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おいおい、こんなちっぽけな小学校にもこんなに撮影班は集まるのかよ

 2050年頃から、前世承認という変な商売をする企業があらわれて、国と一体化して全員に受けさせるように進められた。


 ざっくりいうと、3歳の時に前世登録した老人の写真を選ばせて「こいつがお前の前世だ」と承認する仕組みだ。


 最近は各国が躍起になって前世承認しているようだが、国によって認定の方法や制度がまちまちでA国で認めた前世は、B国では認められないといった混乱が起きている。


 日本が先だって導入し、現代の3才児の前世承認率はだいたい6割。過半数を超えるようになった。

 だがこれは義務ではなく、各親の任意検査である。俺の家系はそういったスピリチュアルなモノには否定的で、俺が3歳の頃には受けさせなかった。

 そのせいで、おれは「前世なしのヨッシー」と笑われるようになった。有名なサッカー選手が前世だったり、有名社長が前世だったりする学生が俺の学校にも数人いて、俺にとっては何の関心もなかった。


 学校まで15分、いつもの山道を下る途中、いつも待っている友人がこちらに向かって歩いてくる。


 斎藤「おっすおはよう義則! 昨日は眠れたか?」


「ああ、おはよう斎藤。あまり寝れなかったよ」


 斎藤「うちのクラスは、5-1。えっと、11時半から臨死体験やるってさ」


「はぁ、気が乗らねぇ。結局ずる休みできなかった」


 斎藤「どうした。臨死体験の本は、ネットや電子書籍でもたくさん出てるだろう? 大丈夫だって」


「お前はまだ前世承認されてるじゃねーか! 俺は前世知らないし、死が不安なんだよ! わかるかよ!」


 斎藤「お、お、おう。確かに義則は前世知らないが…。そんな怒ることないだろう」


「あ、すまない。ちょっと気が立っててな。どうしても不安なんだ」



 あと5分もすれば学校についてしまう。このまま大通りを横に走って逃げだせば死はすぐには来ない。



 斎藤「どうする? 不安なら、高橋先生に俺から相談するけどさ」


「いや、いい。 やってやるよ」


 俺はそのまま校内に入った。




 グラウンドの目の前には、大きなトラックが4台。その周囲にテレビ局と思われる撮影班がたくさん並んでいた。


「おいおい、こんなちっぽけな小学校にもこんなに撮影班は集まるのかよ」

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