何名かの学生は、病院で看病を受けていますので安心してください
12時50分ごろ、ほぼ全員の学生が戻り、先生が戻ってきた。
先生「はい。みなさん、今日はここで終わりです。何名かの学生は、病院で看病を受けていますので安心してください」
「はぁ!? 斎藤は?」
先生「斎藤さんは…。まだ戻ってきていないですね。私にも状況は分からないのですよ」
その後、今日の学校は終わった。
先生や他の教員に聞いても、戻ってこなかった斎藤の所在や詳細は分からない。
電話やMineで連絡しても、返事は未読で返ってこない。
俺は、ただ寂しく帰るしかなかった。俺は五体満足で戻ってこれたが、何一つ成果もなかった。
後日、斎藤の死亡の連絡が入った。300名の小学校で死亡者は2名。事故死は1%未満と優秀であったが、結果大事な友人を失うことになった。
斎藤の親は当然、今回の事故で国に提訴しようとした。しかし、誓約書の通り、自分の意識でボタンを押し死んだということで、一切の賠償がない裁判結果となった。
それ以降、毎年行われることになる臨死体験日の死者はニュースで取り扱われなくなる。
俺の家には小太郎という犬が住むようになった。あいつはまた来世でゲーム作りでもやっているのだろうか。
話によると、アイツが死んでから49日後にこの国のどこかに胎児として転生するらしく、転生承認されたら今の親たちとも会えるそうだ。
俺の小学校では、試験で最高得点を取った学生が3名いて、彼らは中学校が免除されて、各心理研究部員として脚光を浴びることになる。
5年後、俺の小学校出身でノーベル賞を取ることになるのだが、それはもはやどうでも良い。
霊的な体験をさせて、新しい研究と精神力を鍛える目的で、人を殺めるのは許せない。
俺は、断固としてこの仕組みをぶっ壊す。
読了ありがとうございました。とんでもないディストピアですが、産業革命、IT革命のような大きな変動には、混乱はつきものです。
我々が生きているうちに、こういったスピリチュアルな革命が来たら、それはそれで楽しみですよね。