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第五話
第五話
あの後食事を取った少年は、昨日の時間を取り戻すかのように眠りについた。
「あの様子だと、昼餉はいらないみたいですね」
少年の寝室に布団を敷きに行った俺は今、始さんと少年の書を並べていた。
十畳の座敷を何部屋か使って、新聞を敷く。
通ることも考えて、人幅程度の空間を中央に設け、両側を新聞で埋め尽くす。
「通路に沿うように、縦に置いてください」
手本を見せるかのように、適当な感覚で書を置く。
「はい」
空気を掴むような軽さが、朝つかんだ少年の重さと重なる。
「やっぱり軽すぎるな」
「なにがですか」
「ああいや、あっ、この紙軽いなぁと思いまして」
口に出てしまった。苦し紛れに出た言葉に嘘はない。
「そうねぇ、確かに軽いですね」
やんわりと返されながら、手が動く。
襖の奥には寝ているであろう少年は、紙のこすれる音で起きないのだろうか。
などと心配する必要はないのだと、のちに気づかされた。
少年は結局、明日の朝まで目を覚ますことはなかったからだ。




