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ああ、明日の臨死体験日。ずるやすみしてぇ…

もし霊的な体験をさせるなら、3歳と自我をもつ10歳頃だよね。という妄想から、40年後の仮想日本のなろう転生研究を考えてみました。

自分がもしその学生だったら、逃げたくなりますよコレ。

 先生「明日は、全学年の臨死体験日です。遺言書をMineで私に送ってから、明日も元気に登校してくださいね」


 「「はーい!」」


 キーンコーンカーンコーン…




 俺たちはいつものように、ぷらぷらと学校から帰る。


 斎藤「なあ義則! 明日の臨死体験日ワクワクするよな! 俺、どんな世界見れるのか楽しみだよ」


「おいおい。事故死率が2%ってことを知ってんのか? 50人に1人は死ぬんだぞ、怖くないのかよ」


 斎藤「しゃーないだろ。今年から義務化されて、病気で拒否っても来年受けることになるんだから。明日受けるか、来年受けるかの違いだ」


「死にたくねぇよ。斎藤はなんで平気なんだよ」



 斎藤「あれ? 義則ってまだ前世承認受けてないんだっけ? あれ体験したら、死の不安も減ると思うよ。来週、市役所に行ってみなよ」


「ついていけねぇ…」


 友人の斎藤拓海さいとうたくみは明日の臨死体験日を楽しみに語っている。


 俺は佐藤義則さとうよしのり、小学校6年の11歳だ。2060年から日本では、全国一斉臨死体験日というのを国会が新設して3年後の今年から実施されるようになる。去年、試験運用した結果、学生2314人のうち41人が臨死体験経験後に死亡、脳の後遺症が66人と酷い結果となった。

 それでも生き残った学生を調査し、死に対する恐怖感軽減、学力向上などの精神面の成果が多く報告され、世界で注目された。

 政府は反対派2割を押し切り可決、俺たちの世代から正式な義務教育と組み込まれ、俺たちは必ず受けることになった。


 メディアは明日の一斉義務化実施のために、各小学校で報道の準備をしている。

 海外からは人権侵害だ! 殺人国家だ! と非難しているが、2040年から行われてきた前世承認運動により、政治や市民が死や心に対する新しい思想が生まれて、今その子たちが政治を動かすようになった。


 過去にスマホという板状の電話が付かれていたが、今は顎の下と右手に内蔵チップを入れたことで自動認証と眼球立体データ表示が可能となった。もう全てがハンズフリーでお金も持ち歩かない。

 移動も空も飛べる車によって交通状態は緩和。水素を使ったエネルギーで石油に頼らず、高速移動が可能になった。

 国同士は戦争と対立を繰り返しながらも、経済破綻した弱小国家から隣国に吸収合併することとなり、今は国と言う名の連合国家は50にまで減少した。言語が統一化され、民族も2000年から半減したとニュースで聞いたことがある。

 幾多の災害とウイルスに負けず、人類は2060年を迎えることとなった。



 あらゆる分野の科学、物理学が判明して、残すは心と哲学という心的現象の学問であったが、日本から新しい宗教が生まれ、その研究成果として現代の霊的学問の発展に繋がった。



 ついになろう転生国家日本は、世界初の臨死体験義務化を施行しようとしている。






「ああ、明日の臨死体験日。ずるやすみしてぇ…」

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