難しい野菜にするよ。エリちゃん木の実で大丈夫かな?」
私はうん、というとミツキが手を叩き、私達は散らばった。
正直青の木の実以外集めなくていいと言うのは、子供でもできることであった。
大体は木に登れば取れる。1口、齧ってみたが、シャリっという食感で少し苦味がある。
でも何か舌が覚えやすい味であった。
ユウリの調理次第では化けるかもしれない...そう感じた。
そのとき、後方で、突然嫌な予感がした。
振り返る、すると、1人の子供が近づいてきていた。
私を眼で捉えた直後、剣を抜き斬りかかってくる。
私は避けるために上に飛び、木の枝に乗った。そしてこう問いかけた。
エリ「どうして急に斬りかかってくるの?」
???「どうせあなた達も殺戮者よ。目を見ればわかる。あの神となにか関係している。」
彼女の殺意は止まることは無かった。仕方ない。戦おう。
私が地面に降りた途端、少女が剣を構える。その瞬間だった。
グアアアアアアアアアア!!!!!!
地面が震えるほどの咆哮。そして巨大な影が私達の目の前に現れる。
クマのような姿の化け物が、私たちを見下ろす。
少女が真っ先にその化け物に向かって走り出す。
だが、足が震えている。
本当は臆病なのだ。彼女も女の子なのだから当然だ。
そして少女は高く飛び剣を振る。そのとき同時に剣が煌めく。
彼女が降った剣は化け物に傷をつけた。
しかし、化け物は怯むことなく、少女に前足で襲いかかろうとした。
私は自分の足を壊す勢いで踏み込み、風のように飛ぶ。そして前足を蹴り飛ばした。
化け物はかなりダメージを受けたように後ろに反った。
その隙を見逃すわけが無い。
そのまま空中で向きを変え、化け物の喉に向かって飛ぶ。
そして私のリーチに入った時、私は渾身の右ストレートで化け物が地面にめり込む勢いで叩きつけた。
化け物の喉が裂け、血が吹き出る。そして化け物はそのまま倒れ込んだ。
死んだことを確認し、少女の方を向くと、泣き顔で私を睨みつけていた。
???「a...aa...でも...倒さなくちゃ....殺戮者は...殺す..殺す......」
私はそのまま少女に歩み寄る。
少女は私を警戒していたようで、再度剣を振る。
その剣を蹴りで吹き飛ばす。
エリ「はぁ...」
ため息と剣の金属音がこぼれる。
そしてまた私は彼女に歩み寄る。
???「く...くるな....」
彼女は私に殺されると思っていたのだろう。
でも、私はさっきの行動で既にわかっていた。
彼女が臆病であることを。
そう分かればすることは殺害でも罵倒でもない。
???「....n?」
私は彼女を抱きしめた。
最初は少し暴れていた彼女も、しばらくすると私の肩に顔をうずめた。
そして彼女は、涙を流した。
私は彼女が泣き止むまで抱きしめていた。
???「...やめて。」
さっきとは明らかに違う。泣いたあとの声だった。
???「なんて言っていいか分からないの。こんなことされたの...生まれて初めてで..」
そう彼女は私に伝えた。
エリ「"ありがとう"でいいんだよ。」
そう言うと彼女は「ありがとう...」と恥ずかしそうに呟いた。
彼女はこういった。
???「私は、親に勘で危ないと感じた人間は全て斬れと教えられた。」
そしてこう続けた。
???「私の勘はよく当たるの。でも...ごめんなさい。あなたは危ない人じゃないのに斬りつけてしまった。」
そして彼女が私に頭を下げた。
エリ「大丈夫だよ。」
と私が返す。
そして、彼女が頭を上げたその時、あの轟音を聞きつけていた、ミツキとユウリが私と合流した。
ユウリ「エリちゃん!大丈夫!?」
ミツキ「エリ...!...と...んヌ?なんだその子は。」
彼女の体が明らかに震え始める。
エリ「驚かなくていいよ。この人達は悪い人じゃないから。」
そう言うと彼女は少し安心したのか震えがマシになる。
彼女は何か言いたげな2人を気にすることんく話を切り出す。
???「あの....もし良かったら。私の街きませんか?」
衣食住の住に困っていたので私達にとって、とてもありがたかった。
ユウリ「え..いいんですか!?」
ミツキ「んんぅ....まぁ行ってみる価値はありそうだな」
そして少女はそのまま街の方向へ歩を進めた。
正直私は疲れていたので休憩したかったのだが...まぁ大丈夫だろう。
ミツキは...何故かきょろきょろしている。
街まではあまり遠くなかった。
街の前に来ると彼女が門をさしながらこういった。
???「ついたよ。ようこそ、ペレー村へ」
そういうと、彼女が門を潜ろうとする。
案の定、私とユウリは門番に止められた。
門番「貴様ら!!何者だ!!」
めんどくさい。絶対長くなると思っていた。
すると、ミツキが、
ミツキ「そいつら私の連れ。」
と伝えると。
門番は、「失礼しました..!!」と言うと早々にその場を立ち去った。
ミツキはトップランカーなのでかなり知られているのだろうか。
門を潜り、街を歩いていると、少女が立ち止まり、ある民家を指さした。
???「これ私の家。入って。」
少女は、扉を開ける。
そこまで大きい家では無かった。
そして、少女が次に入った部屋には、無数の剣が飾られていた。
ミツキ「.....!!!この剣...めっちゃレアなやつだ...!!!!」
ユウリ「ほんとだ...!!この剣なんて...中心でしか取れない宝石で作られてる...」
少女はなにか誇らしそうだ。
その時、もう光は沈み始めていた。
そして、ミツキがある提案をする。
ミツキ「今日取れた食材で、晩御飯にしないか?お前もいいだろ?」
そう言いながら、ミツキは少女を指さす。
???「いい...けど。私の分も作ってよね。」
ユウリは任せてと言わんばかりに微笑んだ。
今日取れた食材は、
・棘みたいな木の実
・大きい木の実
・赤い葉っぱ
・赤いフルーツ
・インテッドガレイの肉
・マーシャリーの刺身
だった。
これでユウリはどんな料理を作るのだろうか...
ユウリ「よし!作ろうか。」
ユウリは擦り器とフライパンを持ってきた。
ミツキ「にへへ...私も手伝うよ少年。なにをすればいい?」
ユウリ「うーん...この木の実の殻を剥いて、中身をすり潰して。」
ミツキはりょーかい、というとすぐに殻を剥ぎ始めた。
殻をむくミツキを横目にユウリはフライパンを温める。
そして、インテッドガレイの肉を1口サイズに切り始めた。
インテッドガレイの肉は薄く、1口サイズに切ると、少し厚いベーコンのようになる。
切り終わると、赤い葉っぱを巻いていく。
そして巻き終わった赤い葉っぱの上からインテッドガレイの肉をまく。
いわゆるキャベツの肉巻きだ。
そして肉を巻いた物を8個ほど作ると、温めておいたフライパンに油を敷き、巻いたものを入れていく。
ジュゥゥゥゥ、と言う音がなり、お肉のいい匂いがする。
ここだけの情報だが、この赤い葉っぱは、熱せられるといい匂いを発するらしい。
そして焼いている間にミツキが声を上げた。
ミツキ「潰せたぞ〜」
ミツキが潰した木の実は少し臭い匂いをしていた。
ユウリは、採ってきたフルーツを洗い、小さめに切り、それを器に入れる。
そして、その器に、マーシャリーの刺身を入れる
この刺身は、モノクロにいた時に狩った魚だ。
そして、その中に余っていた赤い葉っぱをちぎっていれ、カバンの中からとりだした、調味料を器に入れる。
そして少し混ぜる。
ユウリ「よし!これは完成。」
ユウリは急いだ様子で肉巻きを皿に移すと、ため息をつき、できたものをテーブルに乗せた。
ユウリ「完成したよ。インテッドガレイの肉巻きと、マーシャリーのフルーツサラダ!」
美味しそうだ。特にミツキ。お腹が減っているのか、ヨダレが床まで伝って落ちている。
少女も控えめに食べたそうにしていた。
全員が椅子に座ると、少女が、全員分のパンをさらに入れて持ってきてくれた。
???「久々の客だからね。少しはおもてなししなきゃ。」
私たちは、感謝を伝え、早速ご飯を食べることにした。
一番最初に食らいついたのはやはりミツキ。
肉巻きを一口で食べると、体が溶けそうなほど脱力する。
私はフルーツサラダを食べてみる。
マーシャリーの刺身は歯ごたえがあり、少し噛むのに苦労したが、フルーツと魚は案外合うんだなと感じた。そして何より調味料。何を入れたのか分からないが、臭みを消すと同時に食欲をそそる匂いに変えている。1口食べると、もう1口と癖になりそうな味だ。
少女に目をやる。まだ一口も食べていない。
その様子を見て、ユウリが
ユウリ「ほら、君もお食べ。」
とサラダを小さい皿に盛り、彼女の前に差し出した。
彼女は匂いを嗅ぎ、恐る恐る口に食べ物を入れた。
私達に緊張が走る。
____
____
おい...しい
緊張の糸を切ったのは彼女の「おいしい」という言葉だった。
ユウリはほっとしている。
すると、彼女の目から涙が零れてくる。
???「こんなに美味しいもの...初めて...食べて...」
すすり泣く彼女の声が部屋に響く。
彼女は泣きながら箸を進めた。
きっと彼女は母がいた事を思い出しているのだろう。
光がくれてすぐのこと、ミツキがある提案をする。
ミツキ「さ。もう光が暮れるぜ。そろそろ寝る場所を確保しよう。」
???「それなら大丈夫...2階に...ちょうど4人のベッドがある。」
ユウリ「明日も冒険に行くなら早めに寝ようか。」
エリ「そうだね。今日は寝ようか。」
________ミツキ視点
みんながベッドに入った。
多分みんな寝た。
エリも寝ている。
少年もなぞの人も。
だが、私はまだ起きていないといけない
シュン...
来た
私は鎌をエリの方に向ける。
???「おや...テレポートしたのにバレてしまうとは...流石トップランカーですね。」
ミツキ「とりあえず表出ようぜ。」
???「いいでしょう...テレポート!!」
そして私とあいつはテレポートで外に出る。
私は鎌を抜く。そして構える。
???「おや...この私に噛み付くというのですね。っていうか私の事...知っていますか?」
ミツキ「知らねぇよ。」
汗が流れる。勘ではあるが、こいつ只者では無い。
???「私の名前はクォーモロス。ランクは"V"です。死後、お見知り置きを。」
ミツキ「私はミツキ。ランクは"III"。一発殺らせてくれよ。」
クォーモロス「ふふ...あなたは面白いですね。私に勝てると思っているのですね。」
するとあいつは見えない速さで剣を抜く。
クォーモロス「今から死ぬというのにですね!!!!!!」
見える。
キーン....高い金属音がなる。すごいパワーだ。
クォーモロス「いいですね!!!!楽しいですね!!!」
ミツキ「にひ..お前の肉を裂いてやるよ。」
私はクォーモロスに近づく。
そのまま鎌を横降りする。
だが、それを剣で塞がれる。
クォーモロス「鬱陶しいので消えてください。」
奴は毒ナイフを投げる。
それが肩に1本刺さった。
_____なぜだ?痛くない。
これもあいつの能力か...?
クォーモロス「あらあら...1発食らってしまいましたか...まぁそろそろ死んでくださいよ。」
するとクォーモロスは私に指を指す。
クォーモロス「Luxviete」
すると無数の剣が私に飛んでくる。
鎌で全て捌いた。
つもりだった。
う.....背中に1本刺さった。
また痛くない。
クォーモロス「はぁ...やれやれ。そろそろ終わりましょうか。」
クォーモロス「subitamorte」
ミツキ「あ...アアアアアアアア!!!!!!!」
痛い....痛い痛い!!!!痛い!!!!
毒が回る....痛い痛い痛い!!!!!
ああ..あああああ...
クォーモロス「おや?お腹ががら空きですよ。」
痛みに悶絶するあいだに、クォーモロスは私の近くによってくる。
そして腹を剣で切られた
ミツキ「ああああああ....!!!!!!」
かなり深い傷だ..
だが..私は負けない。
ミツキ「おい。クォーモロス。私はお前に負けない。」
そして私は、鎌の刃を髪に当てる。
ミツキ「ごめんね....お姉ちゃん。」
スパッ...
#6散りゆく命と報復の剱
私は中心から50000km離れた、モースという町で生まれた。
私にはお姉ちゃんがいて、小さい頃から2人暮らしをしていた。
姉ちゃんは手先が器用で、家事や、裁縫は、まさに1級品レベルだった。
対して私は、不器用だったため、家事はまったく出来なかった。
私が料理を作る度に、お姉ちゃんは、食べてくれた。
美味しいと言って貰えた時は、飛び上がるほど喜んだ。
今となってはお世辞だったのでは、と思う。
でも、不器用な私でも、得意なことがあった。
それはモンスターの討伐だった。
私は生まれつき、剣捌きが上手かった。
だが、お姉ちゃんは、モンスター討伐が苦手で、剣ではなく鎌を使っていた。
理由は「かっこいいから」だと。面白い姉だよ。
私は、お姉ちゃんと一緒に居たい、と思った。
でも、こんな幸せな生活も、長くは続かなかった。
私が8歳の時、創造神から派遣されたトップランカーが、私たちの街を襲った。
そいつは白髪で、帽子をかぶり、スーツを着ていた。
そしてそいつは、目に付いたヤツを全員殺して行ったんだ。
町では悲鳴が耐えず響き、血で染まっていく。
その時私たちは頼まれていたモンスター退治の帰りだった。
???「おやおや...こんなところにお嬢さん2人...」
私はそいつを見ただけでヤバいやつだと本能的にわかった。
ミツキの姉「あなただれ...」
姉が口を開いた瞬間。
もう腹を切られていたのだ。
???「残念ですねぇ、お嬢さん。お姉さんが殺されてしまって。」
私は悔しかった。こんな奴に姉の命が奪われたことに。
私は反撃として幼い剣をそいつに刺そうとした。
???「おや..お嬢さん。あなたも"殺しますよ"」
背筋が凍てつくような声。私は剣を下ろしてしまう。
そいつは次の獲物を殺りに消えた。
私はすぐにお姉ちゃんの元に駆け寄った。
ミツキ「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
何度も何度も声を浴びせた。
お姉ちゃんの体が..体温を失っていく
お姉ちゃんはすごく弱い声でこう囁いた。
ミツキの姉「ミツキはね...まだ秘められている力を持っているの...私にはない。とても強い力が。私がいなくなっても...自分らしく生きてね...。」
言い終わった時、姉の体は冷たくなっていた。
秘められた力...自分らしく生きる。
お姉ちゃん。私、最期の言うこと聞くよ。
白い髪が、インテッドに舞う。
私は、髪を切ったのだ。
幼少期の頃とおなじボブほどの髪の長さに。
そして、跪いて鎌を床に置き、鞘から剣を取り出した。
そして、剣をやつに向いて構える。
クォーモロス「嗚呼、懐かしい。幼少期のあなたを思い出します」
は?何言って
クォーモロス「覚えていないのですか?あの"大切なあなたの姉"を殺したのは私ですよ?」
突然の告白に、一気に殺意が増す。こいつは殺さなきゃいけない。
ミツキ「やっと見つけた...なら必ずコロしてやる。」
私はこの時、笑いが止まらなかった。
狂ってしまったのか、もしくはこの状況に諦めた笑いなのか...分からなかった。
クォーモロスに向かって踏み込む。
今までの3倍くらい速い。
奴の顔に、少し焦りが出る。
そして、それはクォーモロスの左手をとらえた。
だが..堅い..!?
クォーモロス「手には鋼鉄を仕込んでいるんです。手袋していたから気づきませんでしたか。」
そして距離をとるための蹴りが飛んでくる。
私は間一髪躱す。
私も少し焦ってしまった。やつの弱点はどこだ。
クォーモロス「おや、考え事ですか。相手から目を離すのは死の合図です。」
そして素早く剣が飛んでくる。
それを剣で受ける。それを起点に、クォーモロスの斬撃が無数に飛んでくる。
全て剣で受ける。金属音が鳴り止まない。
そして奴が剣を振り上げ、隙を作る。
ここだ....ここを突かないと殺れない!
そして剣で喉を突いた。
だが、奴はそれをさっき切った左手で受け止めたのだ。
今度は私に出来た隙をクォーモロスは見逃さない。
クォーモロス「さぁ死にましょう。」
そして音速にも近い刃が飛んでくる。それは私の頭を狙っていた。
剣では受けられない。なら...あそこしかない!
私は賭けに出た。止められたら勝ち。止められなかったら負けだ。
そのままやつの刀は頭目掛けて飛んでくる。
最後まで引きつけろ....集中しろ。
その時目を瞑った。そして全神経を集中させる。
ミツキ「ここだ!」
そして私は歯で刀を噛んで止めた。
さすがのクォーモロスも顔に焦りが出てしまう。
そして、クォーモロスに大きな隙ができる。
ここを見逃して、トップランカーは名乗れない。
そしてそのままやつの首に狙いを定めて剣を振る。
確実にとったと思った。
だが、無情にも甲高い金属音がなる。
そう、奴は首にも鋼鉄を仕込んでいたのだ。
クォーモロス「勝ったなんて油断するのは未熟です。」
私を嘲笑うかのように奴の斬撃が腹に刺さる。
それは私の"GAMEOVER"を意味していた。
私はその場に崩れ落ちる。痛くない。
痛くないのだ。なのに体は言うことを聞かない。
クォーモロス「さぁトドメをさしてあげましょう。何か言い残すことはありますか?」
奴はそう問う。
ミツキ「きゃは。元々私ではお前に勝てると思ってねぇよ。」
クォーモロス「そうですか...なかなかいい相手でしたよ。ミツキ。」
ミツキ「なぁ、クォーモロス。お前が言ったこと覚えてるか?」
クォーモロス「はい?」
ミツキ「勝ったなんて油断するなよ?ヒヒッ」
私は計画どうりだった。
奴の背後からとんでもないスピードで迫ってくる人物が1人。
そう。エリだ。
エリ「消えてくださいよ。」
エリの拳が奴の顔に刺さる。
奴は血を吐き、鼻血を出しながら笑う。
クォーモロス「これはこれは...創造神の継ぎさんですか...!もう少し殺り合いをしていたいのですが...少し分が悪いので私は退かせてもらいます。」
エリ「まて!!」
エリが止めた頃には、もうクォーモロスはテレポートで居なくなっていた。
エリ「ミツキ!!またこんなに怪我して...速く町に帰るよ!」
私を抱えたまま、ダッシュで町へと戻る。
どのくらい時間が経っただろうか。
町へ着いた時、もう光は明けかけていた。
私を抱えたまま、エリはかなり長い距離を走ってくれた。
門番「ミツキ様!!どうなさったのですか!?早く医者を!!」
そして私は医者によって運ばれた。
エリ視点
ミツキを抱えて3時間ほど走ったおかげで、門をくぐる時にはもう疲れ果てていた。
もう立っているのが不思議な程に。
ミツキは医者によって病院に担ぎこまれた。
私は、安心感と、膨大な疲労によって、そのまま門の前で倒れてしまった。
目が覚めた時、外は朝だった。
驚き、ベッドから飛び起きると、ユウリと少女がビックリしてこちらを向いた。
その途端ユウリが私のもとへ走ってくる。
ユウリ「もぅ....めっちゃ心配したんだよ!?..」
???「丸1日寝てたからびっくりだよね。」
そんなに眠っていたのかと再度驚いてしまった。
エリ「そういえばミツキは?どうなったの!?」
ユウリ「....ミツキは....」
もう...僕らと一緒に冒険に行けないかもしれない。
#7最善の策
今回はユウリ視点で進みます。
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ミツキちゃんは植物人間になった。
体は生きているが、脳が死んでいる。
医者からも、治ることはほとんど無いと言われた。
エリちゃんにはこんなこと伝えれなかった。
???「ユウリ...ミツキちゃんの事なんだけど...」
僕が振り返ると、その子は1言。
???「クォーモロスに頼もう。それしかない。」
エリちゃんが食べていたパンを少し吹き出しながら言った。
エリ「クォーモロスってミツキを殺そうとしたトップランカーだよね?危ないよ..」
だが、その子は落ち着いた様子で返す。
???「もちろんそう。でもクォーモロス以外頼れないんだ。あいつは多分特効薬を持ってる。」
エリ「そう...そうなんだけど...」
エリちゃんは何か言いたそうだ。
でも僕も同じ気持ちだった。不安もあるが、それ以外方法がないと思った。
そこで僕は切り出した。
ユウリ「僕がクォーモロスに頼みに行く」
そういうと2人は、とても驚いた顔で僕の顔を見つめた。するとその子は、
???「相手はトップランカーよ。あなたが抵抗したところで肉片になるのがオチよ。」
と冷たく放った。
エリちゃんはその子の意見を肯定した。
2人が止めても、僕は行かないといけないんだ。
ユウリ「僕はミツキちゃんを助けたいんだ。ミツキちゃんが助かるなら...僕の命なんてどうでもいい。」
僕の言葉を聞いて、その子は、呆れたようにため息をついたが、エリちゃんは違った。
エリ「ユウリがそこまでいうなら...」
ユウリ「ありがとう。今日の夜出発する。クォーモロスの場所はあの子に聞いた。」
???「うん。この殺戮者コンパスで確認できるようにしてる...だから行ってらっしゃい。」
殺戮者コンパスとは、ミツキちゃんが流した血をそのコンパスに吸わせることで、その傷害を与えた人物の場所の方角が8方位で表されるというものだ。
朝ごはんを勢いよく食べた僕は、そのまま外へ出て、剣の素振りを始めた。
夕方、晩御飯を食べると、すぐに殺戮者コンパスを持ってクォーモロスを探した。
案外近く北東に2km地点にいるとの事だった。
そして、15分ほど歩くと、2km地点に着いた。
その時、天から舞い降りてきたのは、クォーモロス。真の殺戮者の姿だった。
クォーモロス「おやおや。ミツキ付属の少年。殺されに来たのですか?」
クォーモロスは優しく、だが、殺意を向けて言葉を発した。
僕はその時、恐怖を覚えた。
だが、ミツキちゃんのためだと自分を囃し立てると、クォーモロスにこう返した。
ユウリ「ミツキちゃんが植物状態になったんだ。僕たちはこの世界の中心に行かなくちゃならない。だから、特効薬を..」
クォーモロス「無理です。」
奴は、僕の話を遮った。
クォーモロス「まず、ミツキを助けるのと中心に行くこと。なんの関係があるのですか?ミツキなど必要あるのですか?」
少しムッとした。だが正論であった。
僕はこのままだと、何の成果もなく終わると察し、ある提案をした。
ユウリ「なら...僕と戦って、勝ったらミツキちゃんの特効薬をください。」
クォーモロスは怪しげに口角を上げる。
クォーモロス「ほう...オモシロイ...力試しということですね...いいでしょう。その案、乗らせていただきます。」
そういうと奴は剣を抜いた。
周りの空気が一気に冷えたような気がした。
そして僕も奴に剣を構えたが、少し震えている。
クォーモロス「始めますよ。」
そういった途端、奴は風のように僕に近づいてきた。
そして剣を横降りした。
あまりの速さに、剣はその攻撃を追えない。
もう勝負は着いたと思った。
だが、僕は目の前の光景に目を疑った。
奴の剣がとてもスローなのだ。
(これがミツキの言ってた"能力"か..!)
そしてゆっくり動いていた間に、剣をかわし、奴に剣を振った。
クォーモロスは驚いた顔をしながらも、鋼鉄を仕込んだ手で受け止めた。
そして、奴は距離をとる。
クォーモロス「あなたの能力...とても厄介ですね...まぁいいでしょう。」
すると、奴はLuxvieteを放った。
10数本の小刀が、僕を目掛けて飛んでくる。
またしても、剣が、ゆっくり飛んでくる。
全て剣で振り落とした。
クォーモロス「ほう...面白い。」
そういうと奴はまたしも唱える。
クォーモロス「servitus。そろそろ死にましょう。」
すると、僕の近くに鎖が出現する。
それは僕の手足に結びつく。
それを見たクォーモロスは、剣で襲いかかってくる。
剣を振り上げた時、またスローになる。
だが、躱す手段がない。
手足は縛られ、剣は使えない。
そして、鎖も引っ張った程度では外れない。
そうしている間にも剣は近づいてくる。
僕は絶望した。この攻撃は避けられない。
そして、その剣が腹とゼロ距離になった時。
痛みが僕を襲った。
腹を尖ったもので開かれていく。肉がプチプチ...プチプチと切れていく。
血が腹から吹き出る。
だが、ずっとスローだ。痛くてたまらない。
何度も、自分が生きてるのか確認した。
(感覚ありってそういう事か...)
そして、剣が腹を斬り終わったとき、やっと時間が等倍で進むようになった。
僕の顔は鼻水と涙と血でぐしょぐしょだった。
それを見てクォーモロスは言った。
クォーモロス「感覚維持状態の擬似的な時間停止でしょう。まぁ最初の時点で分かっていましたが。」
その時、鎖が解けた。
開放された。
あんな痛みを知ってしまったら、もう自分から行くなんてできない。
ネガティブな考えが頭を埋め尽くす。
その時、僕の絶望した頭の中に、1人の女性が浮かんだ。
違う。僕はあいつを助けるためにここにいるんだろう?
なら自分なんて...死んでもいいじゃないか。
そして強く決意した。
ユウリ「クォーモロス、僕は殺るよ。君を。」
クォーモロス「はは。よく言います。」
そして僕はクォーモロスに向かって踏み込む。
少し遅いが確実にクォーモロスに近づいている。
クォーモロス「Infirmationis。私も時間が無いのです。」
やつが唱えた魔法は何も起こらなかった。
そして奴に剣を振った。
奴は交わして拳を胸に刺してきた。
僕は後方に4mほど吹き飛ぶ。
ユウリ「なんで...時間停止されないんだ」
クォーモロス「さっきやった能力の効果ですよ...もういいでしょう少年。」
するとクォーモロスは僕に近づき、あるモノを渡した。
それは黒い手袋だった。
クォーモロス「この手袋をつけていると、相手の情報が見える。つけてみてください。」
そう言うので、手袋をつけてみると、クォーモロスの上に"V"と"蓄積"と見えていた。
クォーモロス「Vはランクです。そして、蓄積は能力です。」
ユウリ「凄いですね...」
クォーモロス「あとこれもです。あなたの強さは分かりました。特効薬をあげてもいいでしょう。」
すると瓶を1つくれた。
ユウリ「ありがとうございます...!」
僕は少し感動して泣きそうになった。
さっきまで向けられた殺意が、今は感心に変わっているからだ。
クォーモロス「傷が少し深いですね...よっと。」
そういうと奴は僕をお姫様抱っこする。
クォーモロス「fuga。さぁ街に戻りましょうか。」
するとやつの背中から翼が生え、僕たちは浮き上がった。
上からの景色は、真っ赤ながらもとても魅力的に見えた。
そして僕達は天を移動した。
#8癒しの闇
心配で仕方がなかった私の頭をつついたのは、ドアのノック音だった。
警戒しながらも、私達はドアの方を見つめる。
ドアが開くと、そこから、新鮮な空気が流れると同時に、腹に傷を負ったユウリの姿があった。
「ユウリ...!どうしたのそんな怪我して!」
私はユウリに駆け寄る。
そして、私の後ろにいた少女はこう尋ねた。
「特効薬は?」
するとユウリは何も言うことなく、瓶をこちらに差し出した。
少女はそれを見ると、少し安心した表情でこう言った。
「あいつが作る薬はよく見てきたんだ、これで合っているさ」
私はその発言に少し疑問を持った。
質問したい気持ちを抑えて、ユウリを医者へ連れていくことにした。
「ユウリ、おんぶするからおいで」
そういうと、ユウリは顔を赤らめたあと、俯きながら、
「大丈夫だよ、歩けるから」
と言った。
病院に着いてユウリを見せるなり、医者はまたか..といった表情をした。
そして、ユウリの治療をすることになった。
「まぁ、この程度ならすぐ治るでしょう」
医者の言葉に、私はほっとした。
そして私はポケットから、特効薬を取り出した。
「これ...特効薬です。ミツキに塗布して貰えませんか?」
医者はその薬を眺めると、こう言った。
「効果があるものだということは分かる。だが、副作用は私も分からない。それでもいいんだね?」
緊張と迷いで汗が出る。
「構いません。お願いします」
不安混じりの言葉を発した。
医者は、軽く頷くと、服用の準備をし始めた。
私はこれをどう見ていればいのか分からなかった。
暫くしたあと、組み立てが終わったのか、医者が疲れたように息を吐く。
「準備は出来た。ミツキさんに服用しに行きます」
私は緊張した面持ちで頷いた。
ミツキが居る病室に着いた。
彼女の顔は、いつもとなんら変わらない様子であったが、生きていないことは確かに分かった。
そして、医者が服用を始めた。
私は固唾を飲んだ。
心臓がいつもより、早く鼓動し、冷や汗が止まらなかった。
もし失敗したら...とネガティブな思考が頭を埋め尽くす。
できることなら、こんな時間を1秒でも過ごしたくなかった。
そして、見守ることしか出来ない自分に腹が立った。
もしあの時、戦えたらと思うと自分はどれだけ弱いか思い知らされる。
どうしてもっと速く走らなかったんだろう。
どうして私は人を助けれなかったんだろう。
もういっそ私なんて...
こんな考えを巡らせていた頭を刺激したのは、ミツキの唸り声だった。
非常に弱い声であった。だが、息を吹き返したことにとても安心していた。
そして、ミツキの瞼が、そっと開いたのだ。
私はその様子を見て、膝から崩れ落ちた。
安心からなのか、感動からなのか、分からない。
ただ流した涙に気づいたのは、自分が、無意識に目を擦った時だった。
「ミツキィ...!!」
私はミツキに抱きついた。
暖かく、アザミの匂いがした。
「こら...やめてよエリ」
ミツキは普段よりも優しい声で私を制止した。
彼女の衣服は、私の涙で、小さくシミを作った。
ミツキに宥められ、落ち着きを取り戻した私は、感動の余韻に浸りながらも、話をする。
ミツキはクォーモロスの戦いで酷く損傷したこと、
ユウリが特効薬をクォーモロスから取ったこと、
暗い話をすると、ミツキは顔を顰める。
可愛い顔ではあるが、あまり見たくない。
なので、この話はやめる事にした。
特に、クォーモロスの薬で救われたことにミツキは悔しさを感じているらしく、短くなった髪を触りながら、歯ぎしりをした。
その影響からか、ミツキは私と医者に鎌を振らせろと小さい子供の様に駄々をこねた。
少し呆れた表情をしながら医者は
「ダメです」
と言い放った。
ピシャンという音を立てて医者は扉を閉めた。
そして少したったあと、ミツキが私に抱きついてきた。
「なーなー...鎌振らせろよ〜」
「ダメだよ。医者にも言われたでしょ?」
呆れた声を出す。
「なら...!このナイフで!」
「どこから出したのそんなもの!?」
「あ、あと言い忘れたんだけど〜...」
その時、医者が扉を開けた。
医者は私達の様子を見ると、何かを察したのか、また扉を閉めた。
そして走るような音が聞こえたあと、また扉が開き、
「ミツキさん...この鎌...」
医者が差し出したのは、ミツキの鎌だった。
寄越せ!とミツキが飛びかかるも、腹にパンチを入れられて悶絶していた。
「ミツキさん...この鎌をこの病室に置きます。ですが、"絶対に"部屋で振り回さないでくださいね」
ミツキは聞いているのか聞いていないのか分からないがとても頷いていた。
「エリさんもそろそろ帰っては?光が沈みますよ」
少女も待っているだろうし、私は帰ることを選択した。
そして、ミツキを残し、病室を後にした。
廊下で、医者がこう言った。
「あの子...大変でしょう?」
「そうですね〜...でも頼りになるんですよ」
私はそう言った。
「ミツキは強くてかっこいいです。私もあんな風に強くなりたい、と思っています。だからミツキは...」
パリーン!!
ガラスが割れた音がした。
私と医者はまさかと思いミツキの病室に駆け込んだ。
すると、そこには、やっちまった...というドヤ顔のミツキと、無数のガラスの破片が散らばっていた。
「エリさん...帰って貰えますか...?ミツキと2人で話がしたいのです」
そういい、医者は私を見るが、顔が笑っていなかった。
本気マジの顔をしていた。
私はその威圧に押されて、帰った。
病院を出る時まで、医者の怒号が病院内に響いていたことは、みんなには内緒だ。
そして、少女の家を尋ねた。
少女はドアを開けると、入っていいよと無愛想に言った。
私が椅子に腰掛けると、少女はこう言った。
「今日の夜飯...ないからね」
「食材がないの?」
そういうと彼女が恥ずかしそうにこう言った。
「いや...私料理できないの...いつも不味い料理しかできなくて...」
「なんだ、そんなこと。ある程度は私できるからいいよ。女の子同士なんだから、もっと甘えていいのに」
そういうと、少女は困惑した表情を浮かべ、
「女の子同士..?私...男だけど...」
私達は目を見つめ合う。
両者困惑していた。
肩甲骨辺りまで伸びた髪、整った顔立ち、声の高さ。
それぞれを見ても、女性にしか見えなかった。
私は信じられず、
「ほんとう..?」
と質問した。
すると少女は、
私の手を掴み、自分の胸に当てた。
「ふぇ!」
驚く私をよそに少女は冷静に、
「胸がないでしょ?そういうこと。貧乳で割り切っても小さすぎよ」
衝撃の事実...今まで女の子だと思ってたのに。
「ま、見た目だけなら女の子に見えるよね。それより、私お腹すいてるの。料理作ってよ」
「あ...了解です...」
そして、昨日の余りの食材を使って、少ないながらも、料理を作った。
「どう..?美味しい?」
なんせユウリの料理を見よう見まねで作っただけなのだ。
そして少女が料理を口に運ぶ。
そして、咀嚼したあと、嚥下した。
「....美味しい、けど少ししょっぱいかな」
「そう、良かった。なら私も」
そして、私も口に運んだ。
うっ....しょっぱい。
少しというレベルではなかった。どちらかと言えば"かなり"だ。
舌の痺れを感じながら嚥下した。
「うぇ...よく食べれるねこんなの」
私はそう言う。
「でも私が作るとブラックホールできちゃうから」
と笑いながら返された。
そして暖かい空気に包まれ、そろそろ就寝の時間になった。
そして、少女と共に寝室へ足を運んだ。
少女は大人しく布団に入ると、暫く天井を見つめた。
その様子を見て、私も布団に入ろうとした。
その時、グイッと何かに袖が引っ張られている感覚があった。
伸びている手は、少女のものだった。
「...どうしたの?」
と聞いてみると少女は言った。
「私、隣に誰かいないと眠れないの。ほら、"女の子同士"なら甘えてもいいんでしょう?」
冷静に、だが顔は赤かった。
私は、仕方ないなぁ、という顔をしながら隣の布団に入った。
すると、少女は、私を抱きしめた。
やはり男の子なんだと感じた。
いや...おとこの娘か...?
だが、彼女の体からは、いい匂いがして、深い闇に、ずずずず...と吸い込まれていくように感じた
それに安心したからか、私は眠気に襲われた。
彼女はまだ起きていたようだが、私は先に眠ってしまった。
「.....しは..うな......られない....」
何を言ったか分からなかったが、私は眠気が限界だった。
おやすみ、いい夢を。
3部〜8部までは数合わせとしてキャラクターの自己紹介などを書きます