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第2話【新たな人生!】

──あの日、転生してから約1ヶ月。



相変わらず父は宰相の仕事で家に帰ってこないし、母は私のことをまるで空気のように扱っている。


これは転生前と同じだからそう戸惑うことも無い。


でも今思えばこの家庭環境も悪かったのよ!両親が健在なのに誰も私の事認知してくれないんだから!


唯一私のことを気にかけてくれたのは侍女のアンジュくらい。


「失礼します〜」


噂をすれば何とやら。アンジュが刺繍の先生を連れてきた。


マリア・セレッタ…今は刺繍の講師をしているけれど後の伯爵夫人。仲良しくておいて損は無い。


「初めまして、セレッタ先生。この度は(わたくし)の講師を受けて下さりありがとうございます。」


「私も会えて嬉しいわクレア。これからどうぞよろしくね」



今日は刺繍を習うけれど、また別の日はテーブルマナーを習い、また別の日は社交界マナーを勉強したりしている。



──「痛っ…」


「どうされましたっ?!」


「アンジュ、騒ぎすぎよ。少し針で刺してしまっただけ」


「す、すみません。いま救急キットを持ってきます」


「大丈夫。これくらいなら私でも治せるわ」


「まぁ…治癒魔法が使えるの?」


「はい。ですがほんの少しだけです。保有魔力が少ないので軽傷程度しか治せませんし…」



針で刺した左手の人差し指に右手をかざすと淡い翠色の光が宿り消えた時にはもう刺傷は治っている。



「凄いわ!術式を詠唱しなくても傷が癒せるなんて…」


「……?普通は術式を詠唱するものなのですか?私はなくても治せるのですけど……」


もしかして、これ普通じゃない?


「魔術師ならそうでしょうけど、上流階級の中でも詠唱破棄で魔法が使える人はそうそう居ないわ!とっても凄いことよ!」


「そ、そうなのですか?!」



凄い!!すごいよ私!!じゃあ私はシスターにピッタリじゃない!!夢に1歩近づいたわ!!



「…でも、このことは秘密にしておいた方がいいかもしれないわね…」


「どうしてです?」


「詠唱破棄で使える魔法は治癒魔法だけ?」

「はい」


「…だったら尚更ね。使える魔法が治癒魔法だけなら他に魔力を割く必要がないから全ての魔力を使いきれるし……。それにいくら保有魔力が少ないと言っても詠唱を破棄できる人材は貴重だから、何かの事件に巻き込まれかねないわ。」


「……確かに…」



そんなの今まで考えたことなかった…。



「はい!セレッタ先生の言う通り、このことは私と先生の秘密にしますね!」


「そうね、それがいいわ。」


「お嬢様、セレッタ様、そろそろ休憩にしませんか?お茶とお菓子をお持ちします」


「うん、お願い…」



──それからは何も問題なく着々と上流階級としてのスキルやマナーを身につけた。



……本当はこんな基本的なことは転生前の歳なら知っていて当然なのだけど。転生前は虐めることに全てをかけていたからなぁ……食事マナーだとか、淑女に必要なスキルなんて学ぼうともしなかったから…この機会に全てマスターしよう!




─そんなこんなで時は流れとうとう私も17歳。社交界デビューに学園入学と大忙しになりそうだ!




……と、意気込むクレアはこの後大問題が待ち受けているとは思ってもいなかったのである。

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