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第十一話
第十一話
昼、縁側を覗くと少年が際に座っていた。
「作品が滞っているのですか」
ゆっくり顔を上げる。
「いや、」
目線が下を向く。
あまりいい質問ではなかったのだろう。
「お昼ご飯はなにがいいですか。今悩んでて」
「うん」
聞いてないな。
それが耳に入らないほどに、根詰めているというわけか。
「おはぎ」
消え入りそうな声が、風と共に流れた。
予想外な選択に、耳を疑う。
「食べ、たいんですか」
ゆっくりと頷く。
おはぎはご飯なのか。
ああでももち米は米だから、ご飯なのか。
おやつではないのか。
「おやつに買っていきますね」
顔が上がった。
よほど嬉しかったのだろうか。
少年は縁側から立ち上がり、部屋へと戻る。
その後ろ姿を見て、気分が高揚した。
あの気弱な少年は、きっと。
今の自分でも殺すことができるんだ。