表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/21

絵梨香がいない ~Ne estas Erika ~

 けど、なかなか南さんからの返事は来ない。

 だから私、絵梨香に電話してみた。


 ん? 出ない。何度も鳴らしてるけど、出ない。


 仕方なく切ってから、もう一度メッセの画面見てみる。

 南さんって子からの返事はまだないし、既読もついてない。

 そのまま五分くらい待って、もう一度絵梨香に電話……また出ない……南さんの既読もつかない。

 めっちゃいやな予感……胸騒ぎ半端ない……。


 絵梨香にメッセしてみる。

「南さんって子からなんか変なメッセ来たよ? 絵梨香が私のID教えた? 電話ちょうだい」

 いつもだったら絵梨香はわりとすぐに既読つけるし、こう言えばすぐに電話かけてくる。

 だから待った。……でも、電話来ない。……既読もつかない。


 もう一度絵梨香に電話してみる……やっぱ出ない。


 私、思いきって南さんに電話してみることにした。なんかめっちゃ怖いけど、それしか今の胸騒ぎを抑えられない。

 南さんが私のIDでメッセくれたってことは、もう勝手に友だち登録されてるはず。だったら、無料通話できるはず。

 だから私は南さんのメッセージが表示されている画面の上の、電話のマークをタップして携帯を耳に当てた。


 呼び出し音、鳴ってる。だったら、つながるはず。

 でも、いつまでたっても呼び出し音のまま。


 仕方ないからもう一度、絵梨香に電話……やっぱ出ない。


 だから私、絵梨香の家電いえでんにかけてみた。

 今度はすぐに出た。

「はい、竹村です」

 声でわかるけど、絵梨香のお母さんだ。

「あのう、横田ですけど」

「あ。優美ちゃん? 絵梨香がお世話になってます」

 今日はそんなお愛想の挨拶はスルー。

「あのう、絵梨香は?」


「え?」


 今度はお母さんが凍り付いたような声。

「あのう、優美ちゃんのおうちでお世話になってるんじゃないの?」

「え、待って、どういうことですか?」

 今度はこっちの声が凍り付く。


「今日、学校からまっすぐ優美ちゃんち行って、そちらに泊まるって。今あなたのおうちのかたに電話しようと思ってたとこなんだけど」

「学校って……」


 絵梨香、今日学校休んでた。お母さんはそれ知らない……。

「だって絵梨香、今日」

 私はそこまで言いかけて、抑えた。

「あのう、今からそちらへお邪魔してもいいですか?」

「え? あ。あの、別に構わないけど、いったい何がどうなって……」

「直接お話しします」

 なんだか電話で言ってしまっていいことではないみたい。


 私は部屋着から着替えて、玄関への階段を下りた。


「ちょっと絵梨香んちに行ってくる」

 母に声をかける。絵梨香の家は自転車ですぐだから、だめとは言わない。

「遅くならないようにね」

 母が言ったのはそれだけ。すぐに中学生の妹の美帆が廊下に顔を出す。

「お姉ちゃん、私先にお風呂入っていい?」

「いいよ」

 振り向きもせずにそれだけ言うと、私はもう外に飛び出していた。


 暗くなった住宅街を、私は自転車を飛ばす。

 もう人通りも少ない。

 とにかく焦ってた。胸騒ぎはますます強くなる。


 途中、大通りを横切る。そのままのスピードで、私は渡りきろうとした。


 その時、私の全身は閃光に包まれた。

 ああっと声を発する間もなかった。二つの大きな光の玉が低い位置からこっちに飛んでくる。


 次の瞬間、体中に衝撃を感じた。でも急に体は軽くなってふわっと宙に浮いている感覚だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ